【英文法の小径】現在進行形〈時制〉余話・その一
いわゆる「動作」動詞は、「状態」動詞とは異なり、始まりと終わりがあって、動きがある、つまり時間の経過とともに変化すると捉えることができる事柄を表す。
ただし、同じ動作を表す動詞でも、「始まりと終わり」、特に「終わり/終点」に着目してみると、ちがいの存在が見えてくる。
例えば、自転車を修理する(repair the bike)という作業を考えてみよう。これは目的が達成された時点で終了するが、それは作業そのものが本来もっている終点と言える。この作業を表現する話し手は、その終わりを認識しているはずだ。
次に、数学を勉強する(study math)という行為を見てみよう。これはいったい、いつ終わるのか。おそらく、行為者の都合、例えばその日のスケジュールとかによって決まるのだろう。この場合の終わりは、行為自体から生じるものではなく、恣意的な/任意の終点に過ぎない。それは、表現者の意識の前面ではなく背景にあるにちがいない。
このちがいは、例えば、現在完了(進行)形における用法のちがいとなって現れるが、それについては、既にこのシリーズでも何回か扱っている。
閑話休題。
Tom is repairing the bike.
Ann is studying math.
さて、動作動詞の特徴の一つは、進行形で用いられる、つまり[be + V-ing]の V に用いられること。言い換えれば、進行形[be + V-ing]の V には通例、(状態動詞ではなく)動作動詞が用いられる。
しかし、進行形全体=[be + V-ing]自体は「状態」を表わしている(この形式に用いられるのは be動詞である)。英語による現在進行形についての説明でも、次のようにパラフレーズされていることが多い。
進行形は、主語が「ある動作を行っている途中の状態にある」ことを表わす。もう少し言葉を補って言えば、ある動作の途中という状態が一定期間変わらずに続くのである。
なので、動作動詞は始まりと終わりのある行為を表すけれど、それが進行形で用いられると、その始まりと終わりは話し手の意識の前面から背景に退くことになる。代わって、途中であることが前面に出てくるのだ。
そのため、進行形を用いた文では、述べられていることがいつ始まって、いつ終わるのかということ、及びその正確な持続時間は重要ではない。
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