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【就活】#3-2 あなたはどっちのマインドセット?

「マインドセット」の続きです。

↓↓↓ 前回note ↓↓↓

前回は、「マインドセット」には、「Growth Mindset」と「Fixed Mindset」の2つあり、「Growth Mindset」の方が、「成長」につながるという話をしました。


私の人事部での最初の仕事は新卒採用でした。その時の話をします。

内定者の中には、面接官全員から高い評価を受け、将来を大きく期待された人がいます。一方で、面接官の評価は割れ、ボーダーラインに位置づけられ、欠員補充的に繰り上げ合格となった人もいます。

では入社後、高い評価を受けた人はより活躍し、ギリギリ合格した人の活躍は小さいのでしょうか?

答えはNOです。

入社後、活躍するかどうかは、面接の評価と相関関係はありません。


では何が影響しているかというと、やはり「Growth Mindset」を持っているかどうかです。

「Fixed Mindset」の人でも、もともとの能力が高ければ、ある程度の時期・レベルまでは何とかなります。しかし、途中で伸び悩み、成長はいずれどこかの段階でストップしてしまいます。

一方、入社時にパッとしていなくても「Growth Mindset」の人は、仮に成長のスピードが遅かったとしても、着実に成長し続け、時代の変化にも見事に対応していきます。
このような事例を何人も見てきました。

これは私の体験談ですが、どこの業界・会社にも当てはまる話ではないでしょうか?

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私はニューヨーク駐在中に、キャロル・S・ドゥエックの『mindset : the new psychology of success』(前回紹介した本のオリジナル版)に出合い、「マインドセット」について知り、感銘を受けました。
この本に出会い、それまで漠然としていたことが、クリアになりました。

この「マインドセット」を、自分自身の「成長」に照らしてみると、合点のいくことが多いことに気づきました。

就活にあたって、みなさんのこれまでの人生のステージにおいて、どちらの「マインドセット」であったか、また、その時の「成長」の度合いはどうであったか、振り返ってみてはいかがでしょうか?

【考えてみよう】
自分自身の人生のステージを振り返り、自分が「Growth Mindset」だったか「Fixed Mindset」だったか、また、その時の「成長」はどうだったか、根拠とともに整理してみてください。


参考までに、私について共有します。

小学時代:Growth Mindset

小学校の時は、たいして勉強しなくても成績は良く、運動神経も抜群でした(自分で言うのは恥ずかしいですが)。学校の成績はほぼオール5でした。リーダーシップもあり、クラスの学級委員長や少年野球チームのキャプテンを自らすすんでおこない、常にグループの中心にいました。私は、興味を持ったことに没頭するタイプの子供でした。たとえば、公文に通っていましたが、人よりも先のレベルに進むことをいつも目指していましたし、TVの旅行番組を見て海外に興味を持ち、すべての国名と首都名を覚えました。できなかったことができるようになることや、知らなかったことを知ることに喜びを感じていました。


中学時代:Fixed Mindset

地元の公立中学校に進学しましたが、勉強の成績は引き続き優秀で、常に学年で5番以内でした。一方で、部活動は小学生の時に始めた野球部に入部しましたが、野球では今振り返ると完全に「Fixed Mindset」でした。本来楽しいはずの試合は、雨で中止になることを願ってましたし、試合では「ボールが飛んで来ないでくれ」「打席が回って来ないでくれ」とネガティブに考えていました。部活を途中で辞めることもできましたが、途中で辞めてしまうと「自分がダメな人間」であるように思えてしまい、結局嫌々ながら最後まで続けました。早く3年生の夏になって引退したいと思い、引退の日を指折り数えていました。野球部の監督が、かなり厳しい人だったという要因も大きかったと思いますが、得意であった野球で「ミスしたくない」「下手だと思われたくない」という気持ちが強かったのだと、今振り返ると思います。


高校時代:Fixed Mindset

高校は、地元で一番の公立高校に進学しました。今度は勉強で挫折しました。1年生の1学期は、中学時代からの蓄積がありそれなりの成績でしたが、それ以降成績は下降するばかりでした。それを認めたくないがために、授業をさぼり、「授業に出席しなかったから成績が悪くなった」と言い訳をするようになってしまいました。気づいたら成績は下から数えた方が早いぐらいにまで下がり、結局、現役の時は1校も大学に合格することができませんでした。


