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クエストペンギン〜南極の空に〜③

ある夜、ピーターはオリヴィアに打ち明けました。

「オリヴィア、僕は本当に良い父親でいられているのだろうか?」

「ピーター、あなたは素晴らしい父親よ。ポールの成長を見守り、守ってくれている。私たちがこうして家族として過ごせるのは、あなたのおかげよ」とオリヴィアは優しく答えました。

しかし、オリヴィアの心にはまだ深い不安が残っていました。彼女は夜になると涙を流し、孤独感に苛まれていました。

ピーターもどうすればいいのか分からなくなっていきました。

ピーターは南極の環境保護団体で働いており、主な任務は氷原の調査とデータ収でした。

職場には厳しい上司のエドワードがいて、彼は古い考え方を持つ頑固なペンギンでした。

エドワードは昭和を彷彿とさせるような厳格な態度で部下を統率していた。ある日、ピーターは群れのリーダー、エドワードに呼び出されました。

エドワードは古い考え方を持つ頑固な上司で、職場での効率を何よりも重視し、家庭の問題には全く理解を示さないタイプでした。

「ピーター、最近の君のパフォーマンスには大いに疑問を感じる」とエドワードは冷たく言いました。

「仕事に集中できないなら、他のペンギンに迷惑がかかるだけだ」

「すみません、エドワード。家庭の事情で少しバランスが取れなくて…」とピーターは釈明しました。

「家庭の問題を職場に持ち込むんじゃない!我々は食料を確保するために全力を尽くさなければならない。君一人の都合で群れ全体が危険にさらされることは許されないんだ」とエドワードは一喝しました。

氷上での作業は過酷で、寒さと風に耐えながら長時間働かなければなりません。

ピーターは仲間たちと協力して氷を割り、新しい漁場を見つけ出すことが求められていましたが、家庭の問題が頭を離れず、思うように動けない日々が続いていました。

エドワードは、古い価値観を持つ上司として、家庭の事情を理解しようとはしませんでした。彼にとって、家庭と仕事は完全に分離すべきものであり、仕事の場では効率と結果が全てでした。

そのため、ピーターの家庭の事情に対する理解は乏しく、厳しい態度を取り続けました。

職場の冷たい空気の中で、ピーターはエドワードの厳しい視線を感じながらも、家庭の問題が解決するまで頑張るしかないと自分に言い聞かせました。

エドワードの言葉が頭の中でこだまし、ピーターは自分の選択が正しかったのかどうかを何度も考え直しました。

一方、家庭ではオリヴィアがますます不安定になっていました。彼女はポールの育児に追われ、ピーターのサポートが必要でした。

しかし、ピーター自身も職場でのプレッシャーに耐えかねていました。

「ピーター、私はもう限界よ。ポールの面倒を見るのも一人じゃ無理なの」とオリヴィアは涙ながらに訴えました。

「分かっている、オリヴィア。でも、職場でもプレッシャーがあって…」とピーターは困惑しながら答えました。

「あなたがもっと家庭を優先してくれれば、私も安心できるのに」とオリヴィアは悲しげに言いました。

オリヴィアの心情は日に日に不安定になり、彼女の表情には疲れと絶望が浮かんでいました。ポールの夜泣きが続き、オリヴィアは十分な睡眠を取ることもできませんでした。ピーターもオリヴィアの苦しみを感じながらも、仕事の責任を果たすために家を出る日々が続きました。

オリヴィアは、育児のプレッシャーが彼女の心身に大きな負担をかけていました。

彼女はピーターに頼りたいと思っていましたが、彼の仕事の状況を理解しているだけに、強く言えない部分もありました。

オリヴィアは日に日にやつれていきました。彼女の目には深いクマが刻まれ、身体も痩せ細ってきました。

ピーターもその変化に気づいていましたが、どうすることもできない無力感に苛まれていました。彼はオリヴィアを支えたいと思っていましたが、職場でのプレッシャーがそれを阻んでいました。(続く)

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