何処までも、透明な。
私の仕事である。
人は、他者から認識されて、愛されてはじめて存在するのだとしたら
私はまだ生まれていない。
人は一度生まれて、他者によって殺される。
他者に忘れられて、人は死ぬ。
人だけではない。言葉も、記憶も、感情も、約束も、全部忘れられて死んでしまう。
死の予感は悲しいが、その悲しさすらもいつかは死ぬ。
だから、死んで、亡骸すらも消えゆく前に、私は愛と共に丁寧に葬る。
私はまだ生まれてないけれど、それでも葬儀を続ける。
それが私の仕事である。
報酬はない、誰も知らない。
私という存在は、今、ただそれだけである。
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