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ワンオペ最強とか言うな

「ワンオペが最強である」

たまにこんな事を書いている飲食コンサルがいるんですが、少し鼻につきます。

言うは易く行うは難し。

数字だけを見ればそうなんでしょう。

人件費が上がり続けるだけではなく、そもそも人が集まらないなんて事も起こりそうなので、それならワンオペにするのが合理的ってのは分かります。

大金持ちにはなれないかもしれませんが、潰れづらいお店にはなるでしょう。

でも、最強ではない。

断じて。

なんなら、最弱。

実に安直で、実に短期でしか考えてない結論なのです。

ワンオペの代表格である当店の店主、まあ僕なんですが、そんな僕の身に、先日まずい事が起きました。

それが、病気。

とある日、あまり体調がよくないなーと思いつつ、まあ治るかと放置をしていたら、これがなかなか良くならなくて。

カロナールをラムネのように飲み続ける生活が続き。

体調が悪くなって6日目、熱を計ると40度を叩き出したのです。

うなぎのぼりやないかい!

そんなツッコミをしつつ、病院の予約をして、仕事終わりに行く事に。

症状を話すと「レントゲンを撮りましょう」と言われて。

10年ぶり、いや、もっとかな。

久しぶりに見た胸部画像は、真っ白でした。

「肺炎ですね」と、お医者さん。

「肺炎ですか」と、僕。

「よく仕事してましたね。お薬だしときますね」と、呆れるお医者さん。

「頑張りました。ちなみに他に怪しい影はありませんか?久しぶりのレントゲンなので」と、ここぞとばかりに見てもらおうとする僕。

「大丈夫じゃないですかね」と、軽く言うお医者さん。

「安心しました」と、肺炎の事を忘れてる僕。

そんなこんなで体調不良は立派な肺炎だったのです。

安静にしなければいけなかったんですが、それが出来ないのがワンオペで。

休んでもいいんですが、売上がゼロになるのがワンオペで。

入院なんぞしようもんなら、医療費はかかるのに収入が無くなるのがワンオペで。

「これが最強だと!?ふざけんな!」

と、現場に立たないくせに、ワンオペ最強説を唱える人には文句を言いたいのです。

数字では測れない気苦労があるんだから。

「あのお店が長続きしてるのは、ワンオペだから」

うるさいぞ、飲食コンサルめ。

こちとら肺を真っ白にしながらも、カフェラテ作っとんねん!

そうでもしないと、ある意味生きていけないんじゃい!

売上か肺か。

喜んで肺を差し出すのがワンオペ店主です。

「心臓を捧げよ!」

これは無理だけど、肺ならね。

いや、冗談です。

肺ですら捧げてはいけないのです。

たかだか飲食店ですから。

ワンオペだろうが病院には行きましょう。

お店をやるには覚悟が必要ですが、その意味を履き違えないように。

死にかけてまでやるのは違うので。

でも、そんな人もいるのです。

だから、飲食コンサルが「ワンオペ最強」だなんて無責任に言わないように。

責任なんてとれないんだから。

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