どんくさくて、愛嬌があって、お客さんへの思いやりあるリーダー
これからの時代に求められる
「場所」
について、
歴史的観点から
昨日は考察を試みてみました。
オンラインサロンは
村落共同体の復古型コミュニティとして、
自由を獲得した現代人のより所
になる可能性を秘めています。
そしてオンラインサロンが
いかにして共同体や企業にかわり、
「家族的な場」
として
機能しうるのか。
供給側が
どのような態度で消費者と向き合い、
どんな価値を創造していけば、
温かみのあるコミュニティが生まれるのか。
以下、サッカークラブの文脈で
まとめてみたいと思います。
■「前近代的な商習慣」では売りにくい
サッカークラブが
「単独で」決定、制作したコンテンツを、
都合のいいタイミングに、都合のいい数量だけを
ファンに販売するという姿勢は、
ビジネスという文脈において、
私が京都サンガに勤めていた
10年前にはすでに破綻していた。
今考えると
そんな気がしてなりません。
コンテンツとは、
グッズやチケットの販売や
スポンサーセールスも同様、
そして監督や選手で構成される
チームもその一つ、
と言えるでしょう。
ファンの絶対数が少ないから、
デザインがダサいから、
試合に勝てないから、J2だから…
いろんな理由を耳にした
「売れない理由」ですが
それぞれの「部分」を
仮にうまく改善できたとして、
果たして売り上げが伸びたかどうか、
はなはだ怪しいと言わざるを得ません。
社長からは厳しいノルマ
を課せられていましたが、
「とにかく売りにくい」
抑えようのない後ろ向きな感情が
販売低迷に拍車をかけていたようにも感じます。
そして、
当時考えられるさまざまな手を尽くしに尽くして、
最後の望みを賭けてとった行動が
「サポーターに聞く」
というものでした。
以下関連記事。
■顧客に接近して気づいた家族的な「共感」
サポーターにインタビューをしたり、
一緒にアウェイで応援したり、飲みに行ったり、
サポーターからニーズを引き出すことで
商品化、そして売上向上
という、かなり失礼な
下心ある接近でしたが、
時間の経過とともにいつしか、
コミュニティの一員として認められるようになり、
声を聞くという当初の目的は、
「この人たちと一緒にクラブを強くしたい」
という思いに昇華されていきました。
彼らの言葉や行動に触れることで、
背後にある心理を汲み取ることになり、
感情が揺さぶられ、
共感が生まれたんだと思います。
そして当時は、
考えに及びませんでしたが、
こういった
クラブとサポーターが相互に影響し合う関係こそ、
「家族的」ではなかったか?
クラブ単体ではなし得ない、
ファンと支え合いながらつくり上げる大きな価値は、
家族全員が幸せな人生を送る
という価値と相通じるものがある。
ファン・サポーター
そしてスポンサーや行政に対し、
(資金的に)支えていただく、
ことに対する感謝こそあれ
ともに、物理的に「支え合う」
という発想は
クラブ側には限りなくゼロ
だったような気がしています。
つまり、
「部分」を改善するという
小手先のやり方ではなく、
顧客との関係性であるところの「全体」
を改善していかなければ
売上低迷という課題を
解決できない。
前近代的な供給側の論理が
「破綻」していたと感じた理由は、
そこにあります。
■参加する「体験」こそが価値
ではどうすべきか?
ここから今日のまとめに入りますが、
何よりも先に
書き換えなければならないのは
クラブの姿勢。
「いいことも悪いこともすべて共有する」
という腰を据えた姿勢を持つことです。
もちろん、
一定の課金をいただいたオンラインサロン内で、
という前提ですが、
デザインやIT、営業など
それぞれの専門分野での弱みをさらして、
「協力してほしい」
とサポーターに問いかけてみるべき。
今までにない新鮮なアプローチなので、
サポーターもはじめは遠慮するかもしれませんが、
コミュニケーションを積み重ねつつ、
「参加していいんだ」
という雰囲気づくりに
クラブが真剣に努めていれば、
心理的「壁」が取り払われるのに
それほど時間はかからないでしょう。
「クラブを助けてあげたい」
というサポーターは少なくありません。
クラブという会社の背後に、
社長やクラブスタッフの温度を感じられればなおさら。
クラブの運営への
「参加」という「体験」こそ、
彼らにとっての重要な「価値」
として認識されるようになります。
「社長がどんくさいから」
と笑われているぐらいがちょうどいい。
余白があればあるほど、
その余白を埋めたくなるのが人間の心理。
どんくささと同時に、
身近さ、気軽さ、愛嬌や人当たりのよさも
欠かせない要素。
そんな社長の人間性が
サポーターの心理的ストレスを和らげ、
次第に「家に帰る」かのように、
人々が集まってくるに違いありません。
■クラブとサポーターのストーリー
未完成であるクラブに
欠けている要素が共有され、
一緒に改善するからこそ
「自分ごと」としてとらえられるようになり、
サポーターの感情移入と共感
が醸成されていく。
クラブとサポーターが
オンライン上のコミュニティでつながり、
絆がうまれ、感動が生まれるからこそ
ビジネスが成立します。
課金収入は、
クラブとサポーターが共有しているビジョン
を強化する資金。
普段から社長が語る、
「どこへ向かうのかという価値観」
何があっても揺らぐことのない
信念を具現化するプランにあてられます。
クラブの一方的なストーリーではなく、
クラブがサポーターと一緒に、
新しい価値を創り上げていくという
全員が登場するストーリーは、
お互いの承認欲求を満たし合います。
サポーターにとっての消費が、
主体性とポジティブな温かい感情
を伴うものとなり、
クラブが(下手に)営業する
という行為そのものがなくなるはずです。
■自分ばかりに目を向けない
村落共同体から会社へ。
そして今、
会社からオンライン上に移行しつつある
「家族的な場所」
課題は、上述したように、
いかにクラブが意識を変え、
サポーターやその他ステイクホルダーに
寄り添えるかどうかにかかっています。
特に、
意思決定権者である社長が、
自分のことやオーナー会社ばかりに
意識を奪われるのではなく、
自分の時間をサポーターに費やし、
彼らに対する想像力、共感力、思いやりをもって、
頻度高く接点をもつべきでしょう。
揺らぐことのない深い愛情をもって、
「自分が何をしたいか」ではなく、
「サポーターがどうしてほしいか」
に思いをいたすことが大切です。
※本稿は以下文献を参考にしました。
人生の勝算(前田裕二)
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