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読書感想文 『ソーシャルデザインの教科書』

キッカケ

幾年か前、村田智明氏が来社され講演を聴いた。

確かその時、ちょうどこの本が出版されるタイミングだったのか、聴講者には幾分か割引で販売する企画があったので、購入したことを覚えている。

一線のプロダクトデザイナーの話を聴ける機会は、当時もそう思ったがかなり貴重であったし、学びも多かった。

なのに、本はずっと読まなかった。

式年遷宮の話にどうしても興味が持てなかったのである。。

だけどイマ、神社というものに興味はあるし、”持続可能性” の大切さを漸く理解し始めてきたので、読もうと思い立った。


気づき

ソーシャルデザイン云々というより、デザインの意味を改めて復習することで、自分が学んだことと繋がった体験が気づきだった。

デザインの意味
「対象とするものを取り巻く 関係性 を観察し(中略)計画を練り(中略)わかりやすくアイコン化・可視化すること」

関係性という言葉がピンときた。

物でも人でも都市でも会社でも、個ではなく社会に存在している。

また、いま見えている対象は今の姿なのであって、必ずなぜこうなったのかという文脈や歴史がある。

つまり、対象物の周りの環境と時間を観察することが、まずデザイナーには求められることだと感じる。

これを4Dで捉えることだと僕は解釈しているのだが、次元をもう一つ増やしてもいいのではないか、と思った。

それは人の思いや感情である。

4Dで全てが解けるならば、自然科学をスーパーコンピュータにぶち込めば解が出る。

文化や社会構造、人間関係などなどを考慮することが、デザイナーに必要じゃないかと思った。



持続可能であることの意義が、ますます世の中に広まっているように感じる。

一時的な消費、快楽、一瞬の見栄、これらは幸せには繋がらず、むしろ裏側で悲しんでいる人を増やす行為であることが、論理的に理解されてきた社会で、次目指すものは何なのか、考えさせられる。

日本人には元来、歴史を重んじ、謹むことに対する美意識があると僕は信じている。

その理由は、お盆、初詣や七五三、何百年も続く寺や神社にまつわる行事を代々継承していることや、もったいないという精神で、雑巾を作ったり、継ぎ接ぎをしたりするからだ。

僕たちは少し外を向きすぎたのではないか、と思っている。

僕たちがいま生きているのは、先祖たちが代々生きてきたからだ。

その過去の歴史に、僕らの未来の生存戦略があると考えるのは、なんら不自然なことではないと、僕は考える。


やること

何かを考える時、対象だけでなく、関係性を捉える、ということを明確に意識していく。

そしてその結果は、単に自分のためだけじゃなく、社会や環境にとってもいいのか、要は持続可能なのか、を考える。

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