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日本のアート界はまだまだ大きく成長できる!【THE ART代表・岩崎にインタビュー】

こんにちは、株式会社THE ARTです。

今回から2回にわたり、弊社代表の岩崎についてご紹介していきます。金融機関に勤めていた岩崎がなぜ現代アートを扱う仕事を始めたのか、どんな思いで起業し、何を目指しているか、インタビューの様子をお届けします。

幼心に感じた日本と世界のギャップ

子供

―岩崎さんが初めてアートに興味を持ったのはいつごろですか?

もともと、アート好きな両親のもとで育ったので、幼いころから生活の中でアートに触れる機会がありました。家族で海外に行けば現地のギャラリーを巡りましたし、日本でもよく美術館に行きました。

幼いながらも、作品を鑑賞することで、「なぜこの人はこの作品を描いたのだろう」と考えることが好きでした。

―子供のころからアートに対する感度が高かったのですね。そうなると、自分自身で作品を作りたいと思うようになるのではないかと感じるのですが、いかがですか?

たしかに学生のころは描くことや作ることが好きで、授業で制作した作品がコンテストで選ばれることもありました。しかし昔からアートの世界を知っているからこそ、そこで生きていく厳しさを多少なりとも分かっていました。

また、アート以外にビジネスにも興味がありました。実家で両親がビジネスをしていたこともあり、たくさんの人が家に来る家庭環境だったのですが、そこで仕事に関する様々な話を聞いていた影響もあると思います。

たくさんの仕事について知る中で、当時いわば花形と言われていた金融の世界に飛び込みました。

―社会人になってからは、アートに触れていましたか?

実は、日本のビジネスの中でアートの話をしてもあまり意味がないという思いがあったんです。 というのも、当時は会話の中で海外の展覧会や作品の話をしても、全く理解されませんでした。ここで、ビジネスではアートは切り離すものだと思いました。

しかし、個人的にはアートに触れることをやめませんでした。有給休暇を駆使して海外の展覧会やアートフェアに足を運び、多くの作品と出会いました。

―グローバルな金融機関にお勤めだったということで、お仕事も大変だったと思いますが、両立ができていたんですね。

そこは、かなり大変なところもありました。スケジュールによっては繁忙期と重なることもあります。休暇申請を事前に出し、前倒しで仕事を終わらせて、まとまった休みをとっても周りに迷惑をかけない準備を整えて行っていました。

もし、一度でも迷惑をかけてしまうと「これからはこの時期に休みを取らないように」と言われてしまうかもしれません。しかし国際展やアートフェアに行けなければ、もう二度と出会えない展示もあります。

だからこそ徹夜をしてでも事前に働いて、参加し続けていました。作品を見ている時間よりも、飛行機に乗っている時間の方が長いということもありました(笑)

クリエイターは一流、アートを取り巻く国の状況は二流

アー

―相当な気合と根性ですね!そうやって参加されていた展示会やアートフェアで、どんなことを感じましたか?

日本と世界の、アート事情の違いを痛感しました。アメリカやヨーロッパの会場でも、アジア人の参加者はいました。しかしそのほとんどが韓国人や中国人で、日本人の姿はほぼありません。

また、現地の方はあらゆる層が訪れていました。若いカップルがデートで来ていることもありましたが、そうした光景は日本では珍しいですよね。

―日本には、優れたアーティストが少ないのでしょうか?

それが、決してそんなことはないのです。世界的にも日本人の作品は評価されていて、ジャンルによってはトップクラスの日本人クリエイターもいます。ただ、そうした方の作品が日本では評価が追いついていないのも現状です。

最も大きな要因は、日本が国としてアートに積極的でないことです。投資がなされておらず、クリエイターが生み出す作品が正しく評価されていません。実際に、海外の方に「なぜ日本人の作品はこんなに安いのか」と聞かれたこともあります。国内外の、同じ実力のクリエイターの作品を比べると、桁が一つ違うことも珍しくありません。

―日本と海外で、そこまで大きな違いがあるのは驚きですね。

展示会やアートフェアに通うようになってから、私は多くのレポートを読むようになりました。海外の機関が出しているレポートを読んでいくと、日本はアート後進国だという確信が強まりました。

例えば同じアジアの国と比べても、香港やシンガポールと状況は大きく異なります。それらの国でもっとも売買されている作品は数千万円クラスのものですが、日本で一番取引されるのは、百万円以下の作品です。日本にもお金に余裕ある方は多数いますが、アートに使われることが非常に稀です。

―せっかく素晴らしいクリエイターがいても、評価されないのでは活動の継続が難しいですよね。

実際に、多くのクリエイターが海外に流れています。例えばフランスはアート先進国ですが、日本の作家がフランスの国費で呼ばれ、作品作りや発表の場を設けてもらい、フランスの作家のように紹介されている例は多々あります。

フランスはそうやって優秀なクリエイターを集めて、作品を扱うことで、良い循環を生み出しています。クリエイター自身もフランスにいれば非常にリスペクトされている実感が持てるので、お互いにとってWin-Winの関係です。

日本のアートと物づくりの環境が似ていることに気づき、大学院へ

アート

―金融機関に勤めながらそうした実態を知った岩崎さんは、どのようにTHE ARTを立ち上げたのでしょうか?

ある時、機関投資家と企業のマッチングに関する業務の、立ち上げメンバーに選ばれました。初めは5人のチームでしたが、最終的には90人ほどの規模になり、そこで新しく物事を作り上げる楽しさ、今までになかったものを作って社会に還元されていく面白さを体感しました。

また、多くの企業と関わるなかで、日本には「世界に誇れる技術があるにもかかわらず、上手くビジネスに活用できていない」という企業が多いことを知りました。顧客視点でビジネスに技術を活用していくマインドやマーケティングを軽視せずに行うことで、もっと成功すると思ったことは一度や二度ではありません。

これは、日本におけるアートの現状と似ています。

―日本にも、素晴らしい作品を作るクリエイターがいるのに、それがうまく評価されていないということですね。

はい、せっかく魅力的な作品を作っても、それがなかなか多くの人に伝わっていきません。こういった現状を打ち破るため、まずはインプットが必要だと思い、大学院に行って物づくりの経営学を学びました。

そこで印象的だったのが、「ビジネスには軸を持つことが大切」ということです。自社をブランド化し、顧客についてきてもらわなければ、大きな成功は難しいと思いました。これに気づいた私は、企業のブランド化にアートが役立つのではないかと考え、まずは自分が勤めている金融機関でビジネスの中にアートを取り入れようと決意しました。

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前編では、岩崎がアートに興味を持ったきっかけや、日本と海外のアート事情についてご紹介しました。後編では、なぜ岩崎がTHE ARTを立ち上げたのか、どんなことを目指しているのかをご紹介します。

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