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【商社就活】#5 次世代商社の人材要件(2) グローバル

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【この記事で説明すること】
・グローバルで活躍するとはどういうことか?

以前、「次世代商社」における求める人材像は「イノベーティブ・グローバル・リーダー」であると提起し、前回記事では「イノベーティブ」について説明しました。今回は「グローバル」について説明していきます。

【考えてみよう】
「グローバルで活躍する人」とはどういう人のことを言うのでしょうか?


「グローバルで活躍する人」のイメージは、「語学が堪能」「帰国子女」「海外経験が豊富」といったところでしょう。日本と海外をわけ、海外で活躍するために必要とされる能力や経験を有している人という定義は間違いではありませんが、これらは表面的なものであり十分とは言えません。

「グローバルで活躍する人」とは、
「いつでも・どこでも・だれとでも、同じように高いレベルで課題解決できる人」
であると考えます。

「いつ」:
「いつ」というのは、通常業務であっても、プロジェクトであっても、緊急事態への対応であっても、どんなときでも冷静さを保ち、安定して活躍できるということです。また、まったく新しい分野や役割であっても、短期間のうちにキャッチアップし、すぐに活躍し始めるということです。
「どこ」:
「どこ」というのは、日本に限らず、先進国であろうと発展途上国であろうと、英語圏であろうと非英語圏であろうと、親日国であろうと反日国であろうと、世界のどこででも活躍できるということです。
「だれ」:
「だれ」というのは、男性であろうと女性であろうと(性別)、日本人であろうと外国人であろうと(人種)、年上だろうと年下だろうと(年齢)、だれとでも協業し活躍できるということです。


会社で高い評価を受けている人であっても、「いつでも・どこでも・だれとでも、同じように高いレベルで活躍している人」はそう多くはないように感じます。たとえば、

・通常時だと落ち着いて仕事ができるけど、緊急時だとパニックになってしまう人。
・慣れ親しんだ分野や役割であれば活躍できるけど、新しい分野や役割では力を発揮できない人。
・日本人相手だと力を発揮できるけど、外国人相手となったとたん苦手意識を持ってしまい力が発揮できない人。
・欧米人に対してはペコペコするけど、アジアの人には上から目線の人。
・海外に日本の文化・価値観・風習・常識をそのまま持ち込んでしまい、現地の人の理解が得られず、衝突してしまう人。
・親しい相手だと活躍できるけど、新しい相手となるとコミュニケーションがうまく取れなくなってしまう人。
・同僚や年下相手だと活躍できるけど、年上相手になると上下関係を気にしすぎて、萎縮してしまう人。


これらの要因として「組織文化」の影響もありますが、大半は個人のマインド・資質・スキルの問題であると考えます。みなさんが目指していくのは「グローバルで活躍する」ことです。すなわち、「いつでも・どこでも・だれとでも、同じように高いレベルで課題解決できること」です。そう簡単なことではありませんが、あくまで目指すべきところはここにあると考えます。


【考えてみよう】
なぜ「グローバル」で活躍することが、今まで以上に求められているのでしょうか?

これについては認識している人も多いと思いますので、簡単に説明しますが、利益の源泉が、日本から海外にシフトしているからです。日本は、少子化や高齢化が急速な勢いで進行しており、マーケットとして縮小しています。一方海外は、「原料供給源」「生産拠点」としての位置付けに加え、「消費地」としてのビジネスチャンスが広がっています。したがって、海外での収益を拡大していかないと、会社として生き残れないという強い危機感があります。商社は、海外での勤務経験の付与や、語学や異文化マネジメントなどの研修を通じて、「グローバル」で活躍できる人材の育成に注力しています。


【考えてみよう】
海外で働く動機やメリットは何でしょうか?

