未解決事件簿24:セキュリティ・プライバシーの対策・ハッキング対策~国内メディアへの調査取材依頼も反応なし

今回は実際に行ったメール盗聴対策、ハッキング対策についてお話しします。
これを理解する上で、セキュリティ、プライバシーという、似て非なる概念に対する理解が必要です。これについてもお話ししたいと思います。
 
前回、国内メディアへのアポなし訪問も郵便物投函による調査取材依頼も全て失敗に終わった話をしました。

フジテレビ本社が僕の訪問を事前に予知して万全の対策が講じられていたというのは驚愕の事実ですが、僕のこの日の行き先に関する情報はメールや電話では一切話しておらず室内会話のみです。従って室内会話が盗聴されていなければこのようなことは不可能です。
 
またサンデー毎日のS記者と郵便物でのやり取りの経過中、郵便物が無断で蒸気開封された痕跡が見つかったり、郵便職員とS記者が同一筆跡であったりと、何者かがS記者とのやり取りを盗み見、妨害している事実が明らかとなり、郵便物での調査取材依頼という手段も使えないことが判明しました。
 
室内会話の盗聴、郵便物の違法な無断開封・傍受などから、僕の会話内容や発信内容を監視している何者かが存在していることは間違いない状況でした。この監視をすり抜ける以外に、この事件を世に出す方法はないと考えられ、そのためには高度な技術を習得する必要があると考えられました。今回はそのお話をしたいと思います。
 
X病院側に僕の通信内容が傍受されないような方法があれば、それがベストです。インターネット上で、ある特定の人間の行動を監視する場合、監視者は何をマーキングするのかをまず考えてみたいと思います。
 

監視者がインターネット上の特定の個人の行動を追跡する方法


特定の人間がインターネット上で残す痕跡を考えられるだけ挙げていきたいと思います。
 
・IPアドレス(ISP:プロバイダから提供)
・MACアドレス(各PC、ルーター等、機器に固有の番号)
・メールアドレス・パスワード
・環境変数(OS情報、ブラウザバージョン等)
・Cookie情報
・Google等検索行動(検索ワード)
・閲覧履歴・何に興味を示しているか?
・メール・電話の通信相手
・各種サイトのログイン履歴・情報
・キー入力の内容
・キー入力のスピード・癖
 
こんなものでしょうか。

IPアドレスとMACアドレス


IPアドレスはインターネットにおける住所のようなもので、プロバイダから割り当てられます。固定IPと変動IPがありますが、いずれにしてもそのIPアドレス(生IPと言います)のままインターネットに接続すると、監視者には自分の行動が容易く追跡・監視されてしまいます。

MACアドレスはPC、ルーター等、機器(ハードウェア)の製品出荷時に定められた固有の番号で変更することはできません。監視者からはこのMACアドレスも把握することができるため、これも監視に利用されます。
 
こちらの対策としてはIPアドレスとMACアドレスを偽装(スプーフィング)することになります。
 

Torブラウザとは


IPアドレスを偽装する方法として以前はプロキシサーバーを経由する方法が一般的でしたが、より強力な方法として、Tor(The Onion Router)ブラウザがあります。
これは米国海軍が開発した匿名ブラウザで、現在、オープンソースでTorプロジェクトの公式サイトから誰でもダウンロードして使用することができます。
 
Torブラウザの存在意義はインターネットで不可視になること、匿名性を獲得し、監視者から身を隠して極秘情報のやり取りをすることです。中国や北朝鮮などの一党独裁国家、中東やアフリカなどの抑圧的な独裁国家で言論の自由が保障されていない国々で、反体制の国民や活動家たちが国家の監視から逃れてやり取りをするために使用されるもので、それが本来の使い方です。
 
しかし、このTorは自分の身を隠すという性質上、犯罪にも悪用されるケースが後を絶ちません。10年近く前の話になりますが、ある匿名掲示板に犯罪予告が投稿され、無実の人が誤認逮捕される事件がありましたが、この事件の真犯人はTorを使用していたとされます。また闇取引のサイトを運営していた管理者もTorを使用しており、FBI(米連邦捜査局)が真犯人を特定・逮捕するのに難儀したとのことです。
 
このようにTorが悪用されるケースが少なくないことから、例えば米国の法執行機関、3文字機関などでは、Torユーザーを特定した場合、そのユーザーが監視対象(ターゲット)となり、その行動が24時間365日、リアルタイムで監視下に置かれるケースもあると言われており、必要ない場合には使わない方が身のためではないかと個人的には思います。
 
