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火垂るの墓

8月後半に入りました。この時期になると戦争に関するテレビ番組や新聞・雑誌記事が登場します。

そんな中、『金曜ロードショー』(日本テレビ系 1985年 - )で毎年恒例 放送されていた映画が近年、見かけなくなりました。

それは『火垂るの墓』です。

この作品は作家・野坂昭如(のさか あきゆき 1930年 - 2015年)が1967年に少年期の戦争体験に基づいて執筆・発表された小説で1988年、高畑 勲(1935年 - 2018年) 監督 でアニメ映画化され、多くのファンに愛される有名なアニメ作品となります。その後、実写化(テレビドラマ、映画)され 戦争に翻弄された一組の兄妹の悲劇を描いています。

感想


ビデオで鑑賞しましたが悲惨というほか言葉にありません。モデルの野坂昭如は生き延びましたが作中の清太は冒頭で衰弱死しました。今までの人生を振り返り 節子と過ごした時間を思い出す場面から始まります。

空襲で母を亡くし親戚に身を寄せた清太・節子兄妹は 伯母たちから粗末に扱われ、やがて親戚宅を出て洞窟で生活するも節子は栄養失調で衰え、清太は日本が戦争に負けた事実を知り悔しさを覚えます。

節子は亡くなり清太は冒頭の通り後を追うように死に 2人はホタルに囲まれながら現在(1988年当時)の神戸の夜景を見ながら映画は締めくくります。

上映から36年、状況は変わりました。作品の放送回数が減少し、特に清太に対する見方が批判的になりました。「軍人の子は粗末に扱われるわけがない」「遺族年金が出ている」「親戚のしていることは正しい」等 誹謗中傷と化した意見が出るようになりました。

それに対し高畑 勲はそれを予測したかのように作品を制作し世に送り出しました。高畑は戦争になれば人々から余裕が消え去り牽制しあい、特に子供はなすすべもなく清太・節子のように悲惨な最期を迎えることを伝えようとしたのではないでしょうか。

※ 2024.   8. 29 加筆修正
※ 2024.   9. 10 追記
※ 2024. 10.   2 加筆修正


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