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◉キッズサンガでの仏教話②【お寺の日々#171】

先日、信行寺にて開催した「キッズサンガ」(子ども会)の日は、「春のお彼岸」の最終日でした。

キッズサンガでは、毎回仏教のお話をしていますが、この日はお子さんに向けてお彼岸の話をしました。

その時にした話を、前回からお届けしています。

もうお彼岸は終わってしまいましたが、宜しければご覧くださいませ。

▼ 前回の内容はこちら
https://note.com/theterakoya/n/n848b433b8d0f

◆なぜお彼岸にお参りをするのか

なぜお彼岸に、多くの方がお寺やお墓や納骨堂にお参りをして、亡くなられた方に手を合わせるのでしょうか。

一つには、太陽が沈む西の方角は、いのちが還っていく場所であるという考え方があります。

特に、私たちの浄土真宗では、阿弥陀仏という仏様の国である浄土(じょうど)は、西側にあるとお経の本に書かれています。

ですので、阿弥陀仏の浄土は、西方極楽浄土(さいほうごくらくじょうど)とも言われます。

美しく沈んでいく太陽の方角に、仏様の極楽浄土はあるのではないか。

そして、亡くなられた方が、あちら側から見まもってくれているのではないか。

そういう考え方が、日本では生まれ、広まっていくのですね。

そして、春分の日、秋分の日には、ちょうど真西に太陽が沈みます。

そうしたお彼岸は、亡くなられた方が心理的に近くに感じられる特別な日であるという考え方が生まれてきたようです。

その特別な日であるお彼岸の期間に、お寺やお墓や納骨堂にお参りをして、亡くなられた方に手を合わせるという文化が、日本では育まれていきました。

◆亡くなられた人とつながり直す

身近な人が亡くなると、私たちはどういう気持ちになるでしょうか。

寂しい、悲しい、つらい、もっと一緒にいたかった。そんな色々な気持ちが湧いてきます。

そして、別れたままではなくて、別れたことを受けとめ直して、つながり直したいと思うこともあります。

そのような中で、季節の節目に亡くなられた方を思って手を合わせるという文化が育まれていきました。

その一つが、お彼岸です。

亡くなったおじいちゃんやおばあちゃんは、今頃どうしているだろうか。

おじいちゃんやおばあちゃんを亡くした人は、そう思うことがあるかもしれませんね。

今はペットも家族ですから、亡くなった犬や猫はどうしているだろうかと思う人もいるかもしれません。

そうした、自分からすると大切な人や家族が、亡くなったらどうしているだろうかと思うことがあります。

その時に、亡くなった方のことを近くに感じることができる。見まもってくれていると思うことができる。

そうした考え方や世界観をもてるということは、私たちの悲しみやつらさを和らげて、生きる支えになることがあるのですね。

ある男の子が、小学校の一年生になる前に、おじいちゃんを亡くしました。

おじいちゃんは、その男の子にランドセルを買ってくれた後に、亡くなったそうです。

でも、男の子がランドセルを背負って、小学校に行く姿を見ることはありませんでした。

その男の子が、小学校に入学した後に、文章を書く授業があったそうです。

その時に、その男の子は、このような文章を書いたそうです。

「おじいちゃん、ランドセルを買ってくれてありがとう。これからもお浄土から見まもっていてね。」

こんな文章を孫が書いたのですよと、おばあちゃんがお寺まで持ってきてくださいました。

ランドセル姿を見ることなく亡くなったおじいちゃん。でもきっとみまもってくれているのではないか。

そういう考え方や世界観をもてることで、私たちは悲しみやつらさが和らぎ、生きる支えになることがある。

そのようなことを、その男の子の話から思いました。

その男の子は、小さい頃から信行寺とご縁があった子でした。

浄土という言葉を使っていることに驚きながらも、仏縁が育まれていたことを嬉しくも思いました。



お彼岸は、身近な亡くなった方のことを思いながら、お寺やお墓や納骨堂にお参りをして、手を合わせる方が多くおられます。

それは、大切な方との別れを受けとめ直し、つながり直す行為でもあります。

そうした考え方もあるということを、頭の片隅にでも置いておいてもらったら幸いです。

終わり

2024.03.29(金)記す

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【信行寺 今後の催し】
◉朝参り
・4月7日(日)午前8時〜約30分
・内容:読経・ストレッチ・法話

◉オンラインお寺参り
・4月27日(土)午前7時~約30分間
・内容:読経・法話

◉永代経法要
・5月17日(金)、18日(土)13時30分~15時頃
・内容:読経・講演
・講師:尾角光美さん(一般社団法人リヴオン代表理事)

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合掌

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