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野草研究家・山下智道さんと語らう!特別オンライントーク「春の野草・薬草 〜たんぽぽ三昧、よもぎづくし〜イベントレポート」

こんにちは、tabelのmakiyoです。今年も春がやってきましたね。ちょうど去年の桜が舞い、新緑の季節が巡ってきた頃にも、いつものお散歩コースの楽しみが増えるイベントを開催しました^^

2020年5月21日(木)に薬草大学NORM主催・薬草のある暮らしラボ発足記念としてオンライン配信した、ゲストに野草研究家の山下智道さんをお迎えした、特別オンライントーク「春の野草・薬草 ~たんぽぽ三昧、よもぎづくし~」!

日本各地でみなさんも親しまれている、たんぽぽとヨモギをテーマにとってもお話が盛り上がっておりました。どちらもキク科の植物!そんな共通点を持つ二つの植物の楽しみ方とは?など、当日の様子をレポートします。

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まずは、日本に生えているたくさんの種類のタンポポのお話からはじまりました。

さまざまなタンポポの種類

①超レア…!緑の花で赤い軸のたんぽぽ

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上の写真はミドリバナタンポポ。とってもレアで、総合片だけで花を構成させた緑のたんぽぽ!関東たんぽぽの突然変異と思われるたんぽぽで、種ができないので、根っこを挿し木して増やしたそう。

②山下さんの庭に咲いている5種類のタンポポ

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右からセイヨウタンポポ(外来種)、トウカイタンポポ、カントウタンポポ、シナノタンポポ、ニセカントウタンポポ。山下さんは「左側のタンポポは黒くてかっこいい!」ととても感動していました。

③一番大きな花を咲かせるタンポポ

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新潟の日本海側で撮影されたエゾタンポポ。北海道に咲いているタンポポもそうですが、この辺りはタンポポが大きいそうです。一番大きな花を咲かせるというエゾタンポポでした。


と、ここで新田さんが「モウコタンポポを見たことありますか?」と。山下さんは「なぜそれを?!」と興奮気味で嬉しそうに!

新田さん:「漢方薬の世界では生薬としてタンポポを使うのですが、その場合のタンポポはモウコタンポポだけを指します。中国ではこのモウコタンポポがメインの種類で、葉っぱや根などを用途によって使い分けます。薬酒にしたり、乾燥させて煎じて飲んだりします。」

山下さん:「そうでしたか~!お隣の国、台湾ではタカサゴタンポポが主だったタンポポの種類なんですよね。料理に油で炒めて出てきて、とても美味しかったです。」


タンポポの儚い恋の物語

タンポポの花言葉は「愛の信託、真実の愛、別離」といわれてます。北米インディアンでは、『”南風”が”タンポポ”に恋をする』というお話があります。どんなお話かというと、

『タンポポは黄色い可愛らしい姿から、綿毛を持ち白髪のおばあさんの様な姿に変化してしまう。”南風”があの少女に会いたい…と寂しくなってしまうものの、その時のタンポポには会えず失恋してしまう。』

という物語。
山下さん:「素敵ですね~…。」
新田さん:「それだけ昔からタンポポは日常的に人々に愛されていた植物だったのですね。」


世界中に生息するタンポポ。分布が幅広いだけに楽しみが尽きないご様子のお二人でした。


薬草の女王様、ヨモギ

ヨモギも同じくキク科で、世界中に分布が見られヨーロッパでも見られるそうです。ヨモギは女性にも嬉しい作用があります。血液を浄化し、血行促進、末端神経を温めるので身体を芯から温めてくれます。濃く煮だしたものを飲んだら、速攻作用も期待できます。

①一番親しみのあるヨモギ

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草餅などに用いられるカズサキヨモギ。見つけ方としては、日向や日当たりの良いところで一年中見られます。

②美形の料理に!香も見た目も映えるヨモギ

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正式名はArtemisia indica var. orientalis。沖縄の名前では、”ふーちばー”。特徴としては苦味が少ない。香りがフェンネルのような香りで、ヤギ汁やソーキそばなどにもりもり入れられるそう。カワラヨモギよりもお花が大きめ。

と、ここで、よもぎの摂取の仕方の話に…!
山下さん:「よもぎ風呂など気持ちいいですよね~」
新田さん:「とても気持ちがいいですよね~。ヨモギの摂取の仕方が異なりますが、薬効の取り入れ具合が体の部位によって異なるんですよ。二の腕から入ってくるのが1倍だとしたら、かかとや手のひらは0.8倍と減ります。頭や脇の下は3倍以上吸収できます。よもぎ蒸しなどでの下半身のデリケートゾーンなどは42倍吸収するそうですよ。なのでお風呂も良いですがとても効率的で効果的なんですよね。粘膜から直接吸うのは血管に直接いきますものね。」

山下さん:「こちらはヨモギ汁です(下の写真参照)。オキナヨモギとカワラヨモギとカズサキヨモギが入っています。1~2週間漬けて、グリーンになってきました。夜冷えるときに飲もうかなと思っています。」