浪人時代:Growth Mindset

浪人時代にやっと目が覚めました。中学校の野球での挫折や大学受験の失敗を通じて、能力は生まれつき与えられたものではなく、継続して努力しないと成長はできないということを初めて認識しました。そこから自分の行動が変わりました。浪人時代は、現役で合格した同級生のことを気にすることもなく、自分の弱い分野を素直に認め、その課題を克服すべく毎日10時間以上勉強を続けました。その結果、直前の全国模試の順位は一桁にまで上り、1年間の浪人ののちすべての志望校に合格することができました。


大学時代:Growth Mindset

大学では、中学時代のトラウマもあり体育会には所属せず、また、サークルの華やかな雰囲気にも馴染めませんでした。再び「Fixed Mindset」に引き戻されそうになりましたが、沢木耕太郎のユーラシア大陸放浪記『深夜特急』を読み、自由気ままな旅にあこがれ、バックパッカーとして、アジアやヨーロッパを旅するようになりました。言葉や文化・風習の違いにより、楽しいことより苦労することの方が多かったです。また、当時はインターネットが普及していませんでしたので、情報源は『地球の歩き方』以外はほとんどありませんでした。詐欺まがいにあったこともありました。それでも、一つ一つ困難を乗り越え、心も体も解放されていく感覚は快く、かつてないものでした。慣れ親しんだ日常を飛び出し、たくさんのことを学ぶことができました。

勉強については、計量経済学のゼミに所属し、「電気自動車の普及に伴う経済効果とCO2排出量削減」に関する卒論を書きました。当時、電気自動車は技術的には実用化されていましたが、まだまだ製造コストは高く、普及へは長い道のりでした。環境に優しいと言われている電気自動車が普及するには何が必要か、定量的に分析したいというのが動機でした。指導教授から多くのことを学びましたし、卒論を書き上げるプロセスでさまざまなことを学びました。具体的には、仮説を立て検証する力、情報・データを収集・分析・解釈する力、自分の考えを論理的に構築していく力、人にわかりやすく伝える力などです。自動車メーカーに話を聞きにいくなど、主体的に動いていたことを覚えています。


商社時代:基本的にGrowth Mindset(時々Fixed Mindset)

私は商社に入社後、人事部に配属となりました。「人材が資産」である商社において、人事部の果たす役割は極めて大きく、経営の一翼を担うという気概を持って、仕事にも勉強にも全力投球してきました。基本的に「Growth Mindset」でしたが、何度か「Fixed Mindset」に陥りました。

若いころは、「血気盛ん」でとにかくよく仕事をしていました。そのためか、自分の考えに固執するところがあり、頑固な一面がありました。
意見が分かれた時は、常に「自分は正しい」「相手が間違っている」と思ってしまい、相手の意見を受け入れる柔軟性や懐の深さを持ちあわせていませんでした。
また、日本で初めてマネージャーとして部下を持った時と、ニューヨークで現地スタッフの部下を持った時にも「Fixed Mindset」に陥ってしまいました。部下の中には、1つのことを言って10できる人と、10のことを言っても7しかできない人がいます。そうすると、どうしても前者に仕事を任せ、前者により多くの成長機会を与える傾向となってしまいました。それは後者を「Fixed Mindset」的な見方で見てしまったからだと思います。

今となっては「マインドセット」が「成長」に大きな影響を与えることを学びましたので、「Growth Mindset」となるよう意識しています。


起業後:Growth Mindset

2019年9月に(株)ザ・ビヨンドを設立し、「自分の人生に真剣に向き合っている大学生の成長支援を通じて、世の中の課題を解決できる人材を創る」をミッションに掲げ、毎日モチベーション高く働いています。

商社時代とは異なり、起業し自分で会社を経営するとなると、すべてのことを理解・把握する必要があります。毎日が勉強です。また、自分の事業に対して、商社パーソン・大学関係者・学生のみなさんからポジティブ・ネガティブにかかわらずたくさんのフィードバックを受けたいと考えています。自分自身、生涯「成長」を続けていきたいと願っています。


このように「マインドセット」は、固定されたものではなく、変化するものです。
みなさんは、「Growth Mindset」が成長につながることを知りました。ぜひ、「Growth Mindset」を持ち続け、大きく成長していくことを期待しています。


逆に「Fixed Mindset」を持つ社会人はどうなってしまうのでしょうか?

