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グローバル・ベストアルバム・プレイリスト(6)東欧の50枚

どうも。

グローバル・ベストアルバム・プレイリスト、まだまだ続きます。(10)まで行く予定です。

今度は、これは難しくて時間かかりました。東欧!これはあんまり日本語では見た事ないんじゃないかと思います。非常に貴重なので注目してください。

では、いきます。北欧の時と違って、これは国、混ぜていきます!

To Właśnie My/Czerwone Gitary (1966 Poland)
Ezek A Fiatalok/Soundtrack (1967 Hungary)
Dreams/Gábor Szabó (1968 Hungary)
Czy Mnie Jeszcze Pamiętasz?/Niemen (1968 Poland)
Pták Rosomák/Olympic (1968,Czech)
Matadors/The Matadors (1969 Czech)
10000 Iépés/Omega (1969 Hungary)
Coniunctio/The Blue Effect (1971 Czech)
Kuře V Hodinkách/Flamengo (1971 Czech)
Blues/Breakout (1971 Poland)


東欧って社会主義国だった時代に西側の文化、禁止されているイメージありましたよね。ところが、ビートルズやストーンズを意識したタイプのビートバンドの痕跡がポーランドやチェコ、ハンガリーあたりでは見られるんです。

その代表がポーランドのCzerwone Gitary 。この時代の英米以外のバンドではSpotifyのマンスリー・リスナーも比較的多いのでそれなりの影響力も伺えます。

僕が60年代の東欧に興味を持ったのは、チェコのこの時代の映画に「ひなぎく」という、渋谷系界隈でもすごく人気の高い映画があったり、ポーランドでロマン・ポランスキーが出てきたりしているからですけど、ハンガリーでも、ビートバンドを絡めた青春ロマンス映画「Ezek A Fiatalok」の存在があります。この映画でこの当時ハンガリーで人気あったバンドIllesが本人役で登場し、本当はいないはずの女性ヴォーカリストがヒロインという設定。また、このサントラを軸として、当時のハンガリーの若手アーティストが集まっているという図式です。

細かく説明すると、ガボール・ザボはハンガリーのジャズ・ギタリスト。この時代はチェコが強いですね。オリンピックというのがこの国の最初に成功したバンドで、マタドールズとフラメンゴに関して言うと、マタドールズが発展してできたのがフラメンゴ。ビートバンドはハードロックやプログレに転じるパターンです。ブルー・エフェクトはハードロック。あとオメガはハンガリーのハードロック・バンドです。

この時代の東欧だとポーランドのブレイクアウトというバンドの、この「Blues」と言うアルバムが一つの金字塔ですね。70年代初頭までに出た東欧のアルバムの中では圧倒的にストリーム数も高い。名盤扱いの跡を感じさせます。すごく正統派の文字通りのブルース・ロックです。

Korowod/Marek Grechuta (1971 Poland)
Locomotiv GT/Locomotiv GT (1971 Hungary)
Hadd Mondjam El/Sarlota Zalatnay (1973 Hungary)
Cieň Wielkiej Góry/Budka Suflera (1975 Poland)
Egon Bondy's Happy Hearts Club Byanned/Plastic People Of Universe/Plastic People Of Universe (1975)
Bitanga I Prenceza/Bijelo Dugme (1979 Boznia)
Paket Aranžman/Various Artists (1980 Serbia)
Maanam/Maanam (1981 Poland)
Odbrana/Idoli (1982 Serbia)
Paдио Африка/Aquarium (1983 Russia)

70年代前半の東欧はちょっとサイケ、ハードロックの影響が強いですね。マレック・グレチュタはサイケなフォークシンガーで、ロコモーティヴGT、ブトカ・スフレラはハードロックです。

この時代の注目は

ハンガリーのこの女性、サルトーラ・ザルトネイですね。このジャケ写からしてすごくオシャレなんですが、アイドルでデビューしたはずの人なのに、この1973年作ではジャニス・ジョプリンばりのパワフルでソウルフルな堂に入った熱唱聞かせるんですよ!

