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今に感謝し満たされる習慣【仏教ひとくち法話】

こちらは、2021年1月12日におこなわれたお寺の朝会での法話の内容を、文字起こししたものです。

▼動画でご覧いただけます

「ヘルシーテンプル@オンライン」の全国版。本日も150名近くの方にご参加いただいております。

幸せを育む法話の時間ということで、これからご参加の皆様と共に、人生や幸せについて考えさせていただきたいと思います。

私にとっては、全国版のヘルシーテンプルでは、今日が今年最初の担当となります。私は今年初めての担当ということで今日はですね、お正月にまつわる言葉を一つ紹介をさせていただきます。

私が勤める信行寺でも「ヘルシーテンプル@オンライン」をおこなっておりまして、先週その言葉を紹介させていただきました。全国版では、まだお話をしていませんので、こちらでも紹介をさせていただこうと思います。

皆様 一休宗純禅師をご存知でしょうか。臨済宗の僧侶で、昔のアニメ一休さんのモデルになったことでも知られる、実在のお坊さんです。その一休禅師が正月にまつわる言葉を遺されているんですね。このような言葉です。

門松は冥土の旅の一里塚 めでたくもあり めでたくもなし

この言葉をご存知の方もあるかと思います。一里塚(いちりづか)とは、街道のそばに一里ごとにつくられた土盛りのことだそうです。昔、旅人が旅をする際の目印としていたものだそうです。一里というと約4Kmくらいで、4Kmごとに土が盛ってあって、自分がどれくらい進んだかを確認できるのが、この一里塚というものだそうです。

この歌では、人生を旅にたとえ、門松を飾る正月が来るたび、冥土が近づいている。正月はめでたいが、めでたいばかりでもないということを皮肉的に歌っているように思われます。

この歌の意味は、現代では誕生日で考えると分かりやすいかと思います。我々は、ある一定の年齢になると、誕生日が来て歳を重ねるたびに、複雑な気持ちになるということはないでしょうか。

もう自分は40歳になったのか、もう50歳か、もう還暦か。もう70歳か、もう80歳か。色々なご感想をお持ちかと思います。振り返ってみると早くもあり、自分がそれほどの年齢を重ねていることに驚きの思いをもつ方もおられるのではないでしょうか。

昔は数え年で、正月になると一つ歳を重ねるという数え方でしたから、正月は今でいう誕生日の感覚があったのかもしれませんね。

門松は冥土の旅の一里塚 めでたくもあり めでたくもなし

先日、誕生日を迎える気持ちをこのように表現されている方がおられました。

「誕生日は記念日というより、感謝がまさる歳になりました」

素敵な言葉だなあと思いました。考えてみると、誕生日を迎えられるかどうか、お正月を迎えられるかどうか、我々分かりませんね。

今年も誕生日を迎えることができました。今年もお正月を迎えることができました。自分が迎えられた、家族と迎えられた。そんな色々な喜びが、本当はあるのでしょうね。

当たり前が当たり前ではないことに気付かされていく時に、感謝の思いもわいてくるように思われます。

幸せというものは、自ら掴んでいくタイプの幸せもあります。自分が欲しいものを手に入れる。また、自分がしたいことを一つずつかなえていく。そういうことで、幸せを感じるということは、我々ありますね。

また一方で、今に満足していくというタイプの幸せもあります。何かを新たに手に入れたというわけでもなく、何か状況が変化したということでなくとも、今あるものを受けとめていく。今あるものを受け止めて、満たされていく。そのような種類の幸せです。

今年も正月を迎えることが出来ましたというのは、まさにこの今に満足していくタイプの幸せかと思います。

我々、仕事や学校などで、ノルマや人と比較されるような社会をずっと生きてます。その中で、我々は成長していこうとか、人と比較して、もっとより良くなっていこうというような思いをもち、そちらに引きずられていくような気がします。

成長意欲は大切ですが、その中で自分を認めることもないと苦しくなります。ですので、現代を生きる我々は、意識的に今に満足していこうとする習慣も大切かと思います。

仏教には、欲を少なくして足るを知る「少欲知足」(しょうよくちそく)という言葉があります。聞かれた方もおられるかもしれませんね。少欲知足を意識していくことが、今あることに満足し、感謝していくことにもつながっていくように思われます。

そこで、ウェルビーイングダイアローグより、今日の問いです。

自分に対して「ありがとう」と言いたいことは?

スライド10

今に満足する習慣の一つとして、自分にありがとうと言いたいことについて、考えさせていただきたいと思います。

この後、ご参加の皆様のご意見を伺ってまいりたいと思います。まもなく7時20分となりますので、いったん閉じさせていただきまして、その後、チャットで対話をさせていただきます。

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最後までご覧いただきありがとうございます。

合掌
福岡県糟屋郡宇美町 信行寺(浄土真宗本願寺派)
神崎修生

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