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令和6年の水産業はこうなる!令和6年度水産庁概算要求発表

令和5年度予算は前年より262億円プラスにした2292億円でスタートした水産庁。今年も強気の戦略で、3431億円の予算を要求した様子。今年のキーワードは、「海業」と「養殖」。令和5年同様、漁港の再利用をはじめとした地域漁村の活性化がメインとなる様子。そして緊迫する「沖縄」の漁業、といまだに問題となっている東日本大震災の「復興支援」もしっかり対応していくようです。問題山積みの水産業。もう少し時間がかかりそうです。
注)あくまで筆者の個人としての見解です。


水産庁 令和6年度 水産関係予算概算要求の概要

1,日本の魚を守れ!まずは「うなぎ」から?

海洋環境の変化も踏まえた水産資源管理の着実な実施(本気度:A 概算要求額:922億円(R5年440億))

漁業の最大の問題は、収入が安定しない事。海に囲まれた日本としては昔から天然魚頼みで漁をするため、どうしても避けられない問題です。とはいえ、日本でも数少ない豊富な資源こそ、海洋資源としての魚。その大切な資源を確保するためにも漁師確保が必要です。今回も漁業収入安定対策事業や燃料代や餌代の補填などが出てきます。実は「儲かる漁業」はSDGsにも謳われている内容です。そして令和6年に取り上げる主要魚が「うなぎ」になるようです。ウナギは3本中1本は出どころ不明という状況。つまり密漁で獲られている可能性があるので、このウナギの密漁対策にテコ入れをしようという目論見のようです。そして密漁と言えば、尖閣問題です。日本の海で漁ができない状況が続いています。ここに国も助け船を出そうということになっているようです。

参考文献:うなぎ、IUU

2,儲かる漁業へ!養殖産業に活路を見いだせ!

増大するリスクも踏まえた水産業の成長産業化の実現(本気度:B 概算要求額:348億円(R5年142億))

予算的には昨年同様の方向性なのですが、少し内容が変わってきました。漁業従事者の平均年収は234万円とも言われるほど収益化が難しい状況です。その一因が1でも上げた天然魚頼みの漁法というわけです。ところが世界のトレンドとして収益を上げている漁業があります。それが養殖産業。人工的に魚を育成して売ってしまおうというわけです。日本では80%以上が天然魚にも関わらず、実は世界では、流通している魚の半分以上が養殖で育った魚になっています。なにせ先を予測しやすい養殖は、ビジネスにはもってこいです。そこで日本も本格的に養殖産業に手を出していこうというわけです。とはいえ、天然で獲れる魚よりも高い養殖というには少し無理があるわけで、政府としても手助けをしましょうよという感じのようです。そして日本ならではのDXを使って、スマート水産を進めていきましょうということになっていくようです。


令和元年度 水産白書
(1)世界の漁業・養殖業生産 ア 世界の漁業・養殖業生産量の推移

3,「浜プラン」継続!ポイントは遊漁船?

地域を支える漁村の活性化の推進(本気度:B 概算要求額:99億円(R5年66億))

地域自ら漁業の増収を戦略的に考える浜の活力再生のための行動計画、「浜の活力再生プラン」。通称、浜プランは今年も継続で行われる様子。今年はさらに具体的な方針として、地域漁業と趣味の釣り(遊漁)を利用した収益の検討に入る様子。地域活性のヒントになるのかこうご期待。

参考資料:漁業+釣り人

4,スマート水産で「海業」本格始動!海のオールスターで地域活性化!

水産基盤の整備、漁港機能の再編・集約化と強靱化の推進(本気度:A- 概算要求額:1851億円(R5年1533億))

2023年5月に漁港漁場整備法、水産業協同組合法の改正が成立して、いよいよ本腰を入れてきた海の地方創生「海業」。それが本格的に動き始めるのが2024年ということになりそうです。概算要求金額としては昨年から変わらないものの内容としては実務的な内容になっていく様子。スマート水産や6次産業化、渚泊など日本の漁港・漁村を盛り上げる施策が盛りだくさんという状況です。

参考:海業を取り上げた日経記事

参考:海業のまとめサイト(水産庁)

5,長引く爪痕。日本の水産業を政府が支援。

東日本大震災からの復興まちづくり、産業・生業(なりわい)の再生(本気度:A 概算要求額:211億円(R5年111億))

あれから13年。2023年8月24日、ALPS処理水の解放放出が開始されました。国内外の不買運動の影響は、海を生業にしている日本にとっては水産業ばかりではなく他業種へも爪痕を残しています。まずはということで、被害にあった地域の復興を取り上げていましたが、2024年からは実務の魚の売上を確保するため政府として本格的に支援をしていこうとしている状況です。がんばれ日本の水産業!

参考:

まとめ

もともと課題が多かった水産業。もうマッタナシの状況になっている状況です。日本の数少ない資源である海を活用した事業を具体的に行われるのがこの2024年ということになりそうです。

https://www.jfa.maff.go.jp/j/budget/attach/pdf/index-25.pdf

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