マイナス金利の解除直後、250機関超が預金金利の引き上げに動く!【「Dataは語る」2024年10月号から新連載】
「金利のある世界」へとシフトする日本。そのきっかけとなったのが、日本銀行による2024年3月のマイナス金利解除と、7月の追加利上げだ。金融政策の変更直後に金融機関の預金金利はどのように動いたのか。
ニッキン(日本金融通信社)が独自に260機関(都市銀行5、信託銀行4、その他銀行12、地方銀行62、第二地方銀行37、信用金庫106、信用組合18、労働金庫5、農業協同組合11)を対象に調査する『ニッキン金利情報』をもとに振り返る。(ニッキンデータ商品開発部。金融ジャーナル2024年10月号掲載)
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日本銀行がマイナス金利解除を公表した3月19日夕刻。いち早く動いたのは三菱UFJ銀行。21日には17年ぶりに預金金利を引き上げた。そこから4月1日までに調査対象機関の約7割が追随した。5月1日までは週央変更が散発し、他機関の動きに合わせ対応を急ぐ姿が垣間見えた。そして、7月1日までにほぼ全ての金融機関が足並みをそろえている。
大口定期預金1年もの(以下、大口)と普通預金(以下、普通)の動向を調べたところ、3月21日に三菱UFJ銀が大口と普通、翌22日に三菱UFJ信託銀行が大口の金利引き上げに踏み切った。
翌月曜日の25日には、5機関(みずほ銀行、みずほ信託銀行、三井住友信託銀行、スルガ銀行、名古屋銀行)が大口、7機関(三井住友信託銀行、セブン銀行、大和ネクスト銀行、スルガ銀行、名古屋銀行、播州信用金庫、大東京信用組合)が普通の金利を引き上げ、その週に4機関が続いた。
山場は4月1日。162機関が大口、172機関が普通の金利を一斉に引き上げた。全体の平均金利も大口が3月4日の年0.007%から0.021%、普通は同0.001%から0.014%に急上昇した。
結局、7月1日までに250機関が大口、252機関が普通の金利を引き上げた。その多くが大口0.025%、普通0.02%で落ち着いた。一方、金利を変えなかったのは、大口が10機関、普通が8機関。その中には3月時点で大口を0.33%に設定していた大阪協栄信用組合、給与・年金振込指定で普通を最大0.3%に引き上げる東京スター銀行などが含まれる。
7月31日には、日本銀行が追加利上げを決定した。マイナス金利解除後ほどの動きは見られないが、8月16日までに都市銀行5、信託銀行4、地方銀行61、第二地方銀行35が普通の金利を年0.02%から0.1%へ引き上げた。
一方で違いが出たのが大口で、みずほ銀行と三菱UFJ銀行は年0.125%に引き上げたが、三井住友銀は年0.110%に設定した。地域銀行も常陽銀行は年0.125%、伊予銀行や愛媛銀行は0.110%としている。金利レートの横一線がついに崩れ始めた。今後の動向も目が離せない。
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