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クエストペンギン〜南極の空に〜⑥

オリヴィアの不安は次第にピーターとの関係にも影響を及ぼしました。

彼女は自分が孤独であると感じ、ピーターに対しても距離を置くようになりました。

「ピーター、私がポールにとって良い母親であるかどうか、もう分からないの」とオリヴィアは涙ながらに訴えました。

「オリヴィア、君はポールにとって最高の母親だよ。僕たちは一緒に頑張っているじゃないか」とピーターは必死に彼女を慰めましたが、その言葉は彼女の心には響きませんでした。



「ヘイ、ピーター。うちのエロイーズが出発する前にまた怒られたよ。『あなた、ちゃんと卵を温めてるの?』って。もちろん温めてるってのに、心配性なんだよなぁ。」と笑うパトリック。

「それは大変だね、パトリック。でも、実際は心配するのも無理はないよな。この寒さだし、何かあったら大変だ。」とピーターが返します。

「ところで、みんなは夜泣きする卵の対処法知ってる?俺んとこのオリバーなんだが、最近泣き声が聞こえるような気がしてさ。まるで、夜中に起こされるパパみたいだよ。」とトーマスが苦笑いを浮かべます。

「それなら、卵を少し揺らしてみたらどう?俺のところのヒューゴもそうだったけど、揺らすと落ち着くんだ。」とエドワードがアドバイスをします。

「それはいいアイデアだな。じゃあ、試してみるよ。」とトーマスが感謝の意を示します。


ポールが少し大きくなると、彼は他のヒナたちとは異なる興味を示し始めました。ある日、ポールはピーターに質問した。

「お父さん、僕もいつか空を飛べるの?」

ピーターは笑いながら答えた。

「ポール、ペンギンは空を飛ぶことはできないけど、水の中を自由に泳げるんだよ。それも立派なことだよ」

ポールはその言葉に納得したようだったが、彼は空に憧れ、心の奥底にはいつか空を飛びたいという夢を抱いていました。

他のペンギンたちはポールを笑い、飛ぶことなど不可能だと言いました。

しかし、ポールは信念を貫き、何度も試みました。

そんなポールのそばには、彼の幼馴染であるフレッドがいました。

フレッドはポールとは対照的に現実的で、慎重な性格でした。

彼は泳ぎが得意で、常に地上の生活に満足していました。

しかし、ポールの夢を応援する一方で、彼の無謀さを心配していました。

「今日はどうしようかな」とポールは氷の上に立って考えました。

彼はまず、小さな坂を見つけて滑り降りる練習を始めました。

風を感じ、翼を広げることで少しずつ浮かび上がる感覚を掴もうとしました。

「おい、ポール!また飛ぶつもりか?」と友達のフィリップが笑いながら言いました。

「そうだよ、フィリップ。僕は必ず飛んでみせるんだ!」とポールは胸を張って答えました。

日々の努力を続ける中、ポールは風の強さや角度、体の使い方を研究し、自分なりの飛び方を見つけようとしました。

父親のピーターもその姿を見守り、時にはアドバイスを送りました。

「父さん、僕は本当に飛べるのだろうか?」とポールが不安そうに尋ねました。

「ポール、お前ならできる。僕たちペンギンは空を飛ぶことはできないかもしれないけれど、お前の夢は誰にも止められない」とピーターは息子を励ましました。

オスたちが再びハドルを組むと、育児の悩みが続々と飛び出しました。

「俺のヒューゴ、最近魚を食べるのが遅いんだよな。ポリーが帰ってきてから、『あなた、ちゃんと食べさせてる?』って心配されてさ。」とエドワード。

「うちのポールも同じさ。飛びたいって言い出すんだ。他のオスたちに笑われるけど、俺は彼の夢を応援したいんだ。」とピーターが話します。

「飛びたい?ペンギンが飛ぶなんて無理だろう。けど、夢を持つのは大事なことだよな。」とトーマスが興味を示します。

「うちのは走り回るのが好きでさ、いつも氷の上で滑ってる。あれも将来の練習かもしれないね。」とパトリックが笑います。

「でも、もし本当にポールが飛べたら、それはすごいことだよ。僕たちが想像もできない未来を見ているのかもしれない。」とエドワードが感慨深げに言います。

「そもそも、ペンギンって何が価値なんだろうな。飛べなくても、僕たちには氷の上を滑る技術があるし、海でも速く泳げる。」とピーターが言いました。

「そうだな。僕たちの価値は、地上での生活にあるんじゃないか?みんなで協力して寒さに耐えたり、ヒナを守ったりすることが大事なんだ。」とトーマスが答えます。

「でも、ポールが飛ぶことを夢見ているなら、その夢を応援するのも親の役目だろう。」とエドワードが真剣な表情で言います。

「そうだね。ペンギンの価値は多様だ。僕たちができることもたくさんある。でも、子供たちが新しい道を見つけることも大切だ。」とピーターがうなずきます。

ポールの挑戦の日々の中、氷原に奇妙な光が現れることがありました。その光は夜空を照らし、ポールはその光に導かれるようにして練習を続けました。(続く)

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