Torブラウザは入口ノード、中間ノード、出口ノードの3つのノードから成り、これらを経由して目的のホームページサーバーに到達します。つまり、このブラウザを使用すると、自分PC→ISP(プロバイダ)→入口ノード→中間ノード→出口ノード→ホームページサーバーという順にアクセスされます。パケットは暗号化され、それぞれのノードはそのパケットがどこから来たかは把握できますが、どこへ行くかは把握できません。これらの情報が入口ノード、中間ノード、出口ノードと3層のタマネギのように覆いを作り、ISP(プロバイダ)、入口ノード、中間ノードには真の行き先が分からないような仕組みになっています。

しかし最後の出口ノードではタマネギの皮が完全に剥かれた状態で、閲覧サイトが暗号化されたHTTPS通信に対応していない場合、原理的には、その内容を覗き見ることが可能です。ここがTorの最大の弱点とも言われており、Torを使用する場合には、閲覧サイトをHTTPS通信に限定するようなアドオン(例えば、HTTPS everywhere)を追加しておくことが重要です。
 

VPNまたはブリッジの併用でさらに強化


これにより、自分のIPアドレスを偽装することはできますが、このままの状態ではISP(プロバイダ)には、こちらがTorを使用しているという事実を把握されます。それを隠すためには、ブリッジかVPNを使用すれば、Torを使用しているという事実がプロバイダにも把握できなくなると言われています(これも僕自身の経験上、極めて疑わしいのですが)。
 

MACアドレスを偽装する方法


MACアドレスはPC、ルーターなどハードウェアに固有の番号で、インターネット上の特定の個人の監視・追跡に使われるのは先程述べた通りです。この監視、追跡から逃れるためには、MACアドレスを変更・偽装する方法(MACアドレススプーフィング)が必要です。MACアドレスを偽装するツールは数多くありますが、その中で、USBメモリで起動できるタイプのものを使用することにしました。日本人のユーザーはほとんどなく、僕が使用する時点では日本語で解説したページはなく、海外のサイトでマニュアルを読み、その通りに注意深くダウンロードして、このダウンロードが中間者攻撃等により改ざん・破損されていないことを然るべき方法で検証しました。USBで起動する方法が難しく、PC上の起動画面で設定を変更するなど試行錯誤し、正常に立ち上がる状態にするのに、かなりの年月を要しました。またこのツールのOSはWindowsでもMACでもなくLinuxという一般のPCユーザーにはなじみのないものであり、最低限の使い方ができるようになるのにも時間を要しました。最終的にある程度使えるようになるのに、2018年後半までかかりました。
 
このツールはインターネット上で自分の身を隠し、追跡から逃れる目的での使用を想定して開発されたものです。中国や北朝鮮などの一党独裁政権支配下で言論や表現の自由が担保されない抑圧された状況の中で、反体制的な活動家や国民がやり取り、活動をするために使用されていると言われています。彼らの言論や言動がその独裁国の政府や法執行機関に発覚すれば、逮捕・投獄、場合によっては粛清・処刑のリスクもありうる危険な状況ですが、このツールを使用すれば発信源や発信内容を秘匿しながら極秘のやり取りが可能と言われています。
 
つまり、このツールは国家機関の監視・追跡から完全に逃れられるとされているわけですから、このツールを使用すれば、X病院などの民間組織の監視・追跡など、容易く振り切れる、やっとこの時が来たと僕は興奮に打ち震えました。
 

作戦決行、いざ調査取材依頼へ


2018年10月に作戦を決行しました。
このツールでIPアドレスとMACアドレスを偽装し、その状態で海外の匿名メールアドレスを自分の身元に絶対に結び付かない方法で取得しました、各セッション毎にTorアイデンティティを更新して絶対に自分の身元に結び付かないばかりか、同一人物であることも見破られないように、細心の注意を払いました。情報提供の際は無記名で、電話番号や住所などの個人情報は一切記入せず、取得した海外の匿名メールアドレスは1社につき1つ使用することにしました。

ここまで徹底すれば、今回という今回は、必ず成功するはずだ、と自信を持っていました。

 朝日新聞、ワセダクロニクル(現Tansa)、週刊金曜日へ


今回選んだのは朝日新聞、ワセダクロニクル(現Tansa)、週刊金曜日でした。左寄りの報道機関を選んだのには理由があります。病院・医師は右寄りであることは皆さんもご存じの通りです。実はこのX病院の経営母体は現政権の自民党の大票田とも言われており、体制に守られていることは明らかです。この事件の調査取材依頼活動当初、この事件の隠蔽のために、政治家が奔走しているのではないかと疑ったこともあったほどです。このため、反体制のメディアを選ぶことにしたわけです。

