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【商社就活】#10 商社内定に向け学生時代に習得すべきこと(2) −多様性

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【この記事で説明すること】
・「多様性」とは何か?
・「多様性」を磨くために、どのようなマインドや行動をとるべきか?


「次世代商社」において求められる人材像は「イノベーティブ・グローバル・リーダー」であると説明してきました。そのうち「グローバル」に関し、大学時代に身につけるべき土台となるのは「多様性」だと考えます。

【考えてみよう】
「多様性」の定義とは何でしょうか?


1. 「多様性」とは何か?

属性の多様性:

「多様性」
というと、年齢・性別・国籍といった、いわゆる「属性の多様性」を思い浮かべる人が多いかもしれません。実際、いままで商社で「多様性」といった場合、「属性の多様性」の文脈で語られることが多いです。というのも商社における人材戦略や採用戦略は、長いあいだ「新卒・男性・日本人」中心に考えられてきており、このような考えや組織文化をどう変えていくかが人材多様化推進の歴史であったからです。「新卒・男性・日本人」中心であった理由は、以下が考えられます。

​1)かつては、当時の時代背景やビジネスモデルにより、同じ価値観や能力・スキルを持った社員が求められており、「新卒」で一括して採用し、同じ研修を行い、同質の社員を育てる必要があったため。

2)日本全体に言えることですが、かつては女性の社会進出がまだまだ不十分で、女性は補助的な業務をおこなうものという固定観念がありました。また、商社の業務は世界中を飛び回り、タフさが求められていたので、「男性」の方が適性があると考えられていたため。

3)対日ビジネスが中心で、「日本人」の方が使い勝手が良かったため。

​​その後各社とも、人材の「多様性」の重要性を認識し、2000年代半ばあたりから人材多様化を積極的に推進していきます。「キャリア(中途採用)・女性・外国人」の採用を増やし、会社によって程度の違いこそあれ「属性の多様性」が進んでいます。特に、女性総合職の人数は増え、当たり前の存在になっています。また他社・他業界の経験を持つ即戦力として期待できるキャリア(中途)採用も増加しています。外国人については、本社というよりは海外拠点や海外グループ会社において戦力化しています。

特にここ数年は、技術革新が急激なスピードで進み、顧客ニーズもめまぐるしく変化しています。「不確実性」の高い世の中であると言えますが、このような時代では、企業自身も変化していく必要があり、組織や人材の多様化がますます求められるようになっています。


特性の多様性:

「属性の多様性」は、「新卒・男性・日本人」にはない新しい知見や考えを取り入れる点で重要ですが、それ以上に、組織パフォーマンスの向上に必要なのは「特性の多様性」です。すなわち一つの組織において、さまざまなパーソナリティ・知識・スキル・キャリア・バックグラウンドなどの特性を持った人材を要するということです。

ではなぜ「特性の多様性」が必要なのでしょうか? それは、イノベーションを引き起こし新しい価値を創造するためです。イノベーションは、既存の「要素」と「要素」の「新結合」により創造されると言われています。いかにして革新的で独創的な「新結合」を生み出すかがキーとなり、それを可能とするのが「特性の多様性」であると言えます。「属性の多様性」を推進するのは、それ自体が目的ではなく、組織における「特性の多様性」をはかるためであると言えます。つまり、組織において、同質の人の集まりよりも、異質の人の集まりの方が、組織パフォーマンスは高くなるということです。


個人の中の多様性:

さらに、今までは組織の中での多様性の話でしたが、「個人の中の多様性」も求められるようになりました。つまり、ひとりの人がより幅広い経験、知識・スキル、人脈を有するなど、ひとりの人の中に多様性が存在するということです。

