オススメは1万円以上?スタートアップ起業時の資本金の決め方
ベストプラクティスまとめ
本記事の結論は以下になります。
資本金は実務上1万円以上にする💰
エクイティ調達への影響はナシ👼
1,000万円未満にすることで節税メリット📚
少ない資本金でも口座開設もおおむね問題ない🏦
これらを考慮すると、特別な事情がないのであれば1万円、10万円、100万円のいずれかにしておけば必要十分です。
以降は、スタートアップ&ベンチャーにおいて上記の資本金が好ましい理由や重要な観点について解説します。
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設立起業時の資本金とは
資本金とは株主から払い込まれた金額のことです。
ほとんどのスタートアップ設立時は、創業者=株主なので「設立時の資本金=創業者が払い込んだ金額」になります。
なので設立時の資本金を100万円に設定した場合、創業者が100万円用意する必要があります。
また、この資本金は設立時から増やしたり、減らしたりできないわけではなく、エンジェル投資家やVCから資金調達をすることで増やしていくことができます。
設立起業時の資本金を決めるポイント
設立時の資本金をいくらにすべきか決める上では、主に「信用力」「節税」「創業者の懐事情」「口座開設やオフィス賃貸への影響」の4つの観点があります。
(1) 設立起業時の資本金は実務上1万円以上にする
まずは実務上の観点から考えます。資本金1円にすると何が起きるかというと、発行する株式数が1株になってしまいます。(1株は最低1円以上)
こうなるとエクイティ調達で株式発行してVC等に割当てる際、株式分割をして株式を増やす必要が出てきたりと実務上困ってしまいます。それを避けるために実務上1万円以上にする必要があります。
次に「信用力」から考えていきましょう。
信用力が大きく関わってくるのは資金調達です。いまの時代、他社との取引に資本金による信用力が影響することはほぼないからです。
資金調達はVC等からのエクイティ調達と、公庫や銀行等からのデット調達(融資)がありますが、エクイティ調達する際に資本金の金額によって信用力を測られることはありません。究極的には資本金1円でも問題ナシ。
(2) 融資に資本金がどれほど影響するか
一方、融資では資本金の金額によって信用力が測られます。
スタートアップでお世話になることが多い日本政策金融公庫のFAQ「自己資金はどれくらいあればよいですか?」への回答によると、おおよそ自己資金の2-3倍の額が借入れられることが分かります。(資本金≠自己資金)
ただし同じく公庫の新創業融資制度の利用要件には、10分の1以上の自己資金とあるので、極めて稀ですが自己資金の10倍ほど借りることは要件上可能でしょう。
しかし、エンジェル投資家やVCから創業資金を調達してから融資を利用する手順であれば、十分な資本金が確保されているので、設立時の資本金が少なくても問題ありません。そして多くのスタートアップはその手順を辿るはず。
したがって、実務上スタートアップ設立時の資本金は1万円以上に、創業資金もエクイティ調達であれば資本金1万円でも問題ありません。
(3) 消費税の免税が受けられる資本金は1,000万円未満
次に「節税」の観点です。節税を最優先に考えるあまり事業のためにベストな選択が取れないのは本末転倒ですが、享受できるならばしておくに越したことはないでしょう。
その上で制度として、設立2年までの法人で売上や資本金の合計が1,000万円未満の場合には、消費税の納税が免除されます。
創業時にVC等から1,000万〜2,000万円を調達したとしても、資本準備金に1/2を超えない額まで計上できるので、資本金を1,000万円未満に抑えることが可能です。
また、「創業者の懐事情」という面でも限界ギリギリまで資本金に充てるのは控えるほうがよいでしょう。
なぜなら、創業期に取れる給与は限られた資金量や他のメンバーとのバランスも考慮するため、一般的に多くありません。
創業者自らの生活に一定のゆとりやいざという時のお金確保のためにも、設立時の資本金を多額にする必要はありません。
スタートアップは長い旅路です。中長期的で最善の意思決定ができることが重要です。
したがって、多くても設立時の資本金は1,000万円未満が好ましいでしょう。
(4) 銀行口座開設やオフィスなど信用面について
銀行口座開設の審査における資本金ですが、基準が明示されているわけでないので例外はありますが、少ない資本金が決定的な原因で口座開設ができないことは経験上ないでしょう。
銀行が気にしているのはマネーロンダリングを始めとする犯罪などのトラブルです。
また、いくつかの銀行の審査に落ちても他の銀行だったら大丈夫だったというケースもありますし、VCはじめとする人による紹介であれば資本金がの金額に関わらずスムーズに口座開設ができます。
一方、オフィス審査では賃料を支払えるかどうか問われるので、資本金はその1つの指標として判断材料になり、落ちてしまうこともあります。
しかしスタートアップの場合であれば、資金調達を終えてしまえばVCが提供するシェアオフィスを利用できますし、初期は自宅兼オフィスにすることでその問題はクリア可能です。
また、物件によっては審査をクリアし入居OKなものも沢山あるため、オフィスのために無理に資本金を多くする必要はないでしょう。
まとめ
「スタートアップ&ベンチャーに必要な資本金の金額」を考えるにあたって重要な観点は以下の4つになります。
資本金は実務上1万円以上にする💰
エクイティ調達への影響はナシ👼
1,000万円未満にすることで節税メリット📚
少ない資本金でも口座開設もおおむね問題ない🏦
これらを考慮すると、特別な事情がないのであれば1万円、10万円、100万円のいずれかにしておくのが無難です。
Buildは、定款などの法人登記書類を簡単に作れる利用無料のサービスです。本記事で解説しているような資本金、事業年度、株式数などをあれこれ考えることなくスタートアップに最適な形で設立できます。