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そして話は摘みに行きたい神聖なるヨモギについて・・・
鳥取県大山にある大神山神社の7月中旬に毎年行われる夏祭りの神事で、神主さんたちが山奥に入ってヨモギを摘んできて、参拝者にふるまわれるというお祭りが。そのふるまわれるヨモギを山下さんも新田さんも摘みに行きたい!と心を動かされるヨモギの名はヒトツバヨモギ

薬効が高いため神聖なものとして使われ、魔除けなどで使われるそう。
山下さん:「ギリシャでも玄関にヨモギが置いてありました。多分ミムヨモギだと思います。」
新田さん:「1600年頃中国やモンゴルなどが発祥として風習があると聞いていていましたが、ヨーロッパの方にも同じような風習あったのですね!」
山下さん:「大陸が離れていてもリンクして文化が混じっているのが面白いですね。」

③一度は噛みそうな名を持つヨモギ

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花屋さんで買ったという園芸種のヨモギの、アルテミシア・シルバー・ボルケーノ。名前が長くて噛みそうですが、葉っぱも大きくて美しいヨモギです。

④触感が瑞々しくてぷちぷちしたヨモギ

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イワインチン(インチンヨモギ)学名でChrysanthemum rupestre。花期は8~9月で、細葉で瑞々しい。

⑤コーラの香りがするヨモギ

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外来種のオキナヨモギ、学名がArtemisia abrotanum(southernwood)。虫よけの用途でも使われています。改良されて生まれた、コーラの香りの品種もあるそうです!
新田さん:『オキナヨモギでコーディアルを作ってみたいですね~』

⑤ガーデナーに人気のヨモギ

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北陸地方で見られるヨモギの一種であるアサギリソウ。ガーデナーの方たちにも大変人気で、比較的手に入れやすいヨモギです。

⑥ヤギ汁にヨモギ?!

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沖縄のソーキそばの薬味などでもりもりと使われるニシヨモギ、学名でArtemisia indica var. orientalis。沖縄の名前では、”ふーちばー”と呼ばれています。特徴は苦味が少なめで、カワラヨモギよりもお花が大きめ。ヤギ汁やソーキそばなどにもりもりと入れられる!

新田さん:『太陽の光が強いところだと、苦みが強いイメージあったものの、この西ヨモギは違う進化を遂げたのですね~。』

北海道の大ヨモギとの大きな違いは茎がつるつるしていて、2mくらいもあるそう。アイヌでは化粧水としても使うそう。ヨモギを煮て、焼酎など入れて2週間くらい置いておいて使用するそうです。


【教えて!山下さん!この植物は一体な~に?】

参加者の方から、山下さんに向けて「これ、なんの植物ですか?」と、植物の写真を事前にいただき、山下さんにお応えいただくという大変贅沢な時間を頂きました!野草好きにはたまらないこのコーナー。是非イベントの最中などにメッセージをお寄せくださいね!

【質問コーナー】参加者の皆様から様々な質問をお寄せいただきました。

Q1.ほとけのざの花の蜜を吸っても大丈夫?
A1.山下さん:『大丈夫です。ベトナムの方では料理に使われているそうです。』
新田さん:『別の山菜の話になりますが、多くの地域が”毒”として食べられなかった山菜を工夫して食べる地域があったりして、食性をずらしたりなどして同じ食材を取り合いにならないように、うまくやっているのは面白いなと思います。』

Q2.これからの時期見つけてラッキーだと感じる野草はありますか?
A2.山下さん:『ホシザキカタバミですかね!怪しいインド料理屋の玄関先に咲いていたんです!かなりレアです。夕方になると閉じたりするので。』

Q3.薬草コーラの作り方を知りたいです。
A3.新田さん:『シナモン、カルダモン、クローブ、バニラ、レモンこの辺を中心に作ります。そこにフェンネルシード、八角を入れたり、唐辛子でピリッと。それらをお水と砂糖で炊いていきます。色を出す為に、竹炭を使ったりもしますが、精製されたお砂糖ではなくミネラルも含まれている、茶色っぽいのお砂糖を入れるのもお勧めです。』


約1時間のイベントが終わりの時間を迎える中、参加者さんからの質問も尽きず一先ずの中開きで、あっという間の楽しくて学び多い時間が終わりました。今回はヨモギやタンポポについて、惜しみなく教えて下さった研究家の山下智道さん!テレビにも慣れていらっしゃる山下さんは、『テレビよりも緊張していました!』と^^

大変好評のイベントとなりましたので、シリーズ展開していきます!乞うご期待!お楽しみに!

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次回は2021年4月21日(水)20時から「野草で極める山菜スパイスカレー」
最新の情報は、こちらから。
https://norm.peatix.com     
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ライター:gypsy makiyo
昨年末に東京から地元倉敷へ移住。身体の不調で自信を持てない時期から、心や体の整理を始めて日々強くなっていくことを実感。”発酵”をキーワードに、酒蔵や自然農園へ赴いたり、醸造文化や沖縄文学、古神道などを探求するのが猛烈に好き。目標は”発酵”を通して日本人の万物を尊ぶ心を世界へ伝える仕事をしていくこと。

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