遅い台風に思うこと おじさん考 その3

(ハートネットTVで尾崎世界観、井手上漠、松本俊彦、ヨシタケシンスケによる若者向けの番組を見ながら)

2024年8月末の1週間。自転車程度のスピードで進む台風に、気分的にも大いに振り回される。月曜日。頭がとにかく回らず、人の名前もうまく思い出せないような、強いブレインフォグに見舞われる。仕事帰りの疲労が激しく、そのまま銭湯に向かったもののうまく眠れず難儀。火曜はほとんど役立たず。水曜の仕事はかろうじてこなしたが、木曜も湿度が高く、季節の変わり目のしんどさを痛感する。アルプラゾラム0.8mm1錠剤に変更してから2週間ほど、ベンゾジアゼピン系の薬から解放されるのはいつになるだろう。

金曜日はハンセン病資料館へ。具体的な話になったけれども、果たしてどうなるだろうか。楽観的ではあるけれども、これが自分の仕事かと言われると、ちょっと不明だ。
本日土曜日はクオンさんへの返品作業をひとまず終わらせる。メールも準備した。配信予定は月曜。

今週の調子がすこぶるよくなかったことを記録しておく。右手の冷え、首の痛みの再燃、心臓あたりの違和感、昨夜に襲われたほてりなど、ストレスフルな環境で敏感に反応するのは身体である。今回のおじさん考は、つまり自分のことであった。月初に受けた人間ドックの結果は3年前と比べてむしろよくなっていることに驚いたが、身体の調子は体感としてはいまのほうがよほど悪い。精神とはなんだろうか。

もちろん悪くなっているというか、経年している自身の身体が劣化しているところは指摘された。加齢によるもの、とは言われたが、そんなものなのかもしれない。こういうところを無理せずに受け入れる段階が、実際にやってきた。

ところで中井久夫が確か『家族の深淵』で、〈精神的内戦〉という言葉を用いていたような気がする。こういうところをしっかりと書き留めておかないといけない、本当は(きちんと探し出しておきます)。私はこの言葉に出会った時、ああ、そうだそうだと大きく頷いたことを覚えている。介護の最中にあって、自分の中にあるこのどうしようもない心のありようをこれほど的確な日本語で持って射抜かれことで、いっそう中井先生に入り込むようになっていった。中井久夫は実際に先生であったわけだが、本当に先生、とお呼びしながら読み進めているのだった。中井先生、ありがとうございます。

さて、この台風はとても気になったし、それによって内なる〈精神的内戦〉がまた少し勃発したとも感じたのだが、一方で、どういうわけか、過ぎ去る、ということも頭に浮かんだ。自分でも意外だったが、台風という自然現象になぞらえたことによって、なんとなく気分も安定した心もちになるのだった。野口晴哉の思想とも合わせて考えてみると、「自然」と「身体」との関係には個人的に非常に関心が向くところでもある。

今日のところはここまでに。いまはとにかく殴り書きなのだが、日々のリズムを作り出す一環として、このブログをしばらく続けることを目標にしています。


ああ、でも一つだけ。GHに明日の面会で電話をしたら、不穏が割と続いているとのことだった。いくつかのキーワードが浮かぶ。先方はうんぬんかんぬん言っていたが、認知症者には当然のことであって、あたかも家族が悪いかのような言い振りを感じさせる時点でどうか。

少し、いや、だいぶかわいそうだ、母が。わたしは、それぐらいには、当たり前のこととして、人の孤独についても考えている。罪悪感もある。中井先生なら、どういうことを言ってくれるだろうか?

◎『中井久夫集 認知症に手探りで接近する』(みすず書房)、中井久夫『日時計の影』などを少し



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