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共感と同情の決定的な違い

FROM ボブ・バーグ

他人に対しての「共感力」を高めること。このことは、リーダーとして、セールスパーソンとして、そして家族をはじめとしたプライベートでの人間関係においても、成功するために欠かせない要素である。

確かに、生まれつき共感力が弱いという人もいるかもしれない。しかし、共感力は後天的に伸ばしていくことができる。むしろ、積極的に伸ばしていこうとするのはとても大切なことなのだ。

ビジネスにおいてもプライベートにおいても、あらゆる人間関係において、共感力は成功している人とそうでない人を分ける要因になる。才能や技術があることはもちろん大切だが、共感力を兼ね備えていることは、大きなアドバンテージになる。

共感とは「同じように感じること」ではない?


共感とは、一般的には「相手の気持ちを考え、理解し、その通りだと感じること」という意味で知られている。相手と似たような経験をしたことがあれば、相手がどのように感じているかを、より確実に理解することができるだろう。

ただ、相手と似たような経験をしたことがない場合はどうだろうか?相手がどんな風に考えているのか、どんな風に感じているのか、それが全く分からないということもきっとあるはずだ。しかし、そんな場合でも、共感することはできる。

というのも、共感というのは単に「相手と同じように感じる」という同情ではないのだ。共感とは「相手が何かを感じていることを理解し、解決策を模索すること」である。「相手が本当に辛い思いをしている」ということに、本当の意味で共感できれば、それだけで違いが生まれる。

あるエンジニアと女の子の話…


私のクライアントの中に、フォーチュン100社に選ばれている会社がある。その会社はヘルスケア部門であるエンジニアを雇っていたのだ。そのエンジニアの男性の名前は、ショーン。ある時、ショーンがその会社のクライアントのである、1つの病院に派遣されることになったという。

その病院では全身を検査するスキャナーが突然動作不良になる可能性があり、万が一に備えて彼が派遣されたわけだ。

この検査を必要としていたのは当時4歳の女の子だった。その女の子は、鎮静剤を打った上で、全身をスキャンする必要があったのだ。

鎮静状態にある小さな女の子が、台の上に横たわった状態で機器に不具合が起これば…どんなに不安になるか想像に難くないことだろう。その場にいたナースによれば、女の子はもちろん不安そうにしていた。そして両親も、機械の不具合と検査の結果についても明らかに心配していたと言う。

そうした様子を見たショーンは、その場を一度立ち去り、そしてすぐにまた戻ってきた。いったい、何をしていたのかというと…

ショーンがとった驚きの行動とは…?


彼はその女の子のために、テディベアのぬいぐるみを買いに行ったのだった。彼からのサプライズに女の子、そしてその両親、その場にいた技術者みんなが笑顔になった。女の子はテディベアに抱きしめ、そのまま問題なく麻酔の状態となり、検査を受けることができた。さらに幸いなことにスキャンに異常は見られなかったという。

その場にいたナースの話では、ショーンの女の子への、そして両親への心遣いに、皆が心を動かされたと言う。そして、その行動はみんなの記憶に残り、とても思いやりのあるエピソードとして病院の中で語り継がれるようになったのだ。

私はこの話を、講演でも何度か引用させてもらっている。その度に、観客の中には涙を流す人もいるのだ。また、私の次に登壇する講演家の目にも涙が浮かぶことがある。

女の子やその家族がどれだけ恐怖や不安を抱いていたか、ちょっと想像してみて欲しい。自分の娘が動作の調子が安定しない機器でスキャンされる状況を。どれだけ心が押しつぶされる思いだろうか?

相手の心情を理解したら解決策を考えよ


おそらく、私たちの多くはある程度その心情を察することができるだろう。しかしショーンは違った。彼はそれを察するだけでなく、行動を起こしたのだ。それが、普通の人との大きな違いだった。ところで、ショーンが勤める会社にとって、この病院がとてもいいクライアントになったことは言うまでもないだろう。

こうした共感力というのは、リーダーシップやセールス、あるいは人生にとって重要なものである。これによって多くの人に影響を与えることができるからだ。つまり、共感力が高いということは、成功する資質を備えているということでもある。

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