このアルバムが残念ながラスポティファイにはないんですよねえ。ただアップル・ミュージックにはあるので入れたのですが、僕のプレイリストではこの前作のアルバムからの曲を入れています。ただ、アップル・ミュージック聴ける人はぜひ聞いてください。

あと、チェコが70年代に入ると自由を求める若者への弾圧が激しくなるんですけど、その圧政に反抗した、プラスティック・ピープル・オブ・ザ・ユニバースがアンダーグラウンドの活動でカルト評価を受けます。このバンドはフランク・ザッパに影響を受けた実験性と民族色の強い興味深いバンドです。

80年代に差し掛かる頃になると、東欧にもパンク/ニュー・ウェイヴの波が吹き荒れます。その波を率いたのは旧ユーゴスラヴィアでした。ユーゴでは70年代にボズニアからハードロック・バンドのBijelo Dugmeもでてきたりはしますが、より本格的になるのは

この伝説的なコンピレーション・アルバム、Paket Aranžmanが出たことによります。これはユーゴトンというレーベルから出た作品なんですけど、ここからシャルロ・アクロバタやイドーリと言ったバンドが台頭。ブームの後にはエカタリーナ・ヴェリカという大物バンドも出てきたり、主にセルビアでシーンが盛り上がりました。旧ユーゴだと、クロアチアの人々もシーンの盛り上がりを主張してるんですけど、サブスクで記録がないので確認できません。文化的痕跡をこういう時に証明できないので、、くれぐれもサブスクへの協力をお願いしたいです。


Lady Pank/Lady Pank (1983 Poland)
Nowe Sytuacje/Republika (1983 Poland)
Klaus Mitffoch/Klaus Mitffoch (1985 Poland)
Nowa Aleksandria/Siekiera (1986 Poland)
S Ventrom Uz Iice/Ekatarina Velika (1986 Serbia)
Энергия/Alissa (1986 Russia)
Разлука/Nautilus Pompilius (1987 Russia)
Posłuchaj To Do Ciebie/Kult (1987 Poland)
Игра С Огнём/Aria (1989 Russia)
Группа Крови/Kino (1989 Russia)

ここはあえて前段からの続きで話を進めさせていただきます。

80年代あたりから、東欧のロックも国力の差がはっきり出始めますね。これ以降はもう、ほとんどポーランドとロシアの話しか出なくなります。

ポーランドでは80s前半にパンク/ニュー・ウェイヴ系のバンドブームが起こりますが、それを率いたのがマナムですね。この真ん中の、この当時は超短髪だったコラという女性シンガーがカリスマでした。

あとレディ・パンク(という名前ですが男性バンドです)、レプブリカ、それから盤は選んでないですがパーフェクトというバンドで「ポーランド・バンド四天王」と呼ばれていたようです。

ただ、ポーランドでは同時にアンダーグラウンドも強く

この写真のKultやクラウス・ミットホフ、シーキーラと言ったバンドが草の根の支持を得ます。Kultは90sにはむしろ一番ビッグになったりして地位が逆転。こういうことはよくありがちですが、今ではこうした人たちの方が評価が高くなる感じのようです。

あと、それまで眠っていた大国、ロシア、この当時はソ連ですが、ここのシーンが強くなったのもこの時期です。口火を切ったのはこの写真のアクアリウムというバンド。彼らが闇マーケットで作品をヒットさせたのを契機にシーンが活性化されたという話は昔から聞きます。ここのヴォーカリストの
ボリス・グレヴェンシコフが西側での最初の作品を出したはずです。この当時高校生でしたが、そう紹介されて「Radio Silence」という曲を日本のラジオで聞いたことが少なくとも5回以上はありましたね。

そこからアリッサ、アリア、ナウティリス・ポンティリウスと言ったバンドが次々とで出てくるんですけど

最大のバンドは、この時代のロシア最大のカリスマ、ヴィクトル・ツォイが率いたキノーで間違いありません。一言で言って、「ロシアのイアン・カーティス」。声も曲調もすごくジョイ・ディヴィジョンにそっくりで、そこにロシアっぽい闇が広がってる感じで引き込まれるんですよね。その圧倒的な人気のまま1990年に事故で若くして命を落とし、それが彼の神秘性を高めているところがあります。

