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人を雇わない理由① 再投稿とあとがき

前回までは休まない理由を書いてきましたが、別に誰かを雇えば年中無休なんて難しくありません。

実際、ほとんどのカフェはそうしてますし。

それでも、なぜ人を雇わないかを、何回かに分けて書いていきます。

一番の理由はお客様を裏切りたくないからです。

これは休まない理由とも一緒です。

ただ、この場合のお客様は、主に常連様です。

当店みたいな小さなお店は、常連様に支えられています。

来店の頻度は様々ですが、4年もやっていると、沢山の常連様が出来まして。

その方達との会話は、テイクアウトのお店にも関わらず、当たり障りのない、例えば天気の話なんてしません。

仕事の悩みだったり、相談事だったり、これからの事だったり。

なんなら、僕の話を聞いてもらう事もあるぐらいです。

ある常連様とは、共通の趣味である映画の話で盛り上がるのですが、映画好きなら観なければいけない作品のDVDを、わざわざ貸してくれます。

コーヒーを買ってもらって、さらにDVDまで貸してくれるのです。

また、ある常連様には冗談めかしてですが、「ここは駆け込み寺です」と言われた事もあり。

そんな僕の為にDVDまで貸してくれるようなおせっかいな人や、駆け込み寺として使ってくれる人が来た時に、迎え入れるのがあまり知らない店員だったらと思うと、申し訳ない気持ちになるのです。

常連様はきっと顔にはださないと思いますが、心の中でがっかりしている事は、容易に想像つきます。

それぐらいの信頼関係を構築出来ている自信もありますし。

コーヒーを淹れるだけなら誰でも出来るようになりますが、常連様が求めているのは、コーヒーだけではないと思っています。

その期待に応えるには、いつも自分がお店に立てばいいと考え、人を雇わないという判断をしました。

これが一つ目の理由です。

〜あとがき〜

常連様と書いていたのか、この時は。

固いぞ、当時の俺。

常連さんに支えられているのは今でもそうで。

裏切りたくないという気持ちを今でも持っていて。

こんな気持ちが9年目になっても続いているのは、常連さんのお陰だと思ってます。

僕が仏のような優しさを持ち合わせているのではなく、そうさせるのです、うちの常連さんは。

駆け込み寺だと言ってた人は、未だに駆け込み寺として活用していて。

DVDを貸してくれてた人は、定年を迎え、このエリアに来る用は無くなったのに、たまに顔を出してくれています。

常連さんが来る頻度はライフステージによって変わりますが、一度築いた信頼関係は、なかなか壊れそうになくて。

何で繋ぎ止めてるかというと、お店という実体でしかないのです。

思い立った時に寄れて、そこにはいつも僕がいて。

足が遠のいたとしても、いつでも帰って来れる場所がある。

これは、精神衛生上、わりと良い価値を提供出来てるんじゃないかと思うのです。

母校に恩師がいるみたいな感覚か。

幼き頃の祖父母みたいな存在か。

いや、まだ35歳だけど。

ちょっとこの感覚を理解するのは早すぎる気もするな。




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