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徳島県神山町で実感した応援という名の消費の大切さ

今年の目標は、『毎月違う県を訪れる』こと。それは、今後the HELL Record & Sourをもっといいお店にするために必要なアイデアのタネを得るため。2019年は、アウトプット中心の1年だった。お店の構想から、店舗作り、運営方針など、様々な部分で自分自身が28年間で見て感じてきたものをアウトプットしてきた。

佐賀で生まれ、別府で大学生活を過ごし、東京で社会人経験を積んで別府に帰ってきた自分自身のキャリアを面白がって、「次は何するの?」と聞いてくれるお客様がいる。開業する前は「別府でバーをやりたい」と自然と答えられていた質問に、いつの間にか答えられなくなっていた。答えられない自分が嫌で、強がっていろんなこと言っていたけども、それが本心では無いことを自分が1番知っていた。

別に現状に満足している訳ではない。ありがたいことに赤字を経験することなくあと少しで開業から1年を迎えられるわけだが、今の状態には決して満足しておらず、理想の状態にはほど遠い。月末は毎回胃がキリキリする。

前置きが長くなったが、今回は第一回目のインプット出張として徳島県を訪れてきたので、そこで感じたものを共有したいと思う。

移住者が増える徳島県神山町

徳島を訪れたのは今回が初めてで、行くと決める前の情報は、前職の先輩が家業を継いで帰省しているということくらい。知人からの「徳島の神山町が面白かった」という情報を頼りに、小一時間ほど調べてみると、神山町はサテライトオフィス誘致に成功している先駆け的存在となっているということがわかった。サテライトオフィス誘致がキッカケで移住する人たちも増え、徐々に話題のお店が増えているらしい。地方都市がどのように作られているのかという分野に興味があったのと、久々に先輩に会いたいという理由で徳島に決定。

結論として、徳島に行って本当によかった。時間の関係でサテライトオフィスが入っているWEEK神山には立ち寄れなかったけども、神山町に移住してピザ屋さんを営むYusan Pizzaさんや、伐採したスギを活かしたモノづくりをしている神山しずくプロジェクトの方と話すことができた。そこで聞いた移住の話や、お店を経営する思いなど、色々と自分自身刺激を受ける部分が多くて、今後の参考になるエッセンスを多分に得ることができた。

応援という名の消費

話は少々逸れるが、日頃から感覚的にお金を使い過ぎている。キャッシュレス決済なども普及して、「お金を使う」という行為に対する感覚が軽くなっている。何かを買う度に毎回『なんでこれを買うのか?』と深く考えることは、よほど高価なものじゃないかぎりない。

基本的に、生活の中でも必要性の高いものにしかお金を使わないので、衣類は学生時代に買った服を今も着まわしているし、映画館で観るべき作品以外はオンライン配信されるまで待つ。このnoteを読んでいる人の中にも、同じようなライフスタイルの人もいると思う。

徳島県神山町の神山しずくプロジェクトさんのギャラリーを訪れた時に、スギの木で作られたコップを買った。1つ作るのに2年の歳月をかけて作られるコップは、決して安い値段では無い。スギの木を伐採し、そこから自然乾燥を1年半かけて行い、独自のヤスリで削ってやっと1つ出来上がるらしい。技術力の高い木工職人を多く抱える徳島県だからこそできるコップは、軽さ、手触り、飲み口の柔らかさなど、どれをとっても初めての体験を提供してくれる。

今回の買い物は、今までの買い物とは大きく何かが違った。一言で説明するのは難しいが、そこには「感動」があった。その感動がどこから来ているのかというと、モノの持つ「ストーリー」と「クオリティー」の両面において共感できたというのが大きいと思う。

もちろん自分自身が「地方」という分野に興味があるのは前提ではあるが、1つのモノが造られるに至るストーリーを知ることで、深く共感できるものがあったし、それを応援したいと思って購入した。また、実際にスギのコップでお茶の試飲をさせてくれて、クオリティーの高さも実感できた。当たり前のことかもしれないが、この「ストーリー」「クオリティー」こそがモノの持つ価値なんじゃないかなーと実感した。

今の時代、技術の進歩やインターネットでノウハウが世界中にばら撒かれたことによって、安い値段でクオリティーの高い商品が簡単に手に入るようになった。その結果、「クオリティー」での差別化が難しくなり、クオリティーは高いのに、なかなか「ストーリー」を伝えることができず、人知れず消えていく生産者がたくさんがいる。そういう事例が発生しているからこそ、本当に自分が共感したモノに対しては、応援という名の消費を積極的にしていきたいと思った。

別に「高いモノを買うことが偉い」と言いたいわけではなくて、自分自身の日々の生活の中で、少しでも自分自身の琴線に触れる何かがあるのであれば、応援という名の消費をしていっても良いのかもなというお話でした。文章では伝わりづらい部分がたくさんあったと思うので、買ってきたスギのコップで飲みながら直接お店で話しましょう!

それでは、今日もお店でお待ちしております。

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