担う役割
「外国人増えたでしょう」
常連さんによく言われるのですが、そんな事はなくて。
近隣のコーヒー屋さんと比べると圧倒的に少ないと思います。
入りづらさ、分かりづらさ、僕の英語スキル。
様々な要因があると思うんですが、一番は看板だと思っていて。
(ブランド力とも言える)
なんでこんなエリアに店を出してしまったのか。と、ちょっとした後悔があるんですが、それはそれは人気店ばかりがありまして。
その名が海外にまで轟いている所もあり、そこを目指して日本に来てる人もいるぐらい。
僕はと言えば、「いつまでそこに行ってるんだ!」と、子供じみた嫉妬をしたりしなかったりなんですが、僕も観光に行ったらきっとそういうお店に行くと思っていて。
アメリカに行けば「スタンプタウン・コーヒー・ロースターズ」や「インテリジェンシアコーヒー」に嬉々として参拝するでしょう。
それを見た地元のコーヒー屋は「いつまであの店に行ってるんだ!」と、思うんだろうな。
分かるよ、ボブ。
そう考えると、うちに観光客があまり来ないのも納得で。
地域で一番、来ても二番までなんだろうなと思います、観光客が来るお店は。
残念ながらうちはそうではないから、歯噛みして枕を濡らすしかないんだけど、卑屈になってばかりではいけなくて。
うちはうち、よそはよそなのです。
このエリアは観光客が多いとは言え、オフィス街ですし、渋谷区なのです。
という事は、日本人が当たり前に多くいまして。
その方々は日常を過ごしているのです。
仕事の為にこの街に来てる人もいれば、普段の買い物で訪れる人もいたり、代々木公園に散歩をしに行く人もいる。
そのお供にはコーヒーが必要だと思っていて。
水でもなく、お茶でもなく、アルコールでもなく、コーヒー。
活性の為、緩和の為、行為としてだったり、話す為であったり。
これほどまでに様々な役割を担う事が出来るモノって他にあるだろうか。
凄いぞ!コーヒー!
違う、そんな話ではない。
ただただ日常を過ごし、ただただコーヒーを飲みたい人の行った先が、観光客でお店がごった返してたら行きづらいと思っていて。
日常を過ごしてる人と、観光で来てる人は纏ってるエネルギーが違うと言いますか。
まあ分かるでしょ。
あの満ち満ちたエネルギーにやられてしまうのです。
そんな人の為にうちは存在してるのかもしれなくて。
看板やブランド力は積み重ねてきたモノなので、簡単に覆す事は難しく。
そもそも街一番のコーヒー屋になれるなんて思ってもないしな。
でも、生存戦略ではないですが、一番しか生き残れない訳ではなくて。
そこはそこ、うちはうちで担ってる役割が違うと思ってます。
ただな。
観光のお客さんがもう少し来てくれてもいいのにとは思っているけど。
まだまだ時間はかかりそうだ。
頑張ろう。
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