商社では、人材多様化の推進により「属性の多様化」が進んできているのは上述のとおりですが、「特性の多様性」の観点では、まだまだ似たようなタイプの社員が多いというのが実態のように思います。採用においては現在は筆記試験と面接による選考が中心で、採用者の多くは短期間のうちに一括で採用されます。そのため、どうしても面接官自身と同じタイプの人材が評価される傾向となってしまい、個性あふれる人材が採用されにくいというジレンマに陥っているように感じます。また入社後は「縦割り組織」の弊害もあり、部門をまたぐ「横」の異動がそれほど多くなく、同一組織に同じキャリアバックグラウンドを持った人が集まりやすく、「特性の多様性」もそれほど進んでいない状況にあります。これらの課題は各社とも強く認識しています。

商社は「属性の多様性」を着実に進めつつも、「特性の多様性」や「個人の多様性」を図るべく、意図的で計画的なローテーションや研修を付与していくことになります。

みなさんについては、これから説明するとおり、大学時代から「自分らしさ」を磨き、「他人らしさ」を許容し、「個人の多様性」を追求していくことが求められます。


2.「自分らしさ」を磨き、「他人らしさ」を許容する
 

【考えてみよう】
「自分らしさ」を磨き、「他人らしさ」を許容するにはどうしたらよいでしょうか?


①「自分らしさ」を磨く

この「自分らしさ」というのが、将来商社で活躍する上で最も重要なキーワードになります。「自分らしさ」は生涯磨き続けるものですが、比較的時間に余裕がある大学時代に、とにかく「自分らしさ」を追求してもらいたいと考えます。

しかしながら、「自分らしさ」を磨くのは、多くの日本人にとってそう簡単ではありません。「普通〇〇〇〇だよね」「〇〇〇〇なのは当たり前だよね」といったことを言ってしまいがちです。これは、固定観念や思い込みによる場合もありますが、「人と違うことは恥ずかしい」「人の目が気になる」「人と同じであることで安心したい」という思いから来ているように感じます。多くの人が「人と同じことが良い」という教育を受けてきたので、しょうがないことかもしれません。私自身もかつてはそうでしたが、今は人と同じで「無難」であることは恥ずかしいことだと思うようになり、「人と違うことを恐れない」姿勢を持ち続けようとしています。

​ご覧になったことのある人も多いと思いますが、1997年の Apple社の CM「 Think Different」を紹介します。当時Apple社は、PCやソフトウェアの分野において先行していたIBMやMicrosoftなどに対抗すべく、このCMでそれらとの違いを鮮明に表現し、自分たちは世界を変えると宣言しています。英語と日本語訳をWikipediaから引用します。

Here’s to the crazy ones. The misfits. The rebels. The troublemakers. The round pegs in the square holes. The ones who see things differently. They’re not fond of rules. And they have no respect for the status quo. You can quote them, disagree with them, glorify or vilify them. About the only thing you can’t do is ignore them. Because they change things. They push the human race forward. While some may see them as the crazy ones, we see genius. Because the people who are crazy enough to think they can change the world, are the ones who do.

(訳)
クレージーな人たちがいる
はみ出し者、反逆者、厄介者と呼ばれる人達
場に馴染めない人達
物事をまるで違う目で見る人達
彼らは規則を嫌う 彼らは現状を肯定しない
彼らの言葉に心を打たれる人がいる
反対する人も 賞賛する人も けなす人もいる
しかし 彼らを無視することは誰にも出来ない
何故なら、彼らは物事を変えたからだ
彼らは人間を前進させた
彼らはクレージーと言われるが 私たちは天才だと思う
自分が世界を変えられると本気で信じる人達こそが
本当に世界を変えているのだから

Apple社のその後の躍進を見てみれば、他と「違う」ということがどれだけ大きな新たな価値を生み、どれだけ世界を変えたのか理解できると思います。

では、「自分らしさ」とは何における「自分らしさ」でしょうか?

