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◉今お寺に求められている3つのこと②御朱印(参拝記念印)【お寺の日々#182】

日本のお寺に今求められていることはどんなことでしょうか。

色々あるかと思いますが、今回は具代的に三つを取り上げてみています。

昨日は、その一つ目として、「ショート法話」と「お寺の掲示板」について書きました。

▼前回のブログはこちら
https://note.com/theterakoya/n/nb8e52880229c

今回は、二つ目として「御朱印」(参拝記念印)ついて、取り上げてみたいと思います。

◆御朱印の現状

今お寺に求められていることの二つ目として、「御朱印」(参拝記念印)を挙げました。

「御朱印」 は、2014年頃よりメディアで話題になり始め、2016年から本格的なブームが始まったと言われています。

「御朱印ブーム」 は2019年にピークを迎えますが、2020年にコロナ禍に入り、不要不急の外出が制限される中、その波は一旦落ち着きます。

しかし、Googleトレンドで「御朱印」への関心の動向を見てみると、多くの方がコロナ禍の中でも「御朱印」に関心を持っていたことが分かります。

神社やお寺側が、参拝できない方へ郵送対応をしたことや、遠方に行けないなら近くのお寺や神社にお参りしようという機運も影響したことでしょう。

ピークほどではないにしろ、コロナ禍でも「御朱印」をいただいた方の数は安定的にいたことが、関心の高さから伺えます。

「御朱印」の現状としては、2019年のピークほどではないにしろ、2016年の「御朱印ブーム」時よりも関心が高い状態です。

「御朱印」が、神社やお寺へお参りをする際の文化として、定着しつつあることが伺えます。

◆御朱印を受けた方の割合

また、20代から70代までの日本の男女10,000名を対象にしたインターネットでの全国的な調査によると、神社やお寺で「御朱印」をいただいたことがある方の割合は27%とのことです。

(寺院・神社に関する生活者の意識調査 2021年6月実施/一般社団法人お寺の未来総合研究所)

商品やサービスを世の中に普及させようとする際に、その普及率が人口の16%を超えられるかと注目する指標があります。

キャズム理論と言いますが、人口の16%以上に普及や認知されれば、それは一部のマニアだけのものではなく、大衆化していく可能性があると見れるような指標です。

「御朱印」を受けた方が、27%いるという数字からは、「御朱印」が一部のマニアが集めるものから、既に大衆化してきていることが伺えます。

ちなみに同調査で、「御朱印」を10回以上いただいたことがある人の割合は13%でした。

10回以上、「御朱印」を受けたことがある方は、神社やお寺へかなりの回数参拝をされる方と思われます。

その方々が、16%のキャズムにせまる13%ということですから、いかに「御朱印」が定着してきているかが分かります。

73%の方がまだ受けたことがないという見方もできますが、その方々は何かをきっかけに「御朱印」を受ける可能性がある潜在層と見ることもできるでしょう。

◆神社やお寺にお参りをする方の割合

というのも、同調査で、一年間に一度は神社やお寺にお参りするという方の割合は72%となっています。

2022年時点での、20代〜70代の日本人の人口は、約9,362万人です。

仮にこの人数に72%を適用したとすると、約6,740万人になります。

(20代〜70代の)日本人の約6,740万人の方が、一年間に一度は、お寺や神社にお参りをしていると考えると、かなりの人数だと感じます。

初参りや七五三、初詣なども考えると、未成年や幼児も、神社やお寺にお参りをしていることは十分考えられます。

そうすると、神社やお寺にお参りをする方の数は、もっと多い可能性もあります。

単純計算なので、実数とは違う可能性ももちろんあります。ですが、肌感覚としても、多くの方が、一年に一度は神社やお寺にお参りをするということは間違いないでしょう。

こうした方々の中で、まだ「御朱印」をいただいたことがない方も、何かをきっかけに「御朱印」をいただくことがあるかもしれません。

◆日本人の宗教性

ちなみに、日本人を対象にした様々な統計では、「普段信仰している宗教がある」や「信仰心がある」と答えた方の割合は、約30%程度となっています。

この数字は、他国と比較すると少なく、日本人は無宗教の人が多いと言われることがあります。

ただ、私はこの言い方は適切ではない(解像度が低い)と思います。

ここで言われる無宗教とは、「特定の宗教や宗派を信仰していない」という意味でしょう。

つまり、無宗教の人が多いというのは、「特定の宗教や宗派を信仰していない人の割合が多い」といったほうが適切だろうと思います。

ただし、祈願のために神社やお寺にお参りをしたり、供養のために法事やお墓参りをしたり、素朴に神仏を拝むということまで含めると、日本人はとても宗教的な行為をしています。

それが、72%もの人が一年間に一度は神社やお寺にお参りするという数字に表れているように思います。

そういう意味から言うと、日本人は、非常に宗教性が豊かな人たちではないかと思います。

私は、日本人の信仰を捉える時に、「宗教」という言葉よりも、「宗教性」という言葉で捉えた方がしっくりきます。

特定の宗教や宗派は信仰していないけれども、宗教性が豊かなのが日本人である。

(もちろん、特定の宗教や宗派に信仰心を持った方も一定数おられます。)

その宗教性が、「神社やお寺にお参りをする」という行為や、「御朱印をいただく」という行為に表れているように見えます。

「御朱印」は、こうした日本の現状に合ったものではないかと思えます。

続く

2024.04.18(木)記す

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