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“HSP気質の自分”と”ままならない人生”に向き合おうとし過ぎて行き先を見失った男のエ…

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“HSP気質の自分”と”ままならない人生”に向き合おうとし過ぎて行き先を見失った男のエッセイの真似事。

マガジン

  • ままならない日々と僕

    思い通りにいかない自分と人生に向き合う日々のエッセイ

  • 言葉の残響

    誰かのふとした一言とか、本の中の一行、音楽の中の一小節に心揺れた名残の書き残し。

  • 顔も知らないどこかの貴方へ

    もしかしたら貴方へ向けたエッセイ

記事一覧

フォークを突き立てないで

GWもすることがなくなってきた。 うちの会社は有給奨励日が公式に設定されていて、それに従うと10連休になる。 10連休もすることがない僕は、ただただいつ買ったかもわ…

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5か月前
7

おじさんという生き方

若すぎる。 それが今の会社に籍を置いてから一番最初に驚いたことだった。 とにかく若い。そう思う理由は、以前の職場は年上ばかり。おじさんばかりだったから。 10…

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1年前
2

自分の未熟さを許すということ。

雲一つない青空のおかげで何物にもさえぎられることなく降り注ぐ太陽光を浴びながら街を歩いていると、airpodsの充電が切れる。 アスファルトをこするタイヤの音、青を知…

K
1年前
8

郷の中で感じる春の兆しに期待の芽吹き

「慣れましたか?」 冗談交じりに毎週僕の上司は聞いてくる。 僕は「慣れませんね」と即答しては、 「暑くなるまでなれないでしょうね」と笑いながら応える。 ♢ 去年…

K
1年前
6

ドミノ倒しの一つ目

最後にnoteを書いたのは3か月ほど前らしい。 なんだそんなものなのか。 と思うくらいもっと前に書いたままだと思っていた。 多分そう思うくらい密な時間を過ごしていた…

K
1年前
5

30歳。長かったな。

ついこのまえ30歳を迎えた。 当たり前のように誕生日を迎え、何事もなかったかのように去って行った。 特別なことは起きない。 そもそも誕生日を誰かに祝われることが苦…

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2年前
7

痛みに居場所を。過去に慈しみを。

noteの更新が停まった。 やることの優先順位が変わった。 すこし忙しくなった。 と、いろいろと理由はあるけれど、大きな理由はたぶん、 ちょっと前に人生の一つの側面で…

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2年前
5

散らばる感情とまだ見ぬデッドエンド

テーブルから落ちたグラスは地面と触れ合った瞬間に砕けて中身を床にぶちまける。床には、グラスに入っていた液体とグラスの破片が散乱している。 それを眺めながらやるせ…

K
2年前
5

木々に実る果実のように、人間の成長はいつしか止まり、成熟し、そして腐り、いずれ枯れ落ちる。

ベランダの手すりに寄りかかって空を見上げれば、厚い雲に覆われたパッとしない空が広がっている。 今日はこの後雨が降るらしい。空気は生ぬるさと湿気で満たされていて、…

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2年前
9

滞ることなく流れる千切れ雲の下で未来を想う。

休みの日はいつも一時間くらい散歩に出る。 暑い日も寒い日も、雨も風も気にせず、 目的もなくただ当てもなく歩く。 そしてぼんやり物思いに耽る。 今日もまた当てもなく…

K
2年前
8

寄り添う事しかできない僕たち。

チェーホフのワーニャ伯父さんという戯曲を読んだ。 無能だった教授の為に、人生を棒に振り、領地に残されてしまったワーニャ伯父さん。 「なんてつらいんだろう。このつ…

K
2年前
3

『林檎とポラロイド』を観てきた。

その世界では不思議な流行病が蔓延している。 今まで普通に過ごしていたのに、ある日急に今までの記憶を失ってしまう。 その世界では記憶喪失を引き起こす奇病が蔓延して…

K
2年前
2

無彩色の空気を吸い込んで

喉は痛いし、体も痛い。頭がボーっとする。 普段なら絶対やらないカラオケオール。 それをやってのけた30手前の自分に一人驚きながら、友人たちと並ぶ信号待ち。 夜を使い…

K
2年前
1

芽吹きの春

真新しいスーツに身を包む新入社員をよく見かけるようになった。 ほんの少しい大きめの制服を纏う詰襟の少年たちをよく見かけるようになった。 季節は廻り、冬を終え、春が…

K
2年前
2

嫌いじゃなくなったとき、人は大人になったと言うけれど、

最近、好き嫌いがあいまいになってきた。 好きなものは何?と聞かれると、すぐに思いつかない。 だからといって逆に、嫌いなものは何?と聞かれてもやっぱり何も思いつか…

K
2年前
2

4月1日。心の車窓から。

金魚が縦横無尽に新宿の空を泳いでいる新宿駅前の3Dディスプレイ動画を見て今日が4月1日。エイプリルフールだと気づく。 SNSがなかったらエイプリルフールなんて気づかな…