産業能率大学が、2017年4月入社の新入社員を対象とした「第7回新入社員のグローバル意識調査」において、「日本企業はグローバル化を進めるべきだと思うか」という質問に対し、グローバル化に肯定的な回答の割合は過去最高の79.5%となりました。
一方、同じ調査において、「海外で働きたいと思うか」という質問に対しては、60.4%が「働いてみたいとは思わない」、27.9%が「国・地域によっては働きたい」、11.8%は「どんな国・地域でも働いてみたいと思う」と回答しました。
日本企業はグローバル化を進めるべきだけど、自分は海外では働きたくないという意見が多いという結果となりました。

では、海外で働く動機やメリットは何でしょうか?
人によってさまざまですが、私は「成長」であると言えます。少し専門的になりますが、もう少し詳しく説明していきます。国際コーチ連盟 プロフェッショナル認定コーチ 馬場久美子氏の著書『グローバルリーダーのための「トランジション・マネジメント」』によると、海外に赴任して異文化環境に適応し、パフォーマンスを十分に発揮できる状態になるまでのプロセスを「トランジション(Transition)」と言い、このトランジションをどのように歩むかが、現地での成功やその人の成長に影響を与えるとのことです。
トランディションは、大きく4つのフェーズに分けられますが、ここでは3つのフェーズについて簡単に紹介します。

①ユーフォリア期(赴任後すぐ〜2か月ほど):
新しい環境になり、多くのことが新鮮で面白く、ポジティブに感じられる期間

②カルチャーショック期/回復期(赴任後1か月〜6か月ほど):
慣れとともに新鮮さは薄れ、しだいに思う通りにいかない事に意識が向くようになる期間。ストレスが溜まり、ネガティブな感情を抱きやすい。

③適応期(赴任後6か月ほど〜):
自分の中で多くのことに折り合いがつき、環境に合った新しいスタイルを身に着け始め、自信がついてくる期間。

トランジションは、なにも海外赴任時に限った話ではなく、たとえば、大学入学時に経験している人も多く、企業に入社した新入社員も同様に経験すると思われます。
このトランジションは、新しい環境においてより早く「成果」をあげるためのプロセスですが、同様に「成長の機会」であるとも言えます。新しい環境において、自分自身の今までの価値観や考え方が否定され、苦労や葛藤の連続ですが、このプロセスを通じて、新たな価値観や考え方を獲得し、より視野を広げ、成長を遂げていきます。

ただ、何もしなければ、このプロセスは単なる苦労や葛藤の期間で終わってしまいます。このプロセスを飛躍的な成長機会として活かしていくには、まず、このトランジションが成長機会であると認識し、各フェーズの特徴やすべきことについて理解することが必要です。次に、自分自身の現状を正しく認識するとともに、他者との対話を通じて、お互いの違いを表面化させ、すり合わせる過程で、新たな視点を得ることです。また、このプロセスを乗り切るための良き支援者を得ることも必要です。先の産業能率大学の調査では、留学経験のある人の方が無い人よりも、海外で働きたいと回答した割合がかなり高いという結果となっています。これは、自身の海外経験を通じて、まったく新しい環境で苦労・葛藤することが「成長」につながるということを実感しているからだと考えます。

トランジション・マネジメントの詳細については先ほど紹介した馬場氏の著書を参考にしてください。

将来「グローバル」で活躍するために、商社入社後は海外駐在・研修や、多様な人材をマネージする機会が与えられ、必要なスキルを磨くチャンスがあると思います。一方、大学時代に身につけないといけないのは何でしょうか? それは「多様性」であると考えます。つまり、「自分らしさ」を磨くことと、「他人らしさ」を許容することです。「多様性」というのは、同質の文化の中で育ち、「みんなと同じことが良い」という価値観で育った日本人がもっとも不足している資質かもしれません。別の記事で詳しく説明します。


【まとめ】
・「グローバルで活躍する人」とは、「いつでも・どこでも・だれとでも、同じように高いレベルで課題解決できる人」である。
・将来、「グローバルで活躍する」には、大学時代に「多様性」を磨く必要がある。
【参考文献】
・馬場久美子(2019年)『グローバルリーダーのための「トランジション・マネジメント」』ダイヤモンド社.


当方が考える『次世代商社における求める人材像』

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次回は、【商社就活】#6 次世代商社の人材要件(3) リーダー です。お楽しみに!


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