『 氣志團万博2019 』が指し示した、音楽の先にある希望
このタイミングで『 氣志團万博 』を開催するべきか、するべきではないのか? この人生で一番悩みました。
結局、悩み抜いて答えは出ませんでした。
俺達は人生の岐路に立たされた時、いつだって前に進むことを選択してきました。いま、この判断が正しいかどうか分かりません。
だけど、俺達が夢見た音楽の先には 必ず希望がありました。
だから俺は 氣志團万博を開催することを決めました。
開会宣言で、綾小路 翔( 氣志團 )は台風 15 号の被害に遭われた方へのお見舞いの言葉を語った後、開催決断に至った自身の想いを、自分の言葉で丁寧に力強く語った。
9 月 14 日( 土 )15 日( 日 )千葉県・袖ケ浦海浜公園にて開催された
『 シミズオクト Presents 氣志團万博2019 ~房総ロックンロール最高びんびん物語~ 』。
9 月 5 日に発生した台風 15 号の影響で、千葉県広域が停電や断水の被害に見舞われ、開催さえ危ぶまれた今年の万博だったが、主催者である氣志團の想いや考えに賛同した、2 日間で 33 組の出演者と 45,000 人の観客が房総に集結。
終わってみれば、やらないという選択肢は無かったんじゃないか? と言い切ることが出来るほど素晴らしく、意味と意義のある 2 日間となった。
2 日間『 氣志團万博 』の開催をキッカケに、全国からたくさんの人が千葉を訪れた。
現地で見聞きしたこと、出演者の想いや考えを受け取って、色んなことを感じて考えて。募金や交通、飲食宿泊で近隣地域に貢献して、忘れない思い出を心に刻んで。最高の音楽に熱狂して、ポジティブな力を蓄えて。
その力を会場に来れなかった人や、来ていない人にも分け与えることが出来るなら、それで十分じゃないか? と思った。
ポジティブな力とか気持ちの話だけでなく、初日の 14 日( 土 )には、少しでも明るい気持ちになってもらいたいと、袖ケ浦市民 1,000 人を無料招待。会場では「 氣志團マブダチ募金 」が実施され、総額 1184 万 4223 円が被災地支援として寄付された。これも参加者が実際に千葉に訪れ、色んなことを感じて考えたからこそのひとつの結果だ。
万博初日、「 こんな大変な時に、楽しんでて良いのだろうか? 」という、不安や懸念を抱えて参加したオーディエンスに、開会宣言で自身の想いを正直に語った上で、「 我々出演者一同はみんなの明日の活力になるよう、全身全霊でプレイすることをここに宣言します。みなさんとことん音楽を楽しんでって下さい! 」と力強く宣言した綾小路。
開会宣言に続いて流れたオープニング VTR では、万博のテーマ曲と言えるRAMONES「 Do You Remember Rock'n’Roll Radio? 」を BGM に、この日の出演者を紹介する煽り映像が流れる。
痛快なロックンロールとこの日起こるであろう、奇跡みたいな瞬間への期待に胸躍り、オーディエンスの気持ちが少しだけ楽になってきたところで、特攻隊長の氣志團が YASSAI STAGE のトップバッターとして登場。
スカパラホーン隊を従えて、1曲目に演奏した曲はオープニング VTR で流れていた、RAMONES「 Do You Remember Rock'n’Roll Radio? 」のカバー! < Rock'n’Roll Radio 最高!>と、歌詞を替えて歌ったこの曲。
不安や懸念を払拭するように、ロックンロール・ビートとホーンの音色が痛快に鳴らされると、オーディエンスが何の遠慮もなく高々と拳を上げる! 音楽の先には必ず希望がある。自らの言葉を実証するように鳴らす最高のロックンロールに、オーディエンスだけでなく、この後に出演するミュージシャン達もさぞかし気持ちが楽になったことだろう。
「 ぶっ生き返す!! 」、「 恋のメガラバ 」とラウドで最強最凶な楽曲を次々と投入し、モッシュやクラウドサーフでぐしゃぐしゃになる笑顔のオーディエンスを眺めながら、「 目の前のこの光景を広げていくのが、僕らの役目だと思ってます 」と自身の在り方を語ったのは、サブステージとなるMOSSAI STAGE のトップバッターで登場した、コロナナモレモモ( マキシマム ザ ホルモン2号店 )。
痛快で警戒なスカのビートで、会場中を踊らせると、「 束の間の幸せを届けにきました。無理してきてくれた人も、僕らの音楽で少しでも幸せになってほしい 」とメッセージを届けた、東京スカパラダイスオーケストラ。
Dragon Ashのkj(Vo)は「 やるやらない、どっちでもよかった。あの人たちが考え抜いて、傷つけられて、出した結果が開催ってことなんだよ。だから俺たちはリーダーに従うだけ。俺たちは氣志團に賛同します 」と支持を語り、「 俺たちは何度も何度も音楽に救われた。来てるみんなも音楽に救われて、明日から晴れやかに一日一日を迎えられればいいなと思ってます 」と「 百合の咲く場所で 」、「 Fantasista 」を激しく力強く鳴らした。
万博2日目に登場した打首獄門同好会の大澤敦史( Vo&Gt )が語った、「 千葉になにか出来ないか? そう思ってる人に良いものを見つけた 」と、「 氣志團マブダチ募金 」の募金箱を出すと、「 カモン諭吉 」を演奏しながらフィールドに募金箱を回し、ライブ中にも関わらず募金を要請し、本人たちも 5 万円を募金箱に投入。
「 万博に来る機会が無ければ、対岸の火事だと思ってたかも知れない。翔やんが掲げたのろしに集まって、ここで感じたことを全国に広めていけばいい。それがここに来た意味だと思ってます 」の言葉は僕の中ですごくしっくり来たし、それこそが氣志團万博を開催した意味であり、意義であると心から納得。
ちなみに打首の公式報告によると、この 1 曲中に集まった募金は 70 万円オーバー! 大澤の言葉に強く共感し、賛同したのは、やはり僕だけじゃなかったようだ。
俺達が夢見た音楽の先には、必ず希望がある。
この 2 日間、僕の中で何度も繰り返したこの言葉の意味を強く感じたのは、初日の大トリで登場した、木梨憲武のステージだった。
大トリの重圧など微塵も感じさせない、自由すぎかつ最高にエンターテイメントなステージを展開したライブ後半、綾小路を招いて歌ったのは、とんねるず「 一番偉い人へ 」。
< 一番偉い人へ 俺たちは 今 何をするべきか? >と問題提議で始まるこの曲。< 群衆になんか なりたくなかった >、< どこかで忘れてた もっと大切な 何かを教えてくれ >と、歌詞のワードがあまりにもいまの気持ちにハマりすぎて、胸にグサグサ刺さった。
初日のラストは出演者がステージに勢揃いして、「 One Night Carnival 」を賑やかに歌って踊って終幕。
たくさん笑ってちょっぴり泣かせて、気づきと力を与えてくれた木梨のステージに、僕は感動と感謝をこめていつまでもいつまでも拍手していた。
『氣志團万博 』に来る前はどこか後ろめたさがあって、不安や懸念を抱えたまま、会場に訪れた僕たち。
しかし、綾小路を始めとするミュージシャンの言葉に、そして素晴らしい音楽に勇気と力を与えられ、気が付けば前を向けていた。
俺たちはいま、何をするべきか?
答えはひとつじゃないし、一人ひとりに出来ることはちっぽけだけど、同じ想いの人がこれだけたくさんいれば、きっと何かが変わるはず。
俺達が夢見た音楽の先には、確かに希望があった。
構成・文:フジジュン
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