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誰(顧客)に向けて価値を創造する(顧客の課題解決)のか?


巨大化するヨーロッパフットボール市場。

Football Money Leagueによると、

各クラブの総収入に占める放映権料の割合は
40~50%、ということが分かります。

一方マッチデー収入は15%程度。

個人顧客がクラブに落とすお金は
総収入に対して縮小傾向にある、

ということでしょうか。


2018-19シーズン
プレミアリーグに投下された放映権料の総額が

約3,400億円。

各クラブに115億円が
均等分配(合計2,300億円)、

残り1,100億円が
生中継の頻度やリーグ順位によって傾斜配分され、

CLを獲ったリバプールの放映権料は
総額200億円以上にも及びました。


という今さら感満載の事実を
あらためてここに示しているのは

この事実が、各クラブの「経営判断」
に及ぼす影響を考察するためです。

普通に考えれば、

ピッチパフォーマンスの最大化、
およびリーグ順位の向上が優先課題になりそう。

一方、個人顧客に向けた

マーケティングの経営資源やコストの
投下優先度は低く見積もられてもおかしくありません。


放映権料の原資となる
有料放送の視聴料は

個人顧客が支払っているとはいえ、

お金の流れと多寡は
ピッチパフォーマンスと結果次第であり、

その額があまりにも大きい。

ファンマーケティングによる
個人顧客との関係性構築は

もちろんクラブ経営上
欠かせない活動のひとつであると分かってはいても、

「やるにはやるけど後回しに」

という
声なき声が聞こえてきそうです。


サポーターへのサービス提供と
リーグ順位。

憶測の域は出ませんが、

後者が優先されるというのが
現時点での見立て、

としておきます。


反してJリーグ。

DAZNによる放映権料は
10年間で2,100億円

これを50クラブ以上で分け合うわけですから、

各クラブの年間の恩恵は
(もちろんゼロではありませんが)
プレミアほど高くないことが推察されます。

となると、

チーム成績やリーグカテゴリーに依存しない
集客と売上の継続的な確保は喫緊の課題。

個人顧客へのマーケティングコストは
経営判断上高まってしかるべき、

というのも、現時点での見立て、
としておきましょう。


論文では、
こういった周知の事実を前提として、

「各クラブの個人顧客(サポーター)に対する姿勢」

を分析していますが、

Jクラブである、例えば京都サンガ、
私が過去勤務したクラブでは

経営の優先課題が
短期的な「売上」に傾斜し、

長期的なクラブ価値向上
を目指したものではありませんでした。


ファイナンス思考(朝倉祐介)によると、

目先の業績を伸ばす以上に、会社の長期的な成長を実現し、企業価値を向上するということは、ゴーイング・コンサーンを思考する会社においてはより本質的に重大なテーマ。PLを「作る」ことはできますが、一方、そんなことでは本質的な会社の価値を作ることはできません。PLを作るために、会社の価値を毀損していては元も子もない。

として、

「売上や利益」を優先する
日本の企業文化とその弊害について論じています。


また、D2C「世界観」と「テクノロジー」で勝つブランド戦略(佐々木康裕)では、

顧客がそれを買うかどうか、ではなく、顧客がそのプロダクトの使用を通じて望む結果を得られているかまでが重要

と記すことで、

「売った瞬間」=「関係性の終わり」
ではないことを強調し、

プロダクトの「利用経験」を通して
企業の「世界観」が顧客に伝わり、

忠実なファンが創造される、

と訴えています。


Hot Pepperミラクル・ストーリー(平尾勇司)では

「伝える」意味と価値が十分に理解されていないからだ。伝われば組織メンバーの行動に意思と心が加わり、それが行動や態度に表れて、顧客や読者に伝わり、心をわしづかみにする。それこそが組織力になるのである。

として、

事業を成功させるためには

事業戦略を言語化し、
顧客に伝え、共感を得ることが肝要である

とまとめています。


プレミアリーグとJリーグ各クラブの収入構造から、

「誰に向けて価値を創造するのか」

は既述のとおり想像されうるが、
それらはそもそも「言語化」されているのか?

言語化し、発信し、顧客に伝えているのであれば、
オンライン上のどこかに掲載されているはずです。


各クラブのウェブサイトから
「経営戦略」を推し量ることができるページはないか。

つぶさにチェックして確認できたのが
「Charter(憲章)」や「クラブ理念」でした。

いわゆる

「ミッションステートメント」

に換言されるこれらの言語と、
その役割、重要性は以下文献にまとめられている。


エピック・コンテンツマーケティング
(ジョー・ピュリッジ)

その会社の存在意義だ。
つまり、その組織がその事業をおこなっている理由だ。

ファンベース(佐藤尚之)

まず一番最初にやるべきなのは、創業の志、
そしてミッションを共有し直すこと


商品やサービスは、
顧客にとってどんな意味(価値)があるのか。

価値とは、

顧客が抱える悩み、心配事、課題
を解決するもの、

と言い換えることもできます。

長くなりましたので
続きは明日以降、

各クラブのミッションステートメントを紹介し、
考察を続けていきます。




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