見出し画像

〜声の自信を失い、声の自信を取り戻すまで〜


心は軽率に壊れる


「あんたの声、マイク乗り悪いね」

たぶん、特に他意のある言葉ではなかったと思います。
高校2年の秋、文化祭のオープニング準備のため、体育館で音響確認をしていた時のことでした。
一瞬思考のすべてが固まって、そのすぐ後に、何かを誤魔化すようににへらっとした笑いが出ました。

「え~」

ひとことしか、反応ができなかった。
いや、これはもう、反応したとすら言えない。

今私は何を言われたんだろう?
え?それってどういうこと?
なんでそんなこと言われなくちゃいけないんだろう?
え?え?え?

処理しきれない情報と感情がぐるぐる巡って、作業を続けつつも、頭はそのことでいっぱいでした。
別に、このことが決定打だったわけじゃないけれど、こういった小さなことがいくつも積み重なって、私は声を出すこと、つまり自分を出すことへの自信を失いました。

すべてのアウトプットの基本となる「声」

声を出す、話すということは、アウトプットの基本となることだと思っています。
音だけでなく、言葉を意味ある連なりにして発することは、ただのコミュニケーションにとどまらず、自分を出すこと、つまりは生きること。
それは根本的な生きる上での土台となる力に、大きく関わってくることでもあります。

その力は、たくさんの専門用語や表現で語られてきました。
自己承認、自己有用性、自尊心、自己肯定感、自己愛、ニーズ、長所・短所などなど。

そんな生きる上で誰にとっても大事な力は、なにか、とても些細なことをきっかけに、一瞬にして崩れてしまいます。

私の場合は、友人からの何気ないひとこと。
でもきっと、記憶にすら残っていないような、とても小さな出来事がたくさん積み重なって、決壊したのがこの出来事だったのかもしれません。
うん、そうね、他にもあった気がする。

あなたにも、そんな経験があるんじゃないでしょうか?

声に関することだけじゃなく、例えば字が汚いと言われたとか、いつも注意されることとか。
友人からだけでなく、学校の先生から言われたこととか、家族や親戚に言われたこととか。
もしくは、うまくできる人がいて、自分は頑張ってるのに、そんなふうにうまくできないこととか。
なんでいつも私だけ褒めてもらえないんだろう、とか。

相手は、あなたの心に傷がついたなんて、これっぽっちも思っていなくて、なんで言っちゃいけないんだくらいに思っていて、だからきっと覚えてすらいないこと。

でも、あなたの中にずっと残っている、トゲ。
そのトゲのひとつが、私にとっては「声」だったようです。
ある時を境に、定期的に喉を酷く痛めて、声も出せなくなるようになってしまいました。

声も出せないほどの、ひどい喉風邪

元々体が弱いこともあり、体調にはそれなりに気をつかってるつもりなのに、ここぞというタイミングで喉を痛めてしまうんです。
部活の合宿のタイミングで、他校とのディベート合宿のタイミングで、デートなのに、大事な仕事が入っているのに。

そのころは、単純に体調不良による喉の不調だと思っていました。
私がちゃんとしなかったからいけないんだ、遊びすぎたからだ、寝てるときに口が開いてたのかもしれない、窓を開けて寝たせいかもしれない、寝具が寒かったのかもしれない。

まあ、まったくそのせいじゃないとは言えないんですが……。

声に自信をなくした私は、淡い憧れを持っていた職業を目指すことを諦め、その他大勢に埋もれる仕事を選び、定期的に訪れるひどい喉風邪(と当時は思い込んでいた)に、「ああ、また来たか」くらいにしか反応しなくなっていました。

とはいえ、コミュニケーションの基本である声が出せなければ、仕事もプライベートもすべてがままならなくなります。

そこで、当時ジャズダンスを習っていた先生が帰国したのを機に、ボイストレーニングを習い始めました。
弱い喉を鍛えられたらいいな、くらいにしか正直思っていなかったのですが、元々歌うことも好きだったということもあり、プロアーティストコースを選択。
初回の体験レッスンで、いちばんはじめに教わったのは「体は楽器」という考え方でした。

