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いまなに考えてる? ①

2021年に劇団速度は5周年を迎え、3月にはいままでの作品の再演やディスカッションをするレジデンスを行いました。
現在の視点から振り返ったことで、よりクリアになってきた速度の「これまで」と、そこから浮かび上がってきた「これから」の速度。
レジデンスを終えて、速度メンバーがいまどのように考えているのか。喫茶店に集まり、できるだけ言葉を尽くして語ります。

前回までは、今後の活動方針に見合う新しい名前、ということで改名について話題にしてきました。今回は、レジデンスを経て3人がそれぞれ何を考えているか、ということを改めて聞いてみたいと思います。

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野村:まずは、そうですね、何か変化とかありましたか?レジデンス中はさ、結構がむしゃらだったじゃない(笑)

武内:そうだね(笑)なんか、問題意識が生まれた。新しく。わたしの最近の、個人的な作品での興味っていうのが、陶芸の粘土っていう素材を使ってものを作ったり、その粘土を扱ってひとと関わる場所、舞台美術だったりワークショップだったりっていうことにあるんだけど、それと並行して劇団速度の作品に関わってきた中で、やっぱりものともの、ひととひとが向き合う、向き合ってしまってお互いに断絶してるような状況っていうのが、美術や演劇、演劇で言えば客席にお金を払って、観客が何時間か座って舞台上で起こってることを見なきゃいけないっていうことに、本当にそれでいいのかって。向き合っちゃうことの弊害みたいなものがあるんじゃないかなと思って。私が理想とするのは、例えばそこにモノがあったら、そのモノはどういう風に時間を過ごしているんだろうっていうことを想像することだったりする。もしかしたら向き合ってるのと変わらないかもしれないけど、そこにあるものが自分だったらどういう風に見えるかっていうのを、ちょっと乗り移って想像できるような構造だったらすごくいいなと思う。そういうことについて考えることができた。

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瀬戸:KIACで振り返って見て、これまで速度でしてきた出演は一貫して「俳優だけど俳優じゃない」あり方をずっと探してたなと思って。滞在の成果発表的にやったオープンスタジオでは自分の作品(『コンベックスの男 城崎バージョン』)を上演したけど、そこに至るまでの系譜が、振り返りによってクリアになって。多分、ももちゃんが言ってることと俳優的には同じこと言ってると思うんやけど、出演して上演を進行する側と、それを見る側の役割がはっきりし過ぎていると断絶してる感じが強くて、あまりフェアじゃないように感じてて。なんか俳優を特別な人間として扱いすぎているように思うというか。上演をみる側とその上演に出演して、みられる側で、もちろん特殊な状態ではあるんやろうけど、普通の人間であるっていうことを、出演者もお客さんも認識できるようなことになれば、行き来・・お客さんの方から行き来できるっていうか入ってくることができるんじゃないかなっていう気がずっとしてたんやけど、その答えはずっと出ずにいてて。でも、KIACで振り返ったことで、ものがあるっていうことが重要なことだなって思った。俳優がずっと何かして、それを見るだけじゃなくて、それに対してじっとそこにいるような物があることによって、少し俳優の状態が緩和される感じがする。出演者と観客が同じ地平の人間である感覚。親近感みたいなものが生まれるのかな。ひとともののプレゼンスっていう話が振り返りで出て、3人のなかでそれぞれ差はあるけどものの方が比重が大きかったよね。それが共通して関わってくるところなのかなと思った。あと床もそう。速度で作品作ってて、いつも気付いたら重要になってる。地平としておんなじだってことを示すために床の状態があって、そこにアクセスしてる。

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野村:床ね。これは改めてトピックにしてもいいかも。

瀬戸:そうだね。

武内:あと、結構これ大事だよね、ひととものの環時間(ユクスキュルの環世界から)。わたしは今これがテーマなんだよね。お互いの感じている時間は違うし、だけどそれはもうずっと流れていく。

瀬戸:そうだっていうことを認め合えるっていうか。

野村:大事だね。ひととものの環時間って、ひとの環時間と、ものの環時間と、それから「ひとともの」の環時間があるよね。そのバランスでこれまでの活動とか作品を測り直せるんじゃないかなと思う。

武内:うん、それって実はかなり大事だよね。

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武内:一個のものを10人で見て、10人がおんなじことを思える作品ってさ、良くない同化っていうか。それにはあんまり興味持てないっていうか。面白かったとかクソつまんなかったとか、そういうの抜きにして全員が違うことをパラパラ考えてるぼんやりした作品っていうのが作りたいなと思う。全然そういう作品があって良いけど、わたしたちが作るのはそうじゃなくて良いなと思う。

野村:イリュージョンっていうよりは、自分自身に跳ね返ってくるような、なんていうか、ことだよね。

瀬戸:一回通って帰ってくるみたいな感じというか。そういう作品って良いよなって思う。

野村:それでいうとさ、去年やった『わたしが観客であるとき』とか、『景観と〜』とかについて振り返ってた時に、そういうところに焦点があったんだなってあらためて思った。

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野村:あと面白かったのが、なんかその、再演をさ、4作品ぐらい取り上げてやったじゃん。

瀬戸・武内:うん

野村:あ、てかさ、この辺からKIACで撮った写真見ながら話してみる?その方が多分色々思い出せるよね。

瀬戸:それがいいかも。

武内:全体も思い出しつつね。

野村:オッケー、そうしよう。


(つづく)


☆☆☆今回の喫茶店☆☆☆

今回の喫茶店は お食事処たかの です!!

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左京区上高野にあるこちらのお店、歴史を感じさせる佇まいが最高です。

大原への入り口にあるためか、大通りから外れる道に面しながらも繁盛していて、値上げの波にも飲み込まれずにご夫婦で切り盛りされています。

メニュー見てください。

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やばくないですか?コーヒー250円、大瓶500円です。それだけでも驚きなのに、また定食が安い。しかもボリューミー。そして、めちゃくちゃ美味いんです!!!酢豚定食がおすすめです。それから焼豚ですね。定食にもちょこっと入ってますが、単品でも頼めます。焼豚と大瓶で900円。せんべろ的な使い方も◎

さらに、なんとご近所さんであれば配達もしてくれます。これはもう引っ越すしかないです・・・!

内装もまた落ち着く作りしてるんですよね。いまだにピンクのダイヤル式電話が置いてあったような(なかったかも・・・笑)

朝はコーヒー、昼は定食、夜はつまんで軽く飲む。懐の深いお店です。

かと思えばダーツじゃなく3本の爪楊枝がターゲットに刺さってる、ほど良いズレ感。

今回は、そんな大好きなたかのでした。

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劇団速度

2016年より京都を拠点に活動を開始。舞台芸術や美術に携わるアーティストにより結成。舞台作品だけでなく、インスタレーションパフォーマンスやゲストハウスでの上演型展示、映像作品など、演劇的な制度を利用しつつ様々なメディアで作品を発表している。

webサイト https://theatre-sokudo.jimdofree.com
twitter @TheatreSOKUDO 
instagram  @sokudo_n_s_t

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