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やべっちCUPのブランディング


やべっちCUPという大会があります。

吉本興業が主催する、
小学生年代のサッカー大会。

2018年に第一回大会が開催され、

昨年は一応の肩書として
私、プロデューサーを務めました。

ナインティナイン矢部浩之さんをはじめ、
30名弱の芸人とJリーガーをキャスティング。

Jグリーン堺で
初日二日目とサッカー大会をして、

二日目の午後はエキシビジョンマッチ
を企画しました。

昨年は雨天でしたがそれでも
1,500人ほど集客して閉幕。

「ずっと続けていきたい」

と矢部さんにとって大切なイベントのひとつ
になりました。


■大会のビジョンは以下の通り。

自主性、自己表現を尊重し、助け合いながら目標に向かう大切さを子どもたちに伝える大会にする

サッカー大好き少年だった矢部さんも、
挫折を経験。

未練を断ち切って
芸能界に挑戦して今があります。

そんな矢部さんだからこそ
子どもたちに語れることがあるとして、

次のような言葉を残してくれました。

ひとりひとり、個性的な存在で、誰もが周囲に貢献できる才能がある。全員が人として価値があって、評価され、必要とされている。自ら考えて、自ら目標をもって、主体的に行動して人生を切り開いていってほしい。

やべっちCUPの世界観は、
矢部さんの想いに支えられたもの。

このビジョンをもとに、
あらゆるコンテンツに一貫性がもたらされて、

満足度の高いイベント
を実現することができました。

ポイントは、目標(ビジョン)を決めて、
目標を基準に細部が決められたという2段階方式。

目標を決めても、

コンテンツがバラバラだと
矢部さんの想いは伝わりません。

言うまでもなく、

そもそも目標がなければ、
コンテンツ(ポスター、SNS、イベントなど)が決まりません。

何をどう考えて、
どのように企画すべきか、

その基準がなければ、
原理的には何も決めることはできないはずです。


■実はこのビジョン、後づけなんです。

とにかく
小学生向けのサッカー大会をやろう!

というシンプルな発想が
やべっちCUPの出発点。

当初、ビジョンはありませんでした。

開催資金は、
企業に営業をして獲得していくのですが、

これが散々な結果。
まったく集まりません。

企業側としても、

「なぜスポンサードをするのか?」

が分からず、
意思決定できなかったんだと思います。

ビジョンがないわけなので、
当然といえば当然。

まったく売れなかった反省に立ち、

大会の開催意義、
「なぜやべっちCUPをするのか?」という視点で

ビジョンを考えることになったという
成り行きです。


■吉本興業という看板や、

矢部さんの人徳もあって、
ビジョンがなくても最後はなんとかなったのかもしれません。

ですが一方で、

最初は無反応だった企業が、
ビジョンを提示することで意欲的になり、

「子どもたちのために何かやりたい」

という意思表示とともに
少額ですが協賛してもらえるようになったことも事実。

ビジョンに一貫した
営業資料やセールストーク

説得力や信頼感を生む原動力
になったのかもしれません。


■また、

芸人やJリーガーには、
ことあるごとに

「子どもたちの近くにいって話しかけて」

とお願いしました。

自主性、自己表現を尊重し、助け合いながら目標に向かう大切さを子どもたちに伝える大会にする

というビジョンがあるのに、
子どもたちと距離をとっていたらシラケますし、

参加者やスポンサーの信頼も失います。

言行一致。

言ったからには徹底的に表現しないと
意味がありません。

ポスターはこんな感じ。

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やべっちCUPの世界観を
非言語でデザインするとこうなります。

言葉で伝わらないのであれば、
ビジュアルで。

「翻訳」のハードルをさげて、
より多くの人にやべっちCUPの世界観を伝えるツール
として、

ポスターやウェブ画像、SNSは
強力な武器になります。

繰り返しますが、

クリエイティブディレクションは、
世界観を基軸とします。

やべっちCUPのビジョンが
明確に言語化されるからこそ、

デザイナーへの説明責任を果たすことができます。

「とりあえずかっこいいの作って」

という丸投げの指示ではなく、
やべっちCUPのビジョンを伝え、

こんな世界を実現したいと、
切り口をかえてあの手この手で伝える、

もしくは落書きレベルの絵で
「こんな感じで作ってほしい」

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イベントの企画も、
子どもと芸人・選手が近づける内容にしたり、

話したり、写真を撮ったり、
サインを書いてあげられる余白をふんだんに設けました。

それもこれもすべて、
ビジョンが確立されたから優先されたもの。

ビジョンは意思決定基準です。

「なんでこうなるの?」と問われれば即
「ビジョンがこうだから」とレスポンスできることが大切だと思います。


■サッカークラブも

やべっちCUPと同様のブランディングで
信頼と共感を獲得して、売上アップに貢献できます。

まずは軸となる世界観づくり
それを言語化して共有と浸透をはかります。

デザインやイベントは
世界観にあわせてディレクションされていく。

今、その真っただ中にいて
こんなプロジェクトを動かしています。

うまくいかないことだらけですが

世界観のディレクションだけは
口酸っぱく何度も、繰り返し徹底的にぶれずに

粛々と実施していきます。

ブランディングに興味ある方は
ディレクションの手法について参考にしていただけると思います。

興味ある方は
少しだけのぞいてみてください。


今日も最後まで読んでくれて
ありがとうございました。

それではまた明日。
おつかれっした!




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