それは、たとえば「生きざま」「価値観」「考え方」「誇り」といった人間の本質に関することであったり、「学業」「スポーツ」「趣味」「こだわり」「得意なこと」「苦手なこと」などの能力や趣向に関することだったり、「成功体験」「失敗体験」「特別な経験」などの経験に関することであったり、「家族との関係」「友人との関係」といった人とのつながりやコミュニケーションに関することだったりとさまざまです。


【考えてみよう】
いったいあなたは何者ですか?


みなさんにはそれぞれ違った人生のストーリーがあり、今後も違ったストーリーを紡いでいくわけです。「自分らしさ」について、堂々とたくさん話せる人は魅力的にうつります。
私が主宰している「商社就活オンラインカレッジ」は、商社に入社し活躍する人材を育てるため、「成長支援」「就活支援」をおこなっていますので、みなさんのことを型にはめて、同質の人材を育てようとしていると感じる人もいるかもしれませんが、それは全く逆です
以前、みなさんに「成長」のフレームワークをお伝えしましたが、そのフレームワークの中に何を入れていくかはみなさん次第です。まったく同じ経験をしても、そこから何を感じ、何を学ぶかは、人それぞれ異なります。「自分らしさ」を大切にし、それをのばしてください。

(「自分らしさ」を大切にすると言っても、法律やルール、社会常識を破ってまでも自分の好きなことをしていいというわけではありませんのでご注意ください。)


【考えてみよう】
ビジネス、スポーツ、芸能、芸術、学業などの世界において成功している人は、何かに強いこだわりを持っていて、「自分らしさ」を大切にしている人が多いように思われます。具体的な例を調べてみましょう。


②「他人らしさ」を許容する

「個人の多様性」を磨くには、まずは「自分らしさ」を磨く必要があると説明しました。ここではもう一つのポイントである「他人らしさ」を許容することについて説明していきます。

「自分らしさ」を磨くことと、「他人らしさ」を許容することは似ているように感じるかもしれませんが、別物であると理解してください。「他人らしさ」を許容することは、「自分らしさ」を磨くことよりもむずかしいかもしれません。なぜなら、人は自分自身を基準とし、自分と違うものを排除する傾向にあるからです。また「自分が正しい」「自分が一番」「自分の方が優れている」と考えがちだからです。「柔軟性」を持って、自分と違う「他人らしさ」に価値を見いだし、それを許容する力を高めていくことが求められます。

2019年4月12日、東京大学学部入学式が行われ、認定NPO法人 ウィメンズ アクション ネットワークの上野千鶴子理事長が祝辞を述べられました。大変話題になりましたので、知っている人も多いと思います。全文は以下URLを参照ください。

https://www.u-tokyo.ac.jp/ja/about/president/b_message31_03.html

私はこの祝辞からたくさんの気づきを得ました。ネット上では賛否がまきおこり、その賛否に対してさらに賛否が生まれました。さまざまな意見が出ることは大変よいことだと思います。一方、自分の意見と違うことを気にくわないと思い、相手をマウンティングし、一方的に攻撃している人も見受けられ、残念に思いました。また、表面には出てきていませんが、このようなテーマに無関心でいる人も多いと思われます。「他人らしさ」を許容する、つまり他人の意見を理解しようとする姿勢を持っているのであれば、その分、得られる「気づき」や「学び」は多いと言えます。「他人らしさ」を許容することは簡単ではありませんが、「他人らしさ」の許容の先には、大きな「成長」が待っています。

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​では、「他人らしさ」を許容できるようになるにはどうしたらよいでしょうか?

