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乳ガンの告知

急な夕立。傘もなく、近くに売店もコンビニもなく、しばらく雨が小降りになるのを駅前のATMで待っていたが、雨はさらに酷くなっていた。やっと少し小降りになり、病院の予約時間も迫っていたので、走って病院に行った。


雨で濡れたバッグなど拭いているとすぐに診察室に呼ばれた。先生から病理検査の結果は、初期の乳ガンという告知を受けた。自分でも意外だったのは、驚きやショックはなく、「あ、そうですか」という淡々とした返事をしている自分がいた。先生は、私は幸いまだ初期の乳ガンなので、手術しても抗がん剤や放射線治療の必要はなく、再発の心配もなく治るとのことだった。病理組織検査報告書には詳細が書かれていたが、「癌」という文字だけが浮き上がって見えた。受付で手術を受ける提携病院の予約をするように言われ、診察は終わった。受付で、提携病院の診察予約を3日後に入れ、乳ガンのガイドブックを渡された。ガイドブックは、病院の診察にも持ってくるようにとのことだった。


病院を後にしてまず思ったのは、誰に報言うべきか…。両親には言えない。手術なら会社を休まなければならないので上司に話すべきか。手術はどれくらいかかるのだろう。私は年の始めに、私は癌家系でもないし、健康保険があれば民間の医療保険は保険料の無駄と保険を解約してしまっていたのだ。そんなことより、エデン農園をもっと活用していくことにお金を使いたいと思っていた。


家に帰る途中で、今日の検査結果について祈ってくれていたクリスチャンの祈りの姉妹のグループに報告した。(クリスチャンは、皆、神の家族なので他のクリスチャンを兄弟姉妹と呼ぶ) 姉妹達はすぐに返事をくれて励ましてくれた。感謝だった。


家に帰って、乳ガンガイドブックを開いてみたが、最初の1~2ページを読んで閉じた。


[コリント人への手紙 第二 12:9]

しかし主は、「わたしの恵みはあなたに十分である。わたしの力は弱さのうちに完全に現れるからである」と言われました。ですから私は、キリストの力が私をおおうために、むしろ大いに喜んで自分の弱さを誇りましょう。


バイブルスタディのリーダーが、私達クリスチャンは、どんなに辛いことにも感謝すべきと言っていたのを思い、喜べないことを感謝するとはどういうことだろうと考えていた。神様がこの状況を益と変えてくださることに期待することなのか。神様に病院で神様の素晴らしさを伝えるのに用いられるのであれば喜びなのかもしれない。でも、なぜか涙が溢れて止まらなかった。

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