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個人事業主の年収のリアル

FROM 安永周平

2018年のデータになるんですけど、独立行政法人 労働政策研究・研修機構(JILPT)が「独立自営業者の就業実態と意識に関する調査」を行った結果を報告しています。これには、個人事業主やフリーランスとして働く人たち8256人のリアルな年収が載っておりまして…その数字がちょっと驚きです。年収、メチャクチャ低いんです(汗)

64.1%が年収200万円未満


個人事業・フリーランスの人のうち、6割以上が年収200万円に達していません。専業の人でも200万円以上は48.9%、半分以下です。そして、年収800万円を超えている人はわずか6.8%、1割もいないんですね。「フリーランスで年収1000万」を夢見て独立する人も多いようですが、現実はなかなか厳しいということでしょうか。

ただ、平均作業日数は会社員よりも少ないですし、比較的自由に働いているのだと思います。ですから、働きがい&働きやすさについては「満足している/ある程度満足している」という回答が7割ほど。一方で、収入に満足している人は半分以下です。このあたり、どちらを取るかは個人の選択になるのでしょう。何が幸せかだとか、価値観は人によって違いますから。

念願の独立を果たした。しかし…


ここ数年、「これからは個人の時代だ」とか「フリーエージェント社会の到来」なんて言われたりしています。最近では、経団連の会長やトヨタの社長までも「終身雇用は守れない」と言っているくらいですから、個人として稼ぐ力を身につけることには僕も賛成です。しかし、考えもなく独立すれば、待っているのは年収200万円未満…4割が年収50万円にも満たない世界です。

たとえば、会社勤めの営業マンとして年間1億円以上を売り上げている人がいたとします。だた、彼の年収は1000万円未満。次第に「自分はもっと貰っていいはずだ!」という不満が募り、年収の大台突破を夢見て独立を決意したとしましょう。では、ここで問題ですが…彼は独立後はどれくらいの年収を稼ぎ出すことができるでしょうか?

その売上、会社のお陰じゃないの?


彼が「人柄」で売れていたのであれば、独立後も彼についてきてくれるお客さんがいるでしょうし、個人でやる分、年収も上がるかもしれません。しかし、独立後に同レベルの商品力・サービス品質をいきなり実現できるかというと、きっと難しいはずです。会社で他の社員が商品制作やカスタマーサービスをやってくれていたから、彼はセールスとしての能力を遺憾なく発揮できていたでしょう。これが、個人事業になれば全て1人でやらなければいけません。時間は全然足りなくなります。

ましてや、彼がたとえば大手メーカーの営業マンで、人柄ではなく「商品力」によって数字を作っていたとしたら悲惨です。会社を辞めた途端に、彼は「会社の看板」が使えなくなります。今までは丁寧に接してくれた取引先が「もう君に用はない」と態度を変えるかもしれません。当然、独立後は独自の商品(商品力)なんてありません。代理店として営業しても、同じ商品を扱っている人は他にもたくさんいます。だとしたら、お客さんが彼から買う理由はあるでしょうか?

年収1000万を超えるために独立したはずが、限りなくゼロに近い売上に絶望することになるかもしれません。会社にいた頃は当たり前のように使っていた社内の”リソース”が、どれほどありがたいことだったのかを痛感するかもしれません。ですから、営業出身で独立を考えるのであれば、辞めた後に使えなくなるものが現状、どれだけのインパクトを持っているかはよく考えておいたほうがいいと思います(※僕はこれで苦労しましたから…w)

専門スキルで独立する場合の注意


では、エンジニアやWebデザイナー、コピーライターなど専門技術を生かして独立する場合はどうでしょうか? 「独立後もぜひあなたに頼みたい」と言ってくれる人が多ければ、会社員時代よりも自由に働けて、年収も伸ばすことができる可能性は上がります。お客様から感謝されて、働きやすさもやりがいも上がる…まさに理想的だと思うかもしれません。

ただ、そうしたお客さんが”ずっとあなたに仕事を与え続けてくれる”かどうかは分かりません。単発で売り切りのサービスであれば、独立後は仕事があるかもしれません。しかし、時間が経つにつれて次第に減っていきます。その時、営業力がなければお客さんを獲得することができません。新規顧客はビジネスにおける血液です。血液がなければ、どんなビジネスもいずれ死んでしまいます。

営業力のない人は生き残れない


ですから、専門技術を強みとして独立する場合は、”どうやって売るか”を考えておかなければ地獄を見ることになります。当たり前の話かもしれませんが、意外とココを軽視している人が多いようにも思うのです。流行りのクラウドソーシング・サービスなんかに登録すれば、仕事を獲得することはできますが、ほぼ間違いなく価格競争に巻き込まれます。価格を上げられないのです。

冒頭の「6割が年収200万円未満」という事実は、そんな現実を物語っているような気がします。独立・フリーランスには確かに夢があります。すぐに「起業しろ!」なんて教えるコンサルタントなんかもいます。しかし、それを可能にするための営業力や技術を身に付けなければ、夢は夢のまま終わってしまうので注意が必要だと思うのですが…あなたはどう思いますか?

PS
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