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tari textile BOOK 後編 #0「専修生」

「専修生」

2018年4月~2020年3月

 丹波布伝承館長期教室は、先の二年間の「伝習生」が終わると、希望者は「専修生」に進むことができる。専修生は、課題(年間で着尺3反分)を各自のペースで制作し、提出してチェックを受ける。糸紡ぎ作業のみ自宅で行うことが許可され、他の作業は曜日・時間関係なく伝承館の開館している時であればいつでも、道具と部屋の予約を取り、伝承館で行うことができるようになる。伝習生が大学学部生としたら専修生は大学院生といった感じ。伝習生を修了しただけではまだひとり立ちするのに経験も道具も不足していることが多く、専修生はそのための準備期間ともいえる。専修生に進むのはあくまでも自由であり、また最長2年間在籍できるが途中で事情により辞退する人もいる。

 私は伝習生を修了したものの、もちろん技術的にもまだまだで道具もほぼ何も揃えられていない。伝習生で学んだ事をさらに何度も繰り返して、しっかりと自分のものとして身につける必要がある。そしてこの布づくり中心ののびのびした暮らしを、この土地でもっと続けたてみたい。そうして専修生に進むことを決めた。

 

 専修生の決まりの1つに、年に1度、専修生主体で企画展を開催するというものがある。企画展のテーマと名前、内容を考え、お知らせ用のハガキのデザインを作り、自分たちの作品だけでなく過去の卒業生にも作品出展の依頼をして、展示を行う。

 私たち10期生で専修生に残ったのは全部で5人。年齢も出身地も性格もこれまでの人生経験も丹波布に対する想いもバラバラだが、みんなでアイデアとそれぞれの持ち味を出し合い、協力して企画展を開催した。

 専修生1年目は「I ♡ T」(I LOVE Tambanuno)展。2年目は「素材にふれる丹波布」展。どちらも、来てくれるお客さんに少しでも楽しんでもらえるようできる限り工夫し、展示を行った。

 実際には丹波布伝承館を会場として、私達を含めた伝承館卒業生の作品と、材料や道具の見本などを展示して行った2つの企画展。この後編では、もう1度、先述の2つのテーマを軸にして、1年ずつその年につくった私個人の作品をご紹介しながら、ひとり企画展を開催してみたいと思う。

 

 それでは、まず初めは専修生1年目、「I ♡ T」展です。どうぞお楽しみください。


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