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2024年6月に読んだ本(8冊)

今年の1月から継続している“自主的強制読書ブーム”

6月は8冊の本を完読できたので、1月から数えて44冊になった。

1〜5月に読んだ本はこちら👇


「読みはじめたキッカケ」「ひとこと感想(👈 NEW)」「Bestパンチライン」のフォーマットで今月の完読本を紹介していきます。

成瀬は信じた道をいく

読みはじめたキッカケ
先月読んだ『成瀬は天下を取りにいく』の続編がAudibleで聴けるようになっていたので、早速聴いてみることにした。

‘成瀬シリーズ’は、サクッと読みきれる(聴ききれる)ボリュームなのがいい。

いつの間にか、対象のタイトルが「聴き放題」になったAudibleはいいぞぉ。

ひとこと感想
ハラハラする展開も、唸るような仕掛けもないのに、なぜ引き込まれていくのか分からない魅力が“成瀬の本”にはある。

そして、自分自身の価値観を肯定されているような感覚になる。だから多くの人が成瀬の物語を心待ちにしているのだろう。

3作目の発売が今から楽しみだ。

Bestパンチライン

あかりが突然変異で生まれたディープインパクトだとすれば、親元を離れて羽ばたこうとするのも無理のないことかもしれない。

成瀬は信じた道をいく

ガザ 日本人外交官が見たイスラエルとパレスチナ

読みはじめたキッカケ
連日報道され、SNSでも数多くの投稿を間にするイスラエルとパレスチナの問題。

妻がCOTEN RADIOでこの問題について勉強していたので、自分も「今月の課題図書として何か読んでおこう」と思い立った。

この問題に対して、関心はあるものの、大前提の知識が無さすぎる。

いきなり本を選ぶ前に、大枠を掴むために“コアラ先生”の動画を何回か観た。

そのうえで、「実際に現地で生活し、客観的な立場で、直近の事象も踏まえながら書かれている本」として、中川浩一さんの本書を選んだ。

ひとこと感想
目の前で起きている問題には、歴史と背景が必ず存在するということを再認識させられた。

これは戦争とか政治や宗教の問題のみを指しているわけではない。

身近に起こるすべての問題のことを含めて、そう思う。仕事や家庭など、本当にあらゆる大小さまざまな問題には、歴史(経緯)と背景が必ずある。

それらの問題を本質的かつ、根本的に解決していくためには、多くのステークホルダーの意見や希望、不満を丁寧に掬い取っていくインプットが欠かせない。そして、このインプットをもとに解決策を導いていく。

このプロセスの難易度を最大限まで高めた問題こそが“ガザ”なのだと思う。

遠くの地にいる私たち残された問いは、「自分たちに何ができるか」だろう。
今のところ、UNHCRなどの難民支援団体•協会を通じた寄付や、このnoteを書くような発信活動くらいしか思い浮かんでいない。

Bestパンチライン

イスラエル・アラブ紛争の本質はエルサレム問題でなく、難民問題である。ガザに住むパレスチナ住民の約8割が難民であるという事実、周辺アラブ諸国を含めると、約400万人のパレスチナ難民が存在するという事実を決して忘れてはならない。

ガザ 日本人外交官が見たイスラエルとパレスチナ

21世紀少年 完全版 上下

読みはじめたキッカケ
高校〜大学時代にかけて読み続けていた『20世紀少年』

その完全版である『21世紀少年』を読んだ記憶がなかったので、読んでみることにした。

ひとこと感想
なんせこの漫画を読むのは15年以上ぶりである。
ところどころ忘れていたので、出来るだけ記憶を確認していくように慎重に読んだ。
(とんでもない歳月が流れていたことに驚く)

「ともだち」の正体は『20世紀少年』も『21世紀少年』も変わらない。

しかし、さすがの完全版。モヤモヤした記憶がある前者の最終話とは対照的に、後者にはスッキリした読後感があった。

高校時代に地元の“ともだち”の家ではじめて読んだ作品が、20年弱の時を経て、ようやく完結した気がした。

※「Bestパンチライン」は割愛します

女のいない男たち

読みはじめたキッカケ
世界的に評価された映画『ドライブ・マイ・カー』の原作が収録されているといるこの本。

“映画は原作を先に読みたい派”なので、とりあえずこっちから着手することにした。(まだ映画観てません)

ひとこと感想
どの短編も丁寧に主人公の内面が描かれていておもしろかった。
もちろん、『ドライブ・マイ・カー』も。

特に印象的だったのは『木野』だった。まだまだ続きが書けそうな、“続きが気になる”作品だった。

自分もいつ“女のいない男たち”に仲間入りするか分からない。
そうなることに怯えることなく、日々を大切に生きようと(そういうことを伝えたかった作品ではないことは読んだ自分がいちばんわかっているが)感じた。

