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「旦那さんはアスペルガー アスペルガーとカサンドラ」を読んで(読書感想文#20)

カサンドラの文字に出会ったのは何年前のことだったでしょうか。最初は何かのお花の名前かな?と思いました。(カサブランカと混同)

発達障害について調べていくうち、カサンドラとはどういったことなのか知りたいと思い、まずは漫画を手に取りました。

▼旦那さんはアスペルガー アスペルガーとカサンドラ/野波ツナ著

この本はシリーズ6作目なのですね。
アスペルガーとカサンドラって、なんだか語感がインパクト強いですね。どういったことを指すのか、まずは整理してみます。

アスペルガーとカサンドラって何?

◆アスペルガー症候群はASDのうち知的障害がないもので(DSMの診断基準で現在はスペクトラムに包含)、アスペルガーはオーストリアの小児科医の名前です。

◆カサンドラはイギリスのカウンセラー、マクシーン・アストンが2012年に提唱したカサンドラ情動剥奪障害(カサンドラ症候群)のことで、DSMには含まれていません(病名ではなく状態と捉えたら良さそう)。

ちなみにカサンドラとは、古代ギリシャ神話のトロイ王女の名で、「予言を信じてもらえなくなる」呪いをかけられているというお話が基になっているそうです。

アスペルガーの夫だと、なぜ大変?

アスペルガーの配偶者を持つと、確かに大変そうだけれど、なぜ妻が特別に取りざたされるのかな?と読む前は思っていました。

でも協力して生活をつくり上げていくはずのパートナーから、共感がない、育児には無関心、相談を無視する―これが家庭内で日々の生活となると、かなり辛いからなんですね。

毎日のように傷ついて疲れて、感情のうち怒りや悲しみを抑圧しようとすると、感情全体の起伏を下げることになり、意欲や好奇心も低下します。これが「情動剥奪」。ここから気分障害・不安障害等につながる可能性があります。さらに周囲に話しても「そんなものだ」と共感を得られないのが、孤独感に繋がってしまう。

でも「家庭」だってひとつの「社会」。それを一人で支えている妻たちがいるのです。

この表現がとても沁みました・・・。確かにそうですよね。

家族のケアが必要な理由

アスペルガーの本人は、家の外で気を張っていて特性が抑えて頑張っていると、反動で家庭内の方が問題が大きい場合があるということ。気が緩むとそうなってしまうのは分かる気がします。そうして家族の負担になってしまうのですね。

あれ?この状況、なにかで似たようなものを感じたような・・・
依存症の本を読んだ時と似ている気がします。本人よりも家族が困っていて、家族が主人公のカウンセリングが必要だという話。

家族の方が「困っている」という感情は、その方の主観的なものなんだけれど、だからこそそれを放置してはいけないと、私は感じました。それが気分障害・不安障害に繋がるから。そしてその元となるのは、「人との関係性」で。そこに向き合ったり、逃げたり、方法はそれぞれで良い・・・のかな、その辺はまだ分からないな。

▼困っている人は困っていると言っていいという話

気分障害・不安障害になれば医師は投薬等の対応をするけれど、その前段階の「困り感」にはどう対応していくのかな。予防的なカウンセリングだったら、私でも何か手伝えることがあるかなぁ。

カサンドラの人にとって、「共感」はオアシスになる

漫画の中では、カサンドラの人どうしが出会って、泉の水を飲んで元気になって、それぞれの場所へ戻って歩みだすような表現をされていました。

私が前々からなんとなく思っていた、「人がほっとあったまる陽だまりみたいになりたいな」とか「セーブポイントになりたいな」というものに近くて、あぁやっぱりそういう存在を目指したい、と思いました。

ここまでお読みいただきまして、どうもありがとうございました。

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