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tari textile BOOK 後編

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丹波布専修生時代(2018年4月~2020年3月)の作品をもとに開催する、1人企画展。 作品解説と綿の物語が合わさった、ちょっと不思議な企画展です。
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#草木染め

tari textile BOOK 後編 #6「I ♡ T」作品NO.15

作品NO.15→経糸:落花生(石灰)、落花生(みょうばん)、落花生(おはぐろ)  緯糸:落花生(石灰)、落花生(みょうばん)、落花生(おはぐろ)  整経本数307本、半反 ●  「I ♡ T」展も残すところ最後の作品となりました。この作品は、落花生布の第2弾。昨年収穫した実を種にして育てた、自家製落花生としては2世の落花生布です。  作者はこのように自家菜園にものめり込み、収穫した作物を食べること、さらにはそれらを用いて保存食を作ること、そしてそれらを布

tari textile BOOK 後編 #4「I ♡ T」作品NO.13

作品NO.13→経糸:どんぐり(石灰)、どんぐり(みょうばん)、栗(木酢酸鉄)  緯糸:どんぐり(石灰)、どんぐり(みょうばん)、栗(木酢酸鉄)  整経本数308本、半反 ●  次の作品はこちら。この作品のテーマはずばり「どんぐり」です。  作者は、染色について調べていくうちに、どんぐりが縄文時代から食用とされていること、そして同時に染色材料としても古くから使用されていることを知りました。子供の頃からどんぐりが好きで、加えて原始的な物事に惹かれる傾向のあ

tari textile BOOK 後編 #3「I ♡ T」作品NO.12

作品NO.12→経糸:オニグルミ(木酢酸鉄)、オニグルミ(みょうばん)、オニグルミ(石灰)  緯糸:オニグルミ(木酢酸鉄)、オニグルミ(石灰)  整経本数308本、半反 ●  続いての作品はこちらです。みなさんはこの作品にどのような印象を抱くでしょうか?  小さい、細かい格子だなと感じる方が多いのではないでしょうか。そしてこのような小さい格子は織るときにも作業が細かくて大変そうだ、と。  たしかにこのような小さくて細かい格子縞は、機織りの際、緯糸の色を

tari textile BOOK 後編 #2「I ♡ T」作品NO.10、11

作品NO.10、11 →経糸:梅(石灰)、梅(おはぐろ)  緯糸:梅(石灰)、梅(おはぐろ)  整経本数308本、半反 →経糸:ウメノキゴケ(木酢酸鉄)、ウメノキゴケ(石灰)、ウメノキゴケ(みょうばん)  緯糸:ウメノキゴケ(木酢酸鉄)、ウメノキゴケ(石灰)  整経本数308本、半反 ●  それでは、まずこの2つの作品をご覧ください。1つ目の作品はピンクと紫が印象的な、正方形のやや大きめの格子柄。もう1つは白とオレンジ色のしましまが特徴的で

tari textile BOOK 後編 #1「I ♡ T」ごあいさつ

「I ♡ T」(I LOVE Tambanuno)展 ごあいさつ  このたびは、「I ♡ T」展にお越しくださり誠にありがとうございます。  突然ですが、みなさんはこれまでにいったいどのくらいの人々が丹波布と関わりを持ってきたか、考えてみたことはありますか。  江戸時代、日本各地に綿の栽培とともに織物の技術が広まり、丹波でも多くの人が丹波布製作の過程に携わりました。その後も、廃れかけていた丹波布の技術と文化を次世代に継承しようと動いてきた人々、商品を購入し実際

tari textile BOOK 後編 #0「専修生」

「専修生」2018年4月~2020年3月  丹波布伝承館長期教室は、先の二年間の「伝習生」が終わると、希望者は「専修生」に進むことができる。専修生は、課題(年間で着尺3反分)を各自のペースで制作し、提出してチェックを受ける。糸紡ぎ作業のみ自宅で行うことが許可され、他の作業は曜日・時間関係なく伝承館の開館している時であればいつでも、道具と部屋の予約を取り、伝承館で行うことができるようになる。伝習生が大学学部生としたら専修生は大学院生といった感じ。伝習生を修了しただけではまだひ