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【商社就活】#3 「次世代商社」における求める人材像(総論)

↓↓↓ 前回note ↓↓↓

現在、商社は変革期を迎えており、業態を変革させようとしています。今回は「次世代商社」における求める人材像についてお話します。

【この記事で説明すること】
・「次世代商社」における「求められる人材像」と3つの人材要件
・大学時代に身につけるべきことについて


商社ビジネス

商社ビジネスは「トレーディング」からスタートし、その後「事業投資」「事業経営」に軸足を移し、現在はビジネスの「DX化」「イノベーション」による革新的な価値創造も求められるようになりました。
商社にとって、「トレーディング」と「事業投資・事業経営」は車の両輪として、その重要性は変わりありませんが、これに「DX化」や「イノベーション」を通じた既存ビジネスの磨きや、新規ビジネスの創出が加わったと理解して下さい。
今後の商社ビジネスを、「トレーディング」 +「事業投資・事業経営」+「DX化・イノベーション」と整理し、これを「次世代商社」と呼ぶとすると、「次世代商社」における「求められる人材像」も当然のことながら進化していきます。


【考えてみよう】
「次世代商社」において、どのようなマインド・知識・スキル・資質を持った人材が求められるでしょうか?


「仕事」とは「世の中の課題を解決すること」と定義します。

 では、「次世代商社」における「仕事」とは何でしょうか?
それは、
「新しいアイデアを生み出し、いつでも、どこでも、だれとでも、周囲を巻き込んで課題を解決すること」
であると考えます。
(当然のことながら、商社は営利企業ですので、「収益」が伴わなければなりません。)

 つまり、「次世代商社」における「求められる人材像」を一言で表すと
「イノベーティブ・グローバル・リーダー」
となります。

「次世代商社」の3つの人材要件は、「イノベーティブ」「グローバル」「リーダー」であると考えます。
商社にはさまざまな部署や職種があります。営業部署もあれば、コーポレート部署(職能部署)もあります。トレードビジネスもあれば、リテールビジネスや資源ビジネスもあります。人それぞれ貢献の仕方は異なりますが、最終的に果たすべき役割は「新しいアイデアを生み出し、いつでも、どこでも、だれとでも、周囲を巻き込んで課題を解決すること」であることにかわりはなく、全員が「イノベーティブ・グローバル・リーダー」を目指すことになると考えます。

では、将来「次世代商社」において「イノベーティブ・グローバル・リーダー」として活躍していくために、大学時代をどのように過ごし、何を学ぶべきでしょうか?その概要についてお話していきます。


【考えてみよう】
「次世代商社」において、「イノベーティブ・グローバル・リーダー」として活躍するために、大学時代に何を学べば良いと思いますか?


「成長力」を磨く
一つは、「成長力」を磨くということです。「成長力」とは以下を理解し実践する力のことを言います。

【成長力】
・「Growth Mindset」と「Fixed Mindset」の違いを理解すること。また、「Growth Mindset」を備え、そのMindsetに基づき行動すること。

・「成長」にもっとも重要である「経験(=実際にやってみること)」から多くの学びを得ること。ただし、「経験」だけから学ぶのではなく、他者のアドバイス・フィードバック・サポートを通じて気づきや学びを得、研修・セミナー・読書を通じ体系立った知識・スキルを獲得すること。

・「目標→経験→振り返り→学び」という「成長サイクル」を効果的に回せること。目標についてはComfort Zoneを飛び出し、Learning Zoneの目標を設定すること。一度決めたことはGRITする(=最後までやり抜く)こと。

・「成長サイクル」を効果的に回すサポートをしてくれる「メンター」がいるのが望ましい。

大学時代にこのような「成長力」を磨き、「成長カーブ」を最大限に加速させ、実際に「成長」を遂げた人は、商社に入り新しい環境に身を置くことになっても「成長」し続けることが可能であると考えます。


もう一つは、「イノベーティブ」「 グローバル」「リーダー」のそれぞれを、大学時代に習得すべき知識・スキル・資質レベルにブレイクダウンし、それらを大学時代に磨き習得するということです(それらを「土台」と呼びます)

【考えてみよう】
「イノベーティブ」「グローバル」「リーダー」の「土台」はそれぞれ何だと思いますか?



