愚痴るけど、相談はしない訳
「現場を離れるしかないですね」
僕がここでよく書くお客さんの事。
それを心配して、常連さんがどうにか策を考えてくれたりします。
その中には経営者だったり、同業他社の人だったりと、同じ目線で話せる人もいれば、似た悩みを持つ人の言葉もありまして。
ただ、申し訳ないんですが、解決策はないんです。
いや、あるけど、分かっててやってないだけなので。
お店をやっていると、沢山の嫌な事があって、それをここに書いていて。
そこまでして現場に立つ意味は?
と、傍から見たら思うかもしれませんが、同業態の人は分かると思います。
経営者や同業他社には分からないけど、同業態の人ならば。
カフェの仕事はというか、うちのお店はなんですが。
接客もドリンク作成も一人で行います。
カフェでは当たり前かもしれませんが、他の飲食だとそんな事もなくて。
シェフもパティシエもブーランジェも、作る人と、接客する人とで分けてる所が多く。
また、作った人が、食べている様子を目の前で見る機会も少ないと思います。
ひとえに専門性の高さと業態がそうさせるんですが、カフェは違って。
接客して作って飲んでもらって。
全ての行程に携わると、ロジカルに考える事が難しくなるのです。
気持ちの乗る場所が増えるので。
例えば効率を考える時。
人気の無いシロップは廃止して、絞っていけば効率は上がります。
発注も楽になり、お客さんが迷う時間も減らす事が出来る。
うちだとミントシロップがそれに当たるかな。
でも、やめないのはファンがいるからで、あの人あの人あの人と。
喜ぶ顔を知っているからやめられないのです。
考えられないでしょ?
ただの感情で判断するなんて。
面倒なお客さんが増えるのが嫌だから、売れると分かっていても可愛いだけのドリンクには興味が無いとか、会員制もそうかな。
それをする事で離れる人がいるのが分かるし、それをしなかったから出会えた人がいる。
それを身をもって経験していると、理屈と感情のバランスを取るのが難しくなるのです。
「現場を離れるしかない」
そんな事は自分でも分かっていて、「たまに店にいるぐらいのほうが顧客の体験価値も上がりますよ」という言葉にも納得しています。
でも、だが、しかし。
納得の後、あらゆる接続詞が浮かんでは、否定しにかかるのです。
毎日現場に立った事が無い人に、この価値は分からない。
こんな事を言われたら誰も何も言えなくなるとは思うんですが、でも、これが正直な気持ちかもしれません。
そうか、だから僕はあまり相談をしないのか。
愚痴るけど、相談はしない。
分かってもらえないのと、分かっているから。
孤独だーと嘆くけど、進んで孤独になっているのがほとんどではないでしょうか。
ねえ、同業者の皆様。
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