1) 「無意識の偏見」を排除する
「無意識の偏見(Unconscious Bias)」は、普段の何気ない言葉や行動となって現れ、相手にネガティブな影響を与えてしまうことがあります。たとえば無意識に、男性が女性を見下したり軽く扱ったり、マイノリティ(社会的少数者)に対して心ない言葉を投げかけたりすることです。
「無意識な偏見」があると、それを受けた人は、心が傷つき、疎外感を感じ、モチベーションが下がります。また、「人と違う」ということをためらってしまい、その人の持つ多様性が発揮されにくくなってしまいます。また、成長の機会が与えられるなくなることもあるでしょう。
自分自身の中にあるネガティブな「無意識の偏見」を、いかに排除していくかが、「他人らしさ」を許容するために不可欠であり、ひいては「多様性」を高めていくことにつながっていきます。​

では、「無意識の偏見」にはどのようなものがあるでしょうか?代表的なものは以下のとおりです。

・ステレオタイプバイアス:ある特定グループ(人種・性別・年齢・学歴・宗教など)が持つステレオタイプ(先入観・思い込み・固定観念)にもとづいて判断する傾向。

・確証バイアス:自分に都合の良い情報や、自分の主張を後押しする情報ばかりを集め、それ以外を無視する傾向。

・ハロー効果:ある対象を評価するときに、目立ちやすい特徴に引きずられて他の特徴についての評価が歪められる現象のこと。企業での人事評価によるある現象です。一つ際立って良い面があると全体が良く見えるということです。

「無意識の偏見」をなくすために大学時代にすべきことは、

①まず、人は誰でも「無意識の偏見」を持っているということを認識することです。人に「無意識の偏見」があることは認識していても、自分は持っていないと考えている人は意外と多いものです。まずは自分は何かしらの「無意識の偏見」を持っていることを認めることです。
②次に、「自分はどのような人に対してどのような偏見を持っているか」について書き出し、自分自身の「無意識の偏見」の見える化をおこなうことです。
③最後に、物ごとを判断する際に、とっさに判断するのではなく、情報・データ・エビデンス(証拠・根拠)に基づき客観的に判断していくことです。

社会人になると、自らの行動を変え、意思決定から「無意識の偏見」を排除することが求められます。Google社は、「多様性」は組織のパフォーマンスを高める大きな価値を持つと認識し、社員に「多様性」を最大限に発揮してもらうため、社員の意識改革と「無意識の偏見」の排除のための仕組み作りに取り組んでいます。

以下は、Google社の社員向けトレーニングビデオです。

https://www.youtube.com/watch?v=nLjFTHTgEVU

また以下は、Google社の「業績評価」や「面接・採用」の時に、「無意識の偏見」を排除するためのチェックリストです。

https://rework.withgoogle.com/jp/guides/unbiasing-use-structure-and-criteria/steps/introduction/


2)「Comfort Zone」から抜け出す
インターネットやソーシャルメディアの発展・普及により、自分の興味のある情報や自分にとって都合の良い環境だけに囲まれて生活することが可能となりました。逆に言うと、自分と違うこと、面倒くさいこと、厄介なことを避けて生活できるようになりました。つまり「Comfort Zone」の中だけで生活することが可能ということです。生活は快適になる一方、このような環境は「自分らしさ」を磨くことにとっても、「他人らしさ」を許容することにとってもマイナスであると言えます。時には、自分と違う考え方や価値観を持つ相手と正面からぶつかり合うことも必要です。そうしないと自分の本当の姿を知ることもできませんし、他人を理解することもできません。傷つくこともあるかもしれませんが、それを恐れず「Comfort Zone」から一歩踏み出してみてください。自分の知らない世界が待っています。


3)「海外」を知る
「Comfort Zone」から抜け出すことと関連していますが、「海外」を知ることは、「他人らしさ」を許容できるようになるために、大変有益なことと思います。また、「海外」での経験は「一皮むける新しいチャレンジ」であり、「成長」につながっていきます。

【考えてみよう】
「海外」を経験し、「海外」を知ることによって得られることは何でしょうか?

