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「予測」と「気合い」でうまくいく

千里先の見える人は気狂い扱いされる。
現状に踏みとどまるものは、落伍者となる。
百歩先を見てことを行うものが世の成功者である。

日本が生んだ偉大なる経営イノベーター小林一三」にはこんな一節があります。なるほどと思いつつ、穿った見方をしてしまう私は「予測」の脆弱さを考えずにはおれませんでした。

予測の無価値化」について語っているのは「ニュータイプの時代」でおなじみ山口周さん。社会がより「不安定」で「不確実」になるということは「予測の価値」がどんどん減損することを意味します。過去に蓄積した経験に依存し続けようとする人は、早急に人材価値を目減させ、新しい環境から柔軟に学び続ける人が価値を生み出します。

楠木建さんは「仕事ができとはどういうことか?」でこのように表現しています。

分析調査というのは仕事ができない人にとってとてつもない吸引力を持っているんですね。あっさり言ってしまえばテンプレート上の「作業」。仕事はできなくても、とりあえずの作業はできる。で、なんとなく人に見せられる資料という成果物はできる。人に示すことができる形でブツが出てくる。

分析調査とはつまるところ「予測」のこと。過去のデータを分析して未来予想図をつくる作業です。大学院でなんちゃって研究者を気取っている私も、この手の作業が得意。スキルやテクニックは勉強すればすぐに習得でき、さらに説得力のあるアウトプットを用意できます。

つまりシンプルに「千里先」や「百歩先」を見通すことは誰にでもできます。ですが、その見通しが狂ったとき、軌道修正して成果につなげられる人は少数派。マーケティングでコントロールできる範囲はせいぜい2割程度です。残りの8割は気持ち。気合いや根性でどうにかできるかどうか、どうにかしたいという情熱を持ち続けられるかどうかが成否の分かれ道です。

小林一三さんは経営の天才でした。そして「百歩先を見てことを行う」のは、予測を立てた上で、世の不安定さや激動、あいまいさ、不確実性を見越してリカバリーを考え、気合いで困難を乗り越えるという意味が包含されているように思います。

Appleがやったのは「予測」ではなく、「こういう世界を実現する」という世界を構想して、映像化して、社内外にビジョンとして提示しました。Appleにはなれないけど、私も小さいなりにビジョンを持って、強引にでもビジョンを実現したい。皆さんはいかがでしょうか?

久保大輔




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