その後もオリンピックのフイギュア・スケートの選手がキノーの曲を演技の曲に使ったり、ツォイの一生が「LETO」という作品で伝記映画化(日本でも公開されてます)されたり、伝説に拍車がかけられています。


Актриса Весна/DDT (1992 Russia)
Опиум/Agatha Christie (1994 Russia)
De Profundis/Vader (1996 Poland)
Морская/Mumiy Troll (1998 Russia)
Гранатовый Албом/Splean (1998 Russia)
Miłość W Czasach Poplultury/Mysolovitz (1999 Poland)
Земфира/Zemfira (1999 Russia)
Би-2/ Bi-2 (1999 Russia)
Янанебiбув/Okean Elzy (2000 Ukraine)
Kinematografia/Paktofonica (2000 Russia)

90年代突入ですが、基本は80年代からの続きですね。DDT、アガサ・クリスティといたロシア勢は80sからの人気バンドです。

ただ、そこにロシアだとムミー・トロール、スプレーン、Bi-2と言ったところが加わる感じですが、そこに

ゼンフィラという女性ロッカーが加わります。世代的にも出てきた年代的にも椎名林檎とちょっと被るかな。ただ、見てなんとなくわかるかもしれませんが、レズビアン・アイコンでもあります。

あと、1991年にソ連が崩壊して分裂します。文化的にはロシアにどうしても集中するんですけど、第2のブロックだったウクライナからもオケアン・LGなどの大物バンドが出てきます。彼らは昨年にウクライナ紛争が起こった際に、ロシアからの侵攻にプロテストする活動をしたりしてニュースにもなっていましたね。

あとポーランドではミソロビッツというバンドが国民的人気となる一方で、メタルのヴェイダー、ヒップホップのパクトフォニカとでてきてシーンも多様化します。このあたりに関しては、ポーランドに心強い友人がいてですね、彼の助言で気づいたところなんですが、すごく大事なことだと僕も思いましたね。各国のウィキペディアのロック史もそうなんですけど、どうしてもロック主軸の感じだとメタル、ヒップホップ漏れがちなので非常に助かりました。


Shallow And Profound/Yonderboi (2000 Hungary)
[Sic!]/Hey (2001 Poland)
Powstanie Warszawskie/Lao Che (2005 Poland)
Granda/Brodka (2010 Poland)
Trójkąt Warszawski/Taco Hemingway (2015 Poland)
Танцы По Расчёту/Buerak (2016)
Раскраски Для Взрослых/Monetochka (2018)
Этажи/Molchat Doma (2018)
Helsinki/Daria Zawiałow (2019)
Ciche Dni/Kaśka Sochacka (2021)

2000s以降ですが、ここで久しぶりにハンガリー勢復活です。ヨンダーボーイはエレクトロのアーティスト。ドアーズの「Riders On The Storm」のサンプリングのヒットがかっこいいんですけど、東欧ではスターDJのようですね。

あと、ポーランドは2000s以降、優れた女性アーティストの産出国になります。それを引っ張ったのは、Heyというバンドのヴォーカルのカシア・ノソウスカ。アルバムごとにキャラを演じ分けて、濃いめのヴィジュアルでいつも勝負して、声も非常にクセのあるガラガラ声で一度見たら忘れません。本当はノソウスカ名義でのソロ作をあげたかったんですけど、重要作にか日ってサブスクにないのでHeyで選んでます。

マナムのコラ、ノソウスカときて、ブロとか、そして最近のポーランドのチャートでも、「いいな」と思ったらダリア・ザビアボウ、カシュカ・ソハツカと言った女性アーティストですね。

あと、ポーランドのインディ・ロックからラオ・チェ、ヒップホップからタコ・ヘミングウェイを選んでいます。

あと、ロシアが、ポストパンクとの相性の良さを見せてますね。モルチャット・ドマというバンドが億単位のストリームのヒットを出しています。あとブエラクというバンドも人気ですね。ポストパンク、コールドウェイヴ系でロシア強いです。

あと女性アーティストでモネトッカという人もなかなか良いですよ。

ここからプレイリストも聞けます。ぜひ聞いてみてください。












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