K
2年前
3

フォークを突き立てないで

GWもすることがなくなってきた。 うちの会社は有給奨励日が公式に設定されていて、それに従うと10連休になる。 10連休もすることがない僕は、ただただいつ買ったかもわからない本を読んで時間を潰す。 読書ばかりでは飽きてしまい、部屋の掃除をダラダラとあてもなく、目のついた箇所を整えていく。 あらかた終わったところで、部屋の隅に置いてある紙袋に目をやる。 いつでも片付けられるものほど底にずっと居座っていたりするものだ。 どのくらい底にあるかもわからない紙袋。 そろそろ頃合いか

おじさんという生き方

若すぎる。 それが今の会社に籍を置いてから一番最初に驚いたことだった。 とにかく若い。そう思う理由は、以前の職場は年上ばかり。おじさんばかりだったから。 10個上の先輩、自分の親世代の人、定年退職後でも働き続ける契約社員。 とにかく上ばかり。 それは30を超えても変わらなかった。 新卒は数年に一度、中途は都度都度入社する。 中途もベテランばかり。 だから、いつまで経っても僕は下から数えた方が早い若者だった。 それに比べて今の会社は真逆だった。 新卒がとにかく

自分の未熟さを許すということ。

雲一つない青空のおかげで何物にもさえぎられることなく降り注ぐ太陽光を浴びながら街を歩いていると、airpodsの充電が切れる。 アスファルトをこするタイヤの音、青を知らせる信号機の電子音。 そして、ジリジリとセミが鳴いている。 生命をかき鳴らすセミの音を聞いて、 「ああ、はやり夏になっていたらしい」と、今更になって観念する。 連日30度以上の気温をたたき出す中、それでも僕の中での夏は8月に設定されていて、それ以外はどうも夏と認められなかった。 けれど、流石にもうこの

郷の中で感じる春の兆しに期待の芽吹き

「慣れましたか?」 冗談交じりに毎週僕の上司は聞いてくる。 僕は「慣れませんね」と即答しては、 「暑くなるまでなれないでしょうね」と笑いながら応える。 ♢ 去年僕は7年半以上勤めた会社を辞めた。 そして、1月に新たな会社に身を置いた。 いわゆる、転職というやつをしたのだ。 新しい会社に身を置いて、今まで身に着けた常識を新しい地で通じるのかどうか、試行錯誤しながら新しいことを学ぶ日々は良くも悪くも刺激的だ。 同じ業界の転職だったから、基本的なことは変わらない。 けれ

ドミノ倒しの一つ目

最後にnoteを書いたのは3か月ほど前らしい。 なんだそんなものなのか。 と思うくらいもっと前に書いたままだと思っていた。 多分そう思うくらい密な時間を過ごしていたんだと思う。 ♢ noteを書き始めてから毎週何かしらを文章にしたためて世界に流していたけれど、3か月前にぱったりと更新の手を止めてしまった。 理由は、忙しくなったり、やるべきことが増えたりした。 関わっていたプロジェクトが佳境になって信じられないくらい忙しくなったり、転職活動を始めたり、資格試験がかぶ

30歳。長かったな。

ついこのまえ30歳を迎えた。 当たり前のように誕生日を迎え、何事もなかったかのように去って行った。 特別なことは起きない。 そもそも誕生日を誰かに祝われることが苦手な僕は、いつの間にか誰にも自分の誕生日を明かさなくなった。 誕生日当日も顔を合わせる誰もが僕がその日が誕生日だということを知りもしない。 しいて言えば、記憶力の優れた友人がちらほらとメッセージを送ってくれる程度だ。 僕にはそれで十分だ。 誕生日おめでとう。あっという間だったね。 ありがとう、意外と長かった

痛みに居場所を。過去に慈しみを。

noteの更新が停まった。 やることの優先順位が変わった。 すこし忙しくなった。 と、いろいろと理由はあるけれど、大きな理由はたぶん、 ちょっと前に人生の一つの側面でくじけてしまったから。 1,2カ月前にくじけてしまったまま、まだちゃんと立ち直れていない。 そのせいか、内を考えても最後はその時の記憶とか後悔とか、そこらへんの思考に行きついて気がめいってしまう。 思考の行きつく先がいつも同じ。 くじけて打ちのめされてしまった時の自分の不甲斐なさが僕の思考を狭めてしまう

散らばる感情とまだ見ぬデッドエンド

テーブルから落ちたグラスは地面と触れ合った瞬間に砕けて中身を床にぶちまける。床には、グラスに入っていた液体とグラスの破片が散乱している。 それを眺めながらやるせない気持ちになる。 少し前からずっとこんな感情が続いている。 もちろん、ただの比喩。 本当にグラスを落としてぶちまけたわけじゃない。 でも、何があったかを詳しく語るにはまだ時間が必要そう。 そのくらいの傷になって打ちのめされているんだ。 と、ぱちぱちとキーボードを叩きながら気づかされる。 まぁ、きっといつかはこう