生まれ持つ楽器、「声」

すとん、と。
不思議とすんなり納得したのを覚えています。
声は口から出ていて、喉がやられると声が出ない。
それくらいの認識でしかなかったものの、カラオケで気持ちよく歌ったときの、響いてくる感覚。
幼少期からピアノを習ったり、管弦楽に力を入れた学校に通っていたことも手伝って、音楽の響きを全身で感じる機会も多くありました。
また、骨伝導の商品が世の中に登場していたこともあり、「そうか、楽器か」とそりゃそうだぐらいに当たり前に受け入れていました。

そんな「なんとくなく」で始めたボイストレーニングは、やがてライブに出演するようになり、オリジナル曲を作詞作曲するようになり、コンピレーションCDにアーティスト参加するまでに。
初めてのライブは、今では考えられないくらいにNo MC、歌ったら即退場という、ひどい緊張ぶりを見せた話はまたいつか。

何年も何年も通い続けて感じたのは、声を出すことの気持ちよさ。
ある時、歌っている最中にふと、羽が生えたのかな?と思うくらいに伸びやかに歌えていることに気づきました。

その頃にはもうすっかり「マイク乗りが悪い」なんて言われたショックも薄れ、自分の歌を自分で弾き、自分で歌うことにためらいがなくなっていました。

さらに、毎年悩まされていたひどい喉風邪にも、いつの間にかかからなくなっていたのです。
(ちなみに、喉についてはその後いくつかの要因をきっかけとして声が出なくなることがありました。)

ボイストレーニングがもたらした、たくさんの恩恵

喉風邪にかからなくなったこと、声に自信を持てるようになったこと、人前に出ること、自分を出すことへの恐怖を小さくすることができたこと。
それらはすべて、ボイストレーニングを楽しんで歌っているうちに、いつの間にか達成することができました。

何かを克服したり、課題を解決する時には、課題そのものに焦点を当てない方が良いことは多くの専門家も話している事実です。
それを無意識に、自然と、結果的にそうなってしまったのが、私にとってのボイストレーニング。

やがて、イメージコンサルタントとしての知識とスキルを身につけ、プレゼン力を磨き、OLから演者に転身を果たして約8年間テレビの生放送の現場で番組に出演し続けることができました。

すべての人にボイストレーニングを

私の場合は、演者に転身までしてしまいましたが、声を出し仕事に活かすことは誰にとっても日常に行えることだと思います。

また、声を出すだけがボイストレーニングではありません。

声は、息によって振動を作り出し、その振動を調えることで音として発信されます。
声とは振動エネルギーのことなのです。
そのエネルギーを作り出すために、私たちは全身を使っています。
そこには、その人のすべてが詰まっていると言っても過言ではありません。

日本には古くから、「言霊」という考え方がありますね。
声は振動であり、エネルギーであり、発する人の情報が乗るという事実は、まさに言霊のことを語っているとは思いませんか?

ボイストレーニングをすることで、自分から発する振動をよりよくアップデートすることができます。

実を言うと、ボイストレーニングを経験した多くの人が「いい声になった」ことだけを喜んでいるわけではないんです。

「自分に自信が持てるようになった」
「心が落ち着くようになった」
「楽しい気分が作れるようになった」
など、内面の変化をたくさんの方が実感しているんです。

その上、
「顔が引き締まった」
「スッキリした気がする」
と言った感想も出るほど、ボイストレーニングにはたくさんの効果があります。

声を出すトレーニングは、音楽の授業以外には受けたことがない人が大勢います。
自然としゃべれていたから、なんとなくできるから。

しかし、あらためてウォーキングレッスンが効果的なのと同様に、ボイストレーニングもしっかり受けると、抜群の変化を感じるものです。

私は、そんな誰にとっても重要となるボイストレーニングを、どうやったら無理せず自然に日常生活で活かせるか、さらには自分自身でトレーニングできるようになることを目標に考え、地声ボイトレにたどり着きました。

自分の声で、自分自身の歪みを取り除き、自分に自信が持てる声へとアップデートする。
それが地声ボイトレです。

ボイトレに興味がある、地声ボイトレを受けてみたい方は
こちらのリンクへお進みください。

今後も声のことや自分自身のアップデートについて更新していきます。
ぜひ、フォローお願いします!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?