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本業がない働き方がリスクヘッジになる

最高のキャリアは、あらかじめ計画して手にできるものではない。

ピータードラッカー氏の言葉です。「予測の無価値化」という言葉も聞いたことがあります。社会がより不安定で不確実になるということは、「予測の価値」がどんどん減損することと同義。過去に蓄積した経験に依存し続けようとする人は早急に人材価値を減損させる一方で、新しい環境から柔軟に学び続ける人が価値を生み出すことになります。とりあえず試し、結果を見ながら微修正を繰り返す。そんな姿勢が求められているのかもしれません。

最適化の無価値化、なんて言葉もありますね。今いる環境でレベルアップを図り、最適化してしまえば、それは次の瞬間には時代遅れになることを意味します。変化していく環境に対して、どれだけしなやかに適合できるか。柔軟性が問われる時代に私たちは生きています。

自らの強み、仕事の仕方、価値観を知り、機会をつかむ用意をする。そのプロセスにおいて、ひとつの環境にとどまり、依存して生きていくことはむしろリスク。年功序列や終身雇用の文化を持つ私たちにとって、「外に出る=リスク」という固定観念は深く、私たちの意識に染みついています。ですが、何が本業なのかあいまいなままいくつかの仕事(プロジェクト)に携わり、節目ごとに仕事のポートフォリオを組み替えていくキャリアは、変化の激しい時代においてリスクヘッジになります。

人的資本と社会資本。前者はスキルや実績。後者は評判や信頼を指します。私たちは仕事をしていく中で、仕事におけるスキル、それによって生み出される実績を積み上げていきます。実績を残せば、評価につながり信頼されて出世することになるでしょう。かつてのように、会社、特に大企業に勤めていれば一生安泰、とはなかなか思えない現代社会。仮に問題なく定年を迎えたとしても、年金不安はずっとくすぶり続けるはずです。

定年後も働きたい。そんな意思を示す人が増え、それを受け入れる会社も増えてきました。定年前に、転職を志して人的資本と社会資本を会社の「外側」に形成しようとする動きも見られます。45歳定年、30歳定年なんて言葉も耳にするようにもなりました。転職すれば人的資本と社会資本は一時的に目減りしますが、新たな環境下で刺激を受け、がんばって結果を残すことができれば、自分の資本がひとまわり膨らみます。転職を繰り返すことで、VUCAの時代でもしたたかに立ち回れるような「強靭な生存戦略」が形成されることになるでしょう。

私はいま、論文を書いています。昔からのフォロワーはご存知かと思いますが、今、早稲田大学で博士論文を執筆中です。というかもう学位申請を終えてもおかしくない時期。自分が納得いく形で、将来の資本形成に寄与するような研究に仕上げたいと、心機一転、noteに今の思いをまとめてみました。さらにギアを踏み込んでがんばろうと思います。

久保大輔




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