海外経験を通じて得られることはたくさんありますが、整理すると以下のようになると考えます。

①日本の当たり前が海外では当たり前ではないこと、海外の当たり前が日本では当たり前ではないことを認識することができます。たくさんの発見と気づきを得て、視野が広がり、相手の立場に立って物事を考えられるようになります。

②課題にぶつかり、苦労して乗り越える経験が得られます。言葉や文化・風習の違いもあり、海外では苦労することも多いですが、それを乗り越えることによって「成長」できます。

③「現場感覚」を養うことができます。人の「成長」の70%は経験からです。実際に海外(=現場)で、「五感」を使ってさまざまなことを感じることができます。

④「リスクマネジメント力」を高めることができます。事前に危険情報を入手し、リスクを回避し、何か問題が発生したとしても、冷静に対処する力を養えます。

⑤「情報収集力・企画力」を高めることができます。

​逆に、海外から日本を見たときに、自分は日本のことをよく分かっていないと気づくこともあります。「海外」を知る以前に、「日本」について幅広く知る努力が必要になってきます。


4)人脈
同じ価値観を共有し、本当に困ったときに手を差し伸べてくれる親友は大切にすべきだと思います。
一方、「他人らしさ」を許容できるようになるには、自分の生き方・価値観・考え方と正反対の人と、あえて付き合うことをお勧めします。その人たちからは、たくさんの気づきを得て、視野を拡大するきっかけを与えてくれるからです。
自分と違うタイプの人を「おもしろい」と感じるのか、「Comfortableではない」と感じるかによって成長の度合いは大きく変わってきます。あえて自分とは違う人たちのところに飛び込んでみてください。

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「多様性」とは直接関係ありませんが、「人脈」について2点ほど補足します。

一つは、自己の成長を手助けしてくれる「メンター」についてです。社会人になると、所属組織の上司や先輩、人事部が「メンター」として、自身の成長をサポートしてくれます。他組織に知り合いの適任者がいれば、その人に「メンター」をお願いしても良いと思います。一方で、学生時代に「メンター」を見つけるのはなかなか難しいものです。私が主宰する「商社就活オンラインカレッジ」では、 メンタリングをおこなっていますので、ぜひご活用ください。

もう一つは、「知の探索」についてです。商社に入社するとイノベーションを通じた「革新的な価値創造」が求められますが、そのためには「創造力」を養う必要があります。「創造力」を養うには「知の探索」を継続しておこなっていく必要がありますが、「人のネットワーク」が役に立ちます。先に紹介した入山章栄氏の著書『ビジネススクールでは学べない 世界最先端の経営学』によると、ネットワークには「強い結びつきのネットワーク」と「弱い結びつきのネットワーク」の二つありますが、「知の探索」には「弱い結びつきのネットワーク」の方が有効であるとのことです。理由としては、弱い結びつきの方が情報のフローがムダなく効率的ということと、弱いネットワークの方が作りやすいということです。同書によると「弱いつながりを多く持つ人は、創造性を高められる」という実証研究が多くあるようです。インターネットやSNSの普及により、従来に比べ格段にネットワークを作りやすくなっています。あとは意志の問題ですので行動あるのみです。


5)英語

【考えてみよう】
なぜ英語が必要となるのでしょうか?

いずれ通訳や翻訳が自動化し、英語をはじめ語学を学ぶ必要はなくなるかもしれません。ただ、通訳や翻訳の自動化がビジネスの世界で一般的になるには、まだまだ時間がかかると思われます。また、人と人が直接コミュニケーションするスタイルが引き続き好まれると思われます。英語を学ぶ必要性は、一つは、英語はビジネスの世界で「世界共通のコミュニケーションツール」であると言われていることです。語学はツールにすぎず、たいして重要ではないと言う人がいますが、今後ますますボーダレスな世の中になり、ビジネスにおいて「世界最適」を目指していく時代になるので、共通言語としての英語の重要性はますます高まっていくと思われます。商社に就職すれば、海外駐在や海外研修の機会が一度はあると思います。また、今後、職場が多国籍化し外国人の部下を持つことになるかもしれません。英語はコミュニケーションツールとしてだけでなく、相手をより理解し、「他人らしさ」を許容していくためにも必要であると考えます。

