小説と言う名の檻へ
ゾクゾクもドキドキもしないけれど、ただ創作欲がある。あとふた晩で書ききらなければならない。
私の精神が安定しているからなのか、私の魂が眠る地に近付いたからなのかは分からない。
書きたくもない辛くて苦しい現実なのか創作なのかも分からない情景、心理が頭の中に流れている。
君は相変わらず床に転がって人形遊びを決め込んでいる。
君の頭を撫で、躰を抱くことすらままならない私に君はまだ阿吽だとか抜かすのだろうか。一体過去に私はその阿吽にどれ程救われたのだろうか。
私の頭の中で、私は君の手を取り、同じく君も私の手を取っていた。
しかしその手こそ偽物でしかなくて、私が掴み、掴まれたその手は一体なんなのか、分からない。分からないまま私は君との通信を今も待っている。
大変な事に、頭は君でいっぱいだ。君が君たらしめる君で大渋滞、人身事故、遅延。君は君でありながら躰も顔も君によってぐちゃぐちゃに潰されて、原型がなかった。
この日記にも君は度々重要人物として登場する。
嘗て私を人形にして遊んでいた男に君の事を話すと「とても好きなんだね」等と言っていた。とても好きなんて言葉では片付けられない、執着、依存心。
もう誰に好きだと言われても似ていると言われても、どうがんばっても頭に君が過ぎって、脳内で否定、拒絶してしまう。
本当にこの世界に私たちがふたりだけだったような気すらしてくる。それほどまでの世間から求められる価値観、常識、キャパシティとのギャップ。
雨と落ちゆく太陽、輝く星星の記憶。
なぜあんなにも私達の青春は美しい自然と死に塗れていたのか。
そして、泣きたくなるほどの恋しさと同時に襲いかかる君への殺意。
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