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英文法の小径

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毎回、一つの文法項目について、意の赴くままに説明を試みた散文を掲載中。
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#英文法

【英文法の小径】助動詞の要点Ⅲ Ver. 1.0

MUST必要性/義務を話し手の個人的な感情や願望として述べるには must を使用する。つまり、must が表す義務は、外部の状況から生じるものではなく、話し手が課すものである。 未来の必要性/義務について述べるには通例、[will have to]を使用するが、現在=発話時にすでに取り決めができている場合は must を使用する。 二人称主語に must を用いた文は、話し手が相手に義務を課す言い方になるため、相手に対する命令/指示を表す。 must の否定形において

【英文法の小径】助動詞の要点Ⅱ Ver. 1.0

MAY/MIGHT許可を求めるには may や might を使用できるが、can や could よりも形式ばった言い方になる。特に might は非常に堅苦しく、ふつうではない。 許可を与えたり、それを拒んだりするには may 及び may not を使用するが、形式ばった言い方になるため、くだけた話し言葉では can 及び can't/cannot を使用するのがふつうである。 許可を話題にする、つまり個人の自由や規則/法律について話をするときには通例、may や

【英文法の小径】助動詞の要点Ⅰ Ver. 1.0

CAN/COULD未来に「できる」ことについて述べるには通例、[will be able to]を使用するが、現在=発話時に未来のことを決めているときは can を使用する。なお、ここで「できる」とは、いわゆる能力だけでなく、状況的に可能であることもいう。 過去に、いつでも「できた」ことについて述べるには could も[was/were able to]も使用するが、ある特定の場合に「できた」ことについて述べるときは通例、could ではなく[was/were able

【英文法の小径】現在進行形〈時制〉余話・その二

前回、進行形=[be + V-ing]の V には「動作」動詞、つまり始まりと終わりがあって、動きや変化があることを表す動詞がくることを再確認した。 一方、このシリーズでは、「状態」動詞、つまり始まりと終わりがなくて、静的で変わらないことを表す動詞の進行形についても取り上げている。そこで、状態動詞が進行形で用いられるプロセスについて、話し手の事態の捉え方という視点から、改めて考えてみたい。 例文を再掲する。 1-a.  My parents live in San Fr

【英文法の小径】現在進行形〈時制〉余話・その一

いわゆる「動作」動詞は、「状態」動詞とは異なり、始まりと終わりがあって、動きがある、つまり時間の経過とともに変化すると捉えることができる事柄を表す。 ただし、同じ動作を表す動詞でも、「始まりと終わり」、特に「終わり/終点」に着目してみると、ちがいの存在が見えてくる。 例えば、自転車を修理する(repair the bike)という作業を考えてみよう。これは目的が達成された時点で終了するが、それは作業そのものが本来もっている終点と言える。この作業を表現する話し手は、その終わ

【英文法の小径】現在形〈時制〉余話・その二

このシリーズのエッセイでは、代表的な状態動詞として know と like を取り上げた。どちらも「〜になる」という変化ではなく、その結果である「知っている/わかっている」「好きである/気に入っている」という状態を表す。そして、この状態はしばらく変わらない。 ちなみに、変化の過程は、例えば ‘get to do’ を用いて表現する。 いずれも、徐々に人のことがよくわかるようになったり、好きになったりしていく過程を表わしている。 さて、「状態」には、時間が経過しても変化し

【英文法の小径】現在形〈時制〉余話・その一

学習英文法書は従来、現在形の用法として、動作動詞は現在の習慣的行為を表し、状態動詞は現在の状態を表す、というように記していることが多い。本シリーズでも、そのような区別を前提として説明している。 ところが、上記の区別に対して、日本で英語教育に携わる(執筆当時)二人のネイティブスピーカーが、その著書の中で異議を唱えている。 一冊目が、マーク・ピーターセン著『続 日本人の英語』(岩波新書)。著者は、一般の文法書に記載の現在時制の用法として「①習慣的行動 ②現在の状態 ③一般的な

【英文法の小径】must〈助動詞〉その四

今回は、以前 must について書いた記事の補足のような内容です。 まず、must は、客観的な have to に対して、「話し手の個人的な感情や願望として必要性を述べる」と説明しました。 一方で、must (not) は次のような文面でもよく用いられます。 規則や法律を知らせる公的な標識や通知には、must (not) がよく登場する。a. はシートベルトの着用義務を、b. は手荷物の放置禁止を述べたもの。 次に、[must have + 過去分詞]は、「過去の事

【英文法の小径】非難・不満〈助動詞〉

可能性を表す could と might は、提案/助言を行う場面で用いられることがあることを前回確認しましたが、文脈によっては、相手を非難する表現になることもあります。 a. のような文で話し手は、ある行為を実行することが(その気になれば)可能なのに、相手がそれをしていない状況に対して、非難/不満を表明している。a.「もう少しやる気のあるところを見せようとしてもいいんじゃない」 b. の[could have + 過去分詞]という形式は、実現しなかった過去の可能性を表す

【英文法の小径】提案・助言〈助動詞〉

提案や助言に用いられる助動詞といったら、真っ先に思い浮かぶのは should かもしれません。今回は、その should 以外の助動詞が用いられる場合を扱います。 さて、人はだれでも、意思決定の自由を他者に侵されたくないと思っているもの。なので、その気持を尊重することは、提案や助言をする場面でも重視されます。行う行わないの判断を相手にゆだねるような言い方の一つとして、助動詞の could や might を用いることがあります。 いずれの例文も、可能性を表す could

【英文法の小径】命令・指示〈助動詞〉

命令や指示を表す文でも、must や have to などに加えて、will や can が用いられることがあります。 Will you be quiet! You will do as I say [as you are told].'Will you …?' は依頼や勧誘の他に、文脈/状況によっては、命令を表すことがある。このときは、will にアクセント(=ストレス)が置かれる。「静かにしなさい」 また 'You will …' で、命令を表すこともある。これは、聞

【英文法の小径】申し出・勧誘〈助動詞〉

申し出や勧誘を表す文でも、依頼・要請の場合と同じように、助動詞の will や can がよく用いられます。 a.  I’ll give you a lift to the station. b.  Can I do some shopping for you? will を用いた文(a.)では、相手のためになるような行為をする意志をはっきり示すことによって、can を用いた文(b.)では、自分にはそのような行為をすることが可能であることをそれとなく知らせることによって、

【英文法の小径】依頼・要請〈助動詞〉

人に何かをしてもらいたいとき、もちろん程度の差はあるけれど、誰でも遠慮を示しながら頼むもの。それは英語でも日本語でも変わらない。問題は、どうやって遠慮を表現するのかということ。 Will/Would you give me a hand with this?一つには、相手の意志の有無を確認する方法がある。意志を表す助動詞 will の出番だ。 丁寧さを増したければ、will の代わりに would を使う。一般的に、would, could, might といった過去形助

【英文法の小径】may/might/could〈助動詞〉その六

may を用いていることから、話し手が相手の発言の真実味を推し量っていることがわかる。ただ、後に ‘well’ が付いている。may だけの場合と、何がちがうのだろう? あまり自信のない推量を表す may/might/could に well を加えると、可能性の程度を上げることができます。どの程度上がるのか?(数値を使った説明には問題がないとは言えませんが、)50%以下から70〜80%くらいに可能性が高くなると考えていいようです。確からしさを表す副詞で言えば、perhap