Bestパンチライン

ある日突然、あなたは女のいない男たちになる。その日はほんの僅かな予告もヒントも与えられず、予感も虫の知らせもなく、ノックも咳払いも抜きで、出し抜けにあなたのもとを訪れる。

女のいない男たち

決定版 インドのことがマンガで3時間でわかる本

読みはじめたキッカケ
昨年、仕事でフィリピンの平均年齢や人口ピラミッド、宗教、国民性や文化などについて調査をした。

その時に、日本をはじめ、ASEANや先進国、発展途上国の平均年齢や人口ピラミッド、そして国としての勢いなどを自分なりに比較してみた。

それが凄く面白かった。

まずは、最近なにかと話題のインドについて知ろうと思い、この本を手に取った。

以前、土井善晴さんとの共著『料理と利他』を読んだことがある中島岳志さんが、このインドの本の著者のひとりだったこともあり、本書に興味を持った。

ひとこと感想
まず最初に伝えたいのは、私は「3時間では読めなかった」ということだ。

2ページ毎に「文章⇒漫画」という構成が淡々と続き、そのまま終わっていく本書。なかなかページが進まない自分がいた。
おかげさまでストーリー性がある本の個人的重要性に気づけた。

読了後は、当たり前すぎる感想だが、やはり一度行ってみたいと思った。

現地の人たちのエネルギーや混沌具合、さまざまな宗教が混ざり合った文化。本で得たこれらの知識を自分の目で確認する機会をいつか得たいと思うようになった。

ただ、5歳と1歳半の娘たちを連れて旅行に行くにはハードルが高そうだ。

何年先になるか分からないが、インド旅行の計画を立てたいと思った。

Bestパンチライン

インドは2018〜2022年における世界最大の武器輸入国となっており、世界全体に占める割合は約11%である。
伝統的に関係の深いロシアからの輸入がもっとも多いが、2010年代以降は武器の調達先が多様化し、フランスなどからの輸入が増えている。

決定版 インドのことがマンガで3時間でわかる本

走ることについて語るときに僕の語ること

読みはじめたキッカケ
『女のいない男たち』を読み終わるころ、村上春樹氏がかなりガチめのランナーだということを知った。

私は2018年〜2019年に掛けて、約500日連続で毎朝5-6kmのランニングをしていた経験がある。フルマラソンは3度完走し、いずれも4時間を切るタイムでゴールしている。

しかし、2019年に長女が生まれてから、その忙しさと夜泣き&朝泣きの酷さを理由にランニングが続けられなくなってしまった。

この毎日のランニング(もはや朝でなくてもいい)習慣を復活させるキッカケを掴みたいという想いと、村上春樹という“机に向かう偉人”がシリアスランナーだという事実が、この本を手に取った理由だ。

ひとこと感想
この本を読んでいる途中に、私は「夜ラン」をはじめた。

子どもたちを寝かしつけた後、食器洗いや洗濯が終わって、まだ時間が残されていたら、走る。

走りながら、Audibleでこの本を聴きすすめる。その時間が至福だった。汗だくが気持ちいい。選書は大成功に終わった。

「走り出したくなる」ということに加えて、この本は「新しいことをはじめたくなる」という魅力を持っている。

それは、村上春樹氏が「小説を書きはじめるキッカケ」について書いてあるからだ。

神宮球場で野球を見ていた村上春樹氏。一回裏、ヤクルトの打者ヒルトンが二塁打を放ち、その瞬間に「小説を書いてみよう」と思い立ったそうだ。

思い立ったが吉日。ふと浮かんだ直感をスルーしなかったからこそ、数多くの名作が生まれたことを自分も見逃してはいけないと思った。

Bestパンチライン

自分のやりたくないことを自分のやりたくない時にやらされることに、昔から我慢できない。そのかわり、自分がやりたいことを自分がやりたい時に自分がやりたいようにやらせてもらえたら、人並み以上に一生懸命やる。

走ることについて語るときに僕の語ること

子どもに伝わるスゴ技大全 カリスマ保育士てぃ先生の子育てで困ったら、これやってみ!