木々に実る果実のように、人間の成長はいつしか止まり、成熟し、そして腐り、いずれ枯れ落ちる。

ベランダの手すりに寄りかかって空を見上げれば、厚い雲に覆われたパッとしない空が広がっている。 今日はこの後雨が降るらしい。空気は生ぬるさと湿気で満たされていて、夏の面影がすぐそこまで来ている。 5月も終わって6月がやってきている。 いつもいつもこの時期は夏なのかどうかが分からない。 試しに初夏はいつごろかと調べてみる。 5月から梅雨入りまでの間らしい。 梅雨入りはまだしていないらしい。 なるほど、じゃぁ今は初夏なのか。 この生ぬるさと湿気は初夏の空気なのか。 ひとり納得

滞ることなく流れる千切れ雲の下で未来を想う。

休みの日はいつも一時間くらい散歩に出る。 暑い日も寒い日も、雨も風も気にせず、 目的もなくただ当てもなく歩く。 そしてぼんやり物思いに耽る。 今日もまた当てもなく散歩に出かけ、道中見つけたコーヒーショップに立ち寄りアイスコーヒーを買って表の椅子に腰かけぼんやりと空を眺める。 真っ白な千切れ雲が静かに、そして速やかに流れ去っていく空を見ながらぼんやりと思考を内側に向ける。 ♢ 最近、考えることが変わったな、と思うことが増えた。 ほんの少し前までは、自分の中で渦巻くドロ

寄り添う事しかできない僕たち。

チェーホフのワーニャ伯父さんという戯曲を読んだ。 無能だった教授の為に、人生を棒に振り、領地に残されてしまったワーニャ伯父さん。 「なんてつらいんだろう。このつらさが君に伝わればなぁ!」 と、感情をこぼすワーニャ伯父さんに向けて、ソーニャは答える。 「仕方がないわ、生きていかなければならないんだもの!」 ♢ 先日、友人のお悩み相談的なメッセージのやり取りをしていた。 友人は、どうしようもないくらいうまくいかない人生に辟易していた。 心の苦痛は体に表れ始めていた。あちら

『林檎とポラロイド』を観てきた。

その世界では不思議な流行病が蔓延している。 今まで普通に過ごしていたのに、ある日急に今までの記憶を失ってしまう。 その世界では記憶喪失を引き起こす奇病が蔓延している。 その世界では記憶喪失者があふれている。 だから、記憶喪失者のためのリハビリプログラムがある。 ”新しい自分”プログラム。 記憶を失うまでの自分を取り戻すことは諦めて、様々な体験を通して新しい自分になる。というプログラム。 プログラムは至ってシンプル。 送られてくるカセットテープに録音された課題にした

無彩色の空気を吸い込んで

喉は痛いし、体も痛い。頭がボーっとする。 普段なら絶対やらないカラオケオール。 それをやってのけた30手前の自分に一人驚きながら、友人たちと並ぶ信号待ち。 夜を使い果たした街には、無垢で無彩色の空気が漂っていて、そこに午前5時の朝日が差し込んでいる。 空気を吸い込む。鼻を通り抜ける空気から懐かしい匂いがした。 朝日に照らされたばかりの無彩色の空気はまだひんやりと冷たかった。 喉を潰すほど笑って歌って迎えた朝。 「この空気、懐かしいな…。」 一人つぶれた声でつぶやく。

芽吹きの春

真新しいスーツに身を包む新入社員をよく見かけるようになった。 ほんの少しい大きめの制服を纏う詰襟の少年たちをよく見かけるようになった。 季節は廻り、冬を終え、春が来たんだな。と改めて思う。 そういえば、満開だったはずの桜は全て散ってしまっている。 SNSで見かけた目黒川の水面を滑らかに流れる桜の花びらの写真を見たのは1,2週間前。 近所の桜並木の桜もとうに散り去って、新緑の青葉が太陽に向かって伸びている。 透き通った青空を瑞々しい青葉越しに空を見上げると春を感じる。 僕

嫌いじゃなくなったとき、人は大人になったと言うけれど、

最近、好き嫌いがあいまいになってきた。 好きなものは何?と聞かれると、すぐに思いつかない。 だからといって逆に、嫌いなものは何?と聞かれてもやっぱり何も思いつかない。 ♢ この前自己紹介のnoteを書いた。 自分のことを書こうと思った時に、自分の好きなものでも書いてみるか。と思ったのだが、思ったよりもこれが好きだ。と強く言えるものが少なくて驚いた。 とりあえず、読書と音楽とコーヒーが好きだな。 と、思いついた数少ない好きなもので自分を語ってみた。 その中で、自分の

4月1日。心の車窓から。

金魚が縦横無尽に新宿の空を泳いでいる新宿駅前の3Dディスプレイ動画を見て今日が4月1日。エイプリルフールだと気づく。 SNSがなかったらエイプリルフールなんて気づかなかったな。 そんなことを思いながらスマートフォンの画面をスクロールする。 よく見れば、絶対あり得ないのに一瞬騙されるような投稿が見える。 エイプリルフールは嘘を吐いてもいい日。というよりも、 絶対にバレるけど、一瞬は騙されて驚かせるような絶妙な嘘を吐く、センスが問われる日になっているように感じる。 絶妙