英語の習得は時間がかかるものであり、コツコツ努力を続ける必要があるということは、みなさんご理解のとおりです。最近は無料で学べるコンテンツもたくさんありますが、以下のサービスは体系的に学ぶのに優れており、低価格ですので継続的に学ぶことができます。

Bizmates(オンラインビジネス英会話) https://www.bizmates.jp
Fruitful English(オンライン英作文) https://www.fruitfulenglish.com

英語を学ぶ二つ目、三つ目の理由は、直接「多様性」とは関係ありませんが、「成長」という視点から重要なものと言えるでしょう。

​二つ目の理由は、英語を通じた「学び」のためです。

最近は、インターネットにおいて無料で学べるコンテンツが豊富に用意されています。たとえば、MOOC(Massive Open Online Course:インターネット上で誰もが無料で受講できる開かれた講義)であるCourseraや、”Ideas worth spreading”というコンセプトのもと、各分野のエキスパートがプレゼンテーションするTED Talksなどです。

Coursera: https://ja.coursera.org
TED Talks: https://www.ted.com

これらのコンテンツは、そもそも英語を学ぶのにも有益ですが、新しいアイデアを得たり、視野を広げたり、新しいテクノロジーやビジネスの動向などの情報を得たりするのにも有益です。テクノロジーやAIなどの最新コンテンツは英語のものが多いです。その後、日本語に翻訳されるものも出てきますが、翻訳には時間がかかります。その間に時代は変わっていきます。必要な学びをタイムリーにおこなうためにも「英語力」が必要になってきます。

​三つ目の理由は、商社に入社後、よりよい「成長機会」を得るためです。
英語もEXCELも商社パーソンにとってマストスキルですが、入社前にマスターしている人と、そうでない人とではスタート地点が違ってきます。一般論ですが、マスターしている人は、上司からすると頼もしく見え、より重要な仕事を任せてもらえるようになります。また、英語やEXCELの学習に時間が取られないので業務に関連する別のことを学ぶ時間が生まれます。一方、マスターしていない人には、なかなか重要な仕事を任せられません。しかも英語やEXCELの学習に時間が取られ、新しいことを学ぶ時間が取れないことにもつながります。もちろん個人差の大きいテーマですが、入社時の英語やEXCELスキルの差が、その後の「成長」において大きな差となって現れる可能性があることは認識する必要があります。

実際に英語については、内容・レベルは異なりますが、各社とも資格試験を用意しています。その資格を取得しないと海外駐在や海外研修に出られない仕組みになっていますが、その資格が取得できずに何年も苦しんでいる人を随分見てきました。

「信頼」のところの話と重複しますが、日本の職場はまだまだ「多様性が当たり前」という土壌が育っておらず、また、日本人の多くは「多様性」を許容できるとも限りません。ですから周囲に「人と違う考え方」や「人と違う行動」を尊重してもらい、受け入れてもらうには、周囲との「信頼」関係が欠かせません。「自分らしさ」を磨き、「他人らしさ」を許容する努力に加え、周囲から「信頼」されるよう努力することも求められることに留意しましょう。


【まとめ】
・組織においてざまざまなタイプの人材が混在する「特性の多様性」が必要となってきている。
・また、「個人の多様性」も必要となってきている。
・「多様性」を磨くためには、「自分らしさ」を磨き、「他人らしさ」を許容することが必要。
・「自分らしさ」を発揮していくためには、周囲と「信頼」で結ばれていることが必要となる。
​【参考文献】
・入山章栄(2015年)『ビジネススクールでは学べない 世界最先端の経営学』日経BPマーケティング.
・クリスティーン・ポラス(2019年)『Think CIVILITY 「礼儀正しさ」こそ最強の生存戦略である』夏目大訳 東洋経済新聞社.


当方が考える『次世代商社における求める人材像』

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次回は、【商社就活】#11 商社内定に向け学生時代に習得すべきこと(3) −信頼 です。お楽しみに!


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