読みはじめたキッカケ
ずいぶん前に妻が読み終わっていた本。

長女が5歳に、次女が1歳半になった我が家。
加えて、近所に住む7歳と2歳の甥っ子たちがどんどんヤンチャになっていく。

彼女ら彼らと、深く気持ちよくのびのびとコミニュケーションをとっていくための知恵を得るために読みはじめた。

最近、ほぼ毎週 てぃ先生が出演している番組を『ハロー!ちびっこモンスター』を観ていることも大きなキッカケだ。

ひとこと感想
どこからどう見ても「子育て本」であり、子どもへの接し方の本質を学べる本ではあるが、「大人も同じだ」と感じるページが大半を占めた。
子どもと大人は大きく違うけど、根っこの部分・精神的な部分は何も変わらないことをあらためて気付かされる本でもある。

あらためて「人間」を勉強している感覚だ。

自分が付箋を付けようとしたページに、妻の付けた付箋を見つけると、「ふたりで読んでいる」という感覚を得られた。それは同時に「ふたりで子育てをしている」という感覚とも言い換えることができた。

プラスチック製の付箋が私
紙製の付箋が妻


もちろん、妻と自分以外にも本当に多くの人たちが我が娘たちの育児に関わってくれているのだが。

この本を「親ふたりで読む」「家族みんなで読む」ということが、本質的に「みんなで子育てをする」ために望ましいことだと思う。家族・親族に同じ本を読んでもらうことが最も難しいのだが。。。

Bestパンチライン

上手に「人を頼る」ことを教える親子の会話

「人に迷惑をかけないように」と意識しすぎる子どもは「人に頼ること」を忘れてしまいがち。
「これ一緒に持って?」と、お友だちに頼めばすぐに解決できることも頼めなかったりする。

「一緒にやったからできたね!」
「パパだけだったらできなかったよ、ありがとう」
なんて簡単なやり取りでも育つのでぜひ!

子どもに伝わるスゴ技大全 カリスマ保育士てぃ先生の子育てで困ったら、これやってみ!

水中の哲学者たち

読みはじめたキッカケ
2022年2月に購入してから、ずっと積読だった本書。

ちょくちょく聴いてるLobster FMにて、「哲学対話」に参加したエピソードを聴いた時、「そろそろ『水中の哲学者たち』を読もうと反射的に思った。

哲学対話にも行ってみたい。
何年もまえに『ゆっくり、いそげ』を読んでから、ずっと哲学カフェ・哲学対話の場に行ってみたいと思いながら、今日に至る。。。

ひとこと感想
この本は、詩集でありエッセイ集だ。

永井さんの文章から、詩的なリズムを感じるし、エッセイストとしての視点の面白さを感じまくる。

哲学者の視点で、日常を切り取るとこんなアウトプットになるんだなぁという不思議。

漫才やJ-POP、舞台の台詞、短歌や俳句からの引用などが多用され、“カルチャー”が心底好きな人なんだという印象を受ける。誤読だったら申し訳ない。

読みながら、何度も「この人のこの本が好きだなぁ」と思った。そういう体験は稀だ。

その理由はおそらく、「日常」を書いているからだろう。

だからこそ詩集でありエッセイ集だと、読了後 真っ先に感じたんだと思う。

「哲学」という言葉にビビらず、エッセイを読む感覚で手に取って欲しい一冊だ。

Bestパンチライン

 わたしたちは急いでいる。わたしたちは速度を求めている。もっと速く、もっともっと速く、より多く、より豊かに、より意義深く。より豊穣な実りを。より膨大な成果を。だが哲学対話は「急ぐな」と言う。「立ち止まれ」とささやき「問い直せ」と命じる。
〜中略〜
速さ、なめらかさ、淀みのなさが価値である世界へのささやかな抵抗。舌なめずりをした資本主義の触手が、わたしたちの目を覆い隠す前に。便利と安全をうたいながら、脆さや問いかけ、ただ存在するということへの排除を宣告される前に。

水中の哲学者たち

今月のベスト本

大好きな本が増えた。
そう思えたので、ベスト本に選んだ。

好きなパンチラインをいくつか貼る。

昔読んだわけのわからない哲学書。彼は、世界のわけのわからなさを、わからないまま伝えるしかなかったんじゃないか。

だからわたしは愛する。奮闘した結果、わかりづらくなってしまった言葉も、何を意図しているのかすら全くわからなくなってしまった言葉も。

水中の哲学者たち

実行犯が億人組でそのうちのひとりが僕である可能性/岡野大嗣  

犯人の顔写真が映し出されるたびに、わたしはこの短歌を思い出す。わたしが、何かしらの形で動因のひとつになっていたとしたら。実行犯と、知らないうちに静かな連帯を育んでいたとしたら。わたしたち全員が、共犯者だとしたら。

水中の哲学者たち

そしてわたしたちは、対話をつづけるうちに自分自身もまた、自身にとって他者であることを発見する。
しゃべりながら、なんだこの思想? と自分でびっくりする。明証的だと思っていたことが、ひとに伝えようとした瞬間に手元からつるつる逃れていくうなぎに変貌してしまう。

水中の哲学者たち

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