朝日新聞は、日本の新聞の中では毎日新聞と並んで、体制に批判的な記事や投書を掲載することで知られる新聞です。

この中でワセダクロニクル(現Tansa)を選んだのが今回の新趣向です。早稲田大学は在野精神に富んだ大学で、ジャーナリズム精神に富んだ真のジャーナリストを育成することを目的として創設された早稲田ジャーナリズム研究所があり、そこから生まれた報道機関が「ワセダクロニクル」でした。被害者・弱者の立場に立つことを徹底し、地道な調査・取材により社会問題を掘り起こし、報道の力・ペンの力で悪に立ち向かうというその「精神」に感銘を受けるとともに、ここなら父の医療事故・未解決大事件を取り上げてくれるのではないかと大いに期待しました。
 
これらのメディアに対して、既に取得した匿名メールアドレスを使用して情報提供、調査・取材依頼をしました。1度送信してから1か月間、着信記録を確認し続けましたが、返信は全くありませんでした。気を取り直してもう一度送りましたが、やはり返信は全くありませんでした。全社とも取材対象として検討するか取り下げるかの判断に迷っているのかと考え、しばらく待ちましたが、やはり何もありませんでした。「検討します」、「取り下げます」などの最低限の返事さえ全くなく完全無視でした。
 
国内メディアに情報提供、調査・取材依頼を申し込んだときの対応というのは、こんなものなのでしょうか。全例、一言の返信もなく押し黙るものでしょうか。
 

国内メディア・報道機関から反応が全く来ないのは何故か?

病院からの圧力、病院に阻止されている可能性


こちらの渾身の調査・取材依頼が全社からことごとく無視されているのでしょうか。それともこちらの調査・取材依頼をX病院が何らかの方法で阻止しているのでしょうか。僕の現在のIT技術では、その判別は不可能です。しかし、僕たちの涙ながらの渾身の依頼を、今回の3件×2の6件を含めた数十社が全て無視する可能性はどれくらいあるでしょうか。1社が無視する可能性は9割としても、数十社全てに無視される可能性は、ゼロに等しいと言えます。20社とすれば、0.9の20乗で0.12、つまり12%しかないことになります。
 
いずれにしても確率論から導かれる結論は「こちらの調査・取材依頼をX病院が何らかの方法で阻止している可能性が高い」というものです。
 
「阻止している」ということは、僕の通信はX病院に把握されているということです。でも一体どうやって?というのが疑問です。先程もお話ししたように、中国や北朝鮮のような一党独裁国家で、反体制的な言論が発覚すれば投獄、最悪の場合処刑もあり得るという恐るべき状況の中、その状況から逃れるために使用していると言われるツールを使用しているわけですから、単なる民間病院組織では技術的には到底太刀打ちできないはずです。しかし現実は僕の通信はX病院側に捉えられ、阻止されてしまっている可能性があるわけです。もしそうであれば、X病院当局には大国の法執行機関や捜査機関と同等かそれ以上の最高度のIT技術・諜報技術があるということになります。
 
これだけのことをやっても上手く行かない可能性を次のように考えました。

①     日本のメディア・報道機関への調査取材依頼は届いているがX病院当局から圧力を受けて沈黙している
②     こちらのツールの使い方に不備がありメディアへの調査取材依頼が阻止されている
③     X病院当局のIT技術がずば抜けていて、こちらが通信秘匿ツールを上手く使っても追跡・監視が可能
 
もし①であれば、日本のメディアではなく海外メディアへの調査取材依頼が有力な手段となります。②の可能性もあり、ツールの使い方に不備や改善すべき点がないかを改めて検討することも重要です。
僕はこれらを組み合わせることにしました。
つまり、ツールの使い方の不備を見つけ改善し、海外メディアに向けて調査取材依頼する方針としました。
 
次回はそのことについてお話しします。
 
追記①:最終目標は病院・医師の実名報道
僕の最終目標はこの事件を明るみに出して、この病院・医師の実名報道を実現することです。メディア関係者、記者、ジャーナリストの方でこの事件に興味があるという方がいらっしゃいましたら、是非、ご連絡いただきたいと思います。また知り合いにそのような方がいるという方は、是非、知らせていただければ誠に幸いです。 
 
追記②:「フォロー」と「スキ」のお願い
この事件に興味がある、この病院・医師が許せない、この病院はどこの病院なのか気になる、実名報道まで見届けたいと思われた方は是非、「スキ」と「フォロー」をよろしくお願い致します。


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