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職場で自分の意見を上手に伝えたい。〜伝え返しより前に、相手への敬意を示すことが近道、コミュニケーションの秘訣〜

 本日は、職場やビジネスの場面で、相手の言うことをよく聞きつつも自分の思いや考えをうまく伝える方法、その秘訣についてお伝えしたいと思います。

 心理学やカウンセリングを勉強していくと、よく相手の言葉を聞き“オウム返し”や“伝え返し”をすることの大切さを教わることが多いです。
 産業カウンセラーや国家資格キャリアコンサルタントの資格取得に向けた学びでは、実際はオウム返しより“伝え返し”の言葉の方がよく使われています。
 いわゆる“伝え返し”とは、一般的に、話をしている相手が使う印象的な言葉を、こちらもそのままの表現で発言し、伝え返してあげること。そして、相手が自分自身の発した言葉を伝え返しにより客観的に聞き、反芻しつつ話を進めるように促していくことだと言われています。

 では、実際のビジネスの場面、打ち合わせや交渉ごとの場面で自分の思いや考えを伝えるためには、どう意識すれば良いのでしょうか。何を意識すればスムーズに話は進められるでしょうか。
 たとえば、相手が会議やプレゼンの場において一生懸命に発言をしている。その後であなたが発言を求められた場合にはどうすれば良いでしょうか。

 私が一番意識していることは、相手の発言やプレゼンの中で一番伝えたいと思っていること、誇りを持っていることやこだわりを持っていることについて、発言の冒頭で真っ先に触れてあげることだと思います。
 こちらの発言の冒頭で真っ先にそれらの点について触れることで、相手は「ああ、今の自分の発言を聞いてくれていたのだな」、「ちゃんと自分のことを受けとめてくれているのだな」と、存在を肯定された安心感が先に立つことによって心が開かれます。その結果として、きっと相手も聞く耳を持ってくれることでしょう。
 伝え返しは相手を聞く、傾聴する局面でとても大切ですが、ビジネスの現場では自分の意見や考えを伝えていかなければなりませんね。
 この発言の冒頭での気づかいは、特に相手に反論を述べる時、あるいは別の提案をするときには効果的かもしれません。
 相手に反論を述べる時には、こちらも気が昂ったり緊張している場合があっていきなり反論をしてしまいがちです。そうすると相手の心が閉ざされてしまうことになり、反発心が生まれ伝わるものも伝わらなくなってしまいます。相手と逆のことを述べるときであっても、まず、相手のベースにある気持ちや一番伝えたいことに触れ、受けとめつつ、こちらも自分の意見を伝える備えをしていくのです。

 実際、私がビジネスの現場においてこの方法で相手にうまく伝えることができた例をいくつかご紹介したいと思います。

1.今月、一生懸命に営業したけれど目標を達成できなかった部下に対して、問題点を伝える場合
2.これまでのサラリーマン人生の昔話や成功体験を語るシニア人材に対して、新しい仕事のやり方を伝える場合
3.長期間の(メンタルではない)病欠から復帰してしばらく経過した部下に対して、新しい仕事を頼む場合
4.若手社員が困りごと相談をしてきて、A案、B案を出してきたけれど、そのほかに最適解がありそうな場合

 少し修正を加えていますが、上の例のような場合に、私は相手の一番伝えたい部分に触れて十分に受けとめた上でこちらの意見を伝えていきました。
 みなさんは、上の例のような場面に実際に遭遇した際には、どのように伝えますか?

 先ほども少しお話ししたように、頭ごなしに否定すると心は閉ざされてしまいます。そのことによって結果的に心が閉ざされてしまうことから遠回りになってしまうことがあるかもしれません。

 「相手の心を開き、相手への敬意を示した上で、自分の意見を伝える。」

 ビジネスの現場におけるコミュニケーションでは、まず、伝え返しの前に相手の一番伝えたいことや気持ちに耳を澄ますことです。耳を澄ますことは決して説得されてしまうことではありません。場合によっては伝え返しと同時に、あるいは伝え返をしながらであってもかまいません。相手の発言の核心、根拠に迫ってみてください。
 きっとそれがきっとビジネスの現場におけるコミュニケーションの秘訣、一番の近道です。

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