❶ 成長カーブの鈍化

一つ目は、繰り返しになりますが、「成長カーブの鈍化・ストップ」が見られるようになります。「Fixed Mindset」の人は、自分の能力を誇示し、自分が優秀であることを周囲に示そうとします。能力の高い人は、ある程度までは活躍でき、ある程度のポジションまでは就けると思われます。しかし、社会人になると学ばないといけないことがたくさんありますので、どこかで伸び悩み、成長のカーブは頭打ちとなり、同期との差がドンドン開いていきます。「Fixed Mindset」の人に、成長を期待し研修を勧めても、「自分はできるから受ける必要はない」「別の人に研修の機会を与えてほしい」と言って、せっかくの成長機会を辞退してしまいます。その結果、知識・スキルのアップグレードはなされず、それらはどんどん陳腐化し使いものにならなくなってしまいます。

❷ 部下や周囲への悪影響

二つ目は、部下や周囲に悪影響を与えるということです。「Fixed Mindset」の人でも、もともとの能力が高ければ、課長ぐらいまでは昇格できると思われます。でも「Fixed Mindset」の人が課長になってしまうと、部下は悲惨な思いをします。というのも課長の重要な役割の一つに部下の成長支援がありますが、人の「能力」や「人間的資質」は変えることができないと信じているため、部下の成長に無関心となってしまうためです。


❸ 不正につながる恐れ

三つ目は、不正を誘発することにつながりかねないということです。「Fixed Mindset」の人は、自分の優秀さを誇示しようとしますので、自分が犯したミスや失敗を認めたくないという思いが人一倍強いはずです。ミスや失敗を犯した時に、それを隠したりウソをついたりする可能性があり、それが不正につながる恐れがあります。コンプライアンスが声高に叫ばれている昨今、「Fixed Mindset」の人は、成長力が低いということにとどまらず、会社としてコンプライアンス違反のリスクを抱えることになります。一方、「Growth Mindset」の人は、ミスや失敗を素直に認め、まずは被害を最小限にしようと試みます。また、次に同じようなミスや失敗をしないためにどうすれば良いかを考えるのです。


では、「Growth Mindset」になるためには、何をしたらよいでしょうか?

❶「Growth Mindset」について知る
まず一番大事なのが、「Growth Mindset」と「Fixed Mindset」の違いについて深く理解し、「Growth Mindset」が「成長」につながるという事実を認識することです。

 ❷ 自分がどちらのマインドセットかを知る
次に、自分が現在「Growth Mindset」なのか「Fixed Mindset」なのかを客観的に正しく認識することです。他人の意見を聞いてみるのも良いと思います。

❸ Growth Mindsetを持ち、行動に移す
最後に、プライドが傷ついたり、しんどい思いをすることを恐れないということです。新しいことにチャンレンジしたり、失敗したり、他人からネガティブなフィードバックを受けるのは結構しんどいものです。でも「成長」するためには、そこから逃げてはいけません。


会社ではよく、「謙虚さ」と「高いプライド」を対義語として使うことがありますが、「謙虚さ」とは「Growth Mindset」をあらわし、「高いプライド」は「Fixed Mindset」をあらわしているものと思います。


まとめです。

【まとめ】
・「Growth Mindset」と「Fixed Mindset」の違いを理解し、「Growth Mindset」が「成長」を促すと心得る。

・自分がどちらの「マインドセット」なのか客観的に理解する。

・プライドが傷ついたり、しんどい思いをすることを恐れない。すべては「成長」につながると考える。

YouTube【成長を楽しもうCH】でも、このテーマについて配信していますので、そちらもご覧ください。


次回は、【就活】#4 「70:20:10 の法則」って本当? です。お楽しみに!


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