「創造力」「多様性」「信頼」を磨く

さまざまな意見が出てきたと思いますが、次世代商社における人材要件と、大学時代に身につけるべき「土台」について以下のとおり整理しました。

次世代商社における要件

​つまり大学時代に身につけるべきことは「成長力」に加え、「創造力」「多様性」「信頼」であると考えます。

次回以降の記事で、まず「イノベーティブ」「グローバル」「リーダー」の詳しい内容を順番に説明し、その後「創造力」「多様性」「信頼」について説明していきます。詳細はぜひそちらをお読み下さい。

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「ゼネラリスト」と「スペシャリスト」

この記事の最後になりますが、よく「ゼネラリスト」「スペシャリスト」という人材カテゴリーを耳にすると思いますので、私の考えをお伝えします。

簡単に定義すると、「ゼネラリスト」は幅広い知識・スキルを持ち、何でもこなせる人材、「スペシャリスト」は、ある特定の分野(業界、地域、専門領域など)において高い専門知識・スキルを有している人材と言えます。
これらは、「終身雇用(*)」を前提とし、変化のスピードが緩やかな時代に機能する人材カテゴリーだと考えます。「終身雇用」が将来に亘り保証される時代ではもはやなくなり、テクノロジーの進化、グローバル化の進展といった世の中が劇的に変化している現在や未来においては、新しい人材カテゴリーが求められます。

(*)終身雇用:トヨタ自動車の豊田章男社長は、2019年5月、「終身雇用の維持は難しい」と発言しており、終身雇用や年功序列を基本とした日本型雇用は、将来的に見直される予定である。また、日本経済団体連合会(経団連)の中西会長も同じく2019年5月に同様の発言をしている。なお、商社については、現時点で「終身雇用」を見直すという発言は聞いていない。


「ゼネラリスト」は、自身が従事している業界に関する幅広い知識・スキル・人脈を有し、また、社内ルール・プロセスに精通しており、社内人脈も豊富にあるので、「何でも屋」として重宝されてきました。ただし、テクノロジーの進化等によって、今保有している知識・スキル・人脈の価値は下がる傾向にあり、また、それらは会社や当該業界の外では通用しないため、汎用性に欠けるという課題があります。

「スペシャリスト」は、ある特定の分野(業界、地域、専門領域など)において、長期間にわたり経験を積むことによって、専門知識・スキルを習得してきました。ただし、現在や将来において、必ずしもその専門知識・スキルに価値があるとは限らず、また常にアップグレードしていかないと専門知識・スキルが陳腐化していきます。

この二つのカテゴリーの組み合わせたものとして、「T型人材」「Π型人材」があります。ヨコ棒が幅広い領域に対する理解、タテ棒がある特定分野における専門性を表していますが、「T型人材」は、一つの特定分野の専門性を有しつつ、それ以外についても幅広い知識・スキル・知見を持っている人材、「Π型人材」は、タテ棒の専門性は2つ(または2つ以上)持っている人材となります。

ここから私の考えを記します。
今後、「その時代において価値を生み出すことのできる高度な専門知識・スキル」というのが人材カテゴリーを考える際のキーワードになると考えます。「テクノロジーの進化」や「グローバル化の進展」により、世の中が急激なスピードで変化している現在・未来において、以下の2つのいずれかの人材にならないと生き残れないと考えています。

「高度スペシャリスト」:「その時代において価値を生み出すことのできる高度な専門知識・スキル」によって世の中の課題を解決する人材。時代が必要とする専門知識・スキルが変化すれば、それに応じて常に専門知識・スキルをアップグレードしていく。

「イノベーティブ・グローバル・リーダー」:新しいアイデアを生み出し、いつでも、どこでも、だれとでも、周囲を巻き込んで課題を解決する人材。「高度スペシャリスト」と協業し、対等なコミュニケーションを通じて「高度スペシャリスト」の持つ高度な専門知識・スキルを活用する人材。

つまり、従来の「ゼネラリスト」や「スペシャリスト」は淘汰され、「ゼネラリスト」は「イノベーティブ・グローバル・リーダー」に、「スペシャリスト」は「高度スペシャリスト」に進化していくことが求められていると考えます。
商社が求める人材は、まさに「イノベーティブ・グローバル・リーダー」です(商社は「高度スペシャリスト」を求めている訳ではありませんので、データサイエンティストやデータアナリスト、プログラマー、エンジニア等の高度な専門知識・スキルを身につける必要はないと考えます)。

「高度スペシャリスト」を目指していきたいという学生は、就職先として商社は必ずしも適していませんが、自分の興味のある分野や時代が求めている分野を「高度」に極めていくことは、将来の仕事の確保という観点で大変意味のあることだと思います。


【まとめ】
・「次世代商社」において求められる人材像は「イノベーティブ・グローバル・リーダー」であり、3つの人材要件は「イノベーティブ」「グローバル」「リーダー」である。
・将来「イノベーティブ・グローバル・リーダー」として活躍するために、大学時代に獲得すべき知識・スキル・資質は、「成長力」に加え、「創造力」「多様性」「信頼」である。


次回は、【商社就活】#4 次世代商社の人材要件(1) イノベーティブ です。お楽しみに!


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