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【こころ #72】IPS(個別就労支援プログラム)の実践者


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大島 みどりさん


 『援助付き雇用』という言葉をご存じだろうか?

 障害のある当事者が仕事をできるよう支援する方法の一つなのだが、「当事者がまず就職してから、仕事をする上でのトレーニングを提供する」という考え方を基本にしている。

 普通に考えると、「当事者がまず仕事をする上での支援やトレーニングを受けてから、就職する」という順番が正しそうにも感じるが、それが逆なのである。


 また、この『援助付き雇用』の一種で、1980年代にアメリカで開発されたプログラムを『IPS(Individual Placement and Support、個別就労支援プログラム)』という。

 具体的には、就労支援専門スタッフが精神障害のある当事者の希望、スキル、求める配慮等を聴き取った上で、当事者が自分に合った仕事に就けるようサポートし就職した後も、引き続きその仕事を継続できるよう支援する。


 このIPSを実践しているのが、大島さんが所属する、千葉県市川市のNPO法人NECSTだ。

 実は、市川市は地域精神保健医療福祉システムの面で非常に先進的な地域とされる。具体的には、米国を発祥とする、多職種アウトリーチチームによる包括型の地域生活支援プログラム(ACT)を日本に導入した『ACT-J』の臨床研究事業や、同じく米国で開始された、精神障害を持つ方が地域の中で普通に暮らしていけるよう支える地域ケアシステム『マディソンモデル』を導入した千葉県モデル事業が率先して行われてきた歴史がある。

 このモデル事業の開始時から参画していたのが大島さんであり、その事業終了後も取組の灯を絶やさないようにと設立されたのがNPO法人NECSTだった。


 当時は2000年代半ば過ぎ。「精神障害者を働かせるなんて」という風潮があり、たとえ当事者本人が働きたいと言っても、支援者からは「いつか働けるといいね」「無理をしてはよくないから」という声も出るなど、周囲が「(当事者が)働くことにネガティブな時代」だった。

 そうした中でも就労支援の実践を繰り返し、また多くの当事者の努力があって今では世の中の「企業の精神障害への理解も進み、雇用への抵抗感が大きく変わった」と大島さんは振り返る。


 一方で、企業が「少し困ったことがあったとしても、どうにか受け入れていこう、理解してやっていこうという柔軟な姿勢まではなかなか至っていない面もある」とも大島さんは話す。そんななか、IPSはどのような実践をしているのだろう。


 例えば、これまで就労支援した方の中に、どうしても夕方の就労支援事業所閉所間際にした顔を出せない人がいた。「普通だったら、支援者としては就職活動に踏み出せないところ」だろう。しかし、できないと決めつけずに一緒に就活を始めてみると、適性に合う仕事が見つかり、朝から安定して出勤している。そんな事例は一つだけではない。

 大島さんは、そうしたケースを例に、「最初の段階でレッテルを貼り、支援者側でハードルをつくってはいけない」と自戒も込めて話してくれた。


 それは、企業も同様なのだ。「”障害者の仕事はこれです”と決めてシステム化してしまわずに、その人のもつストレングス(強み)を生かし職場で働く方法がないかともに考えを巡らせ、時には抜け穴か抜け道を探してみてほしい」と大島さんは語る。


 結局は「人と人がどう付き合っていくかの問題」であり、それゆえに「企業も支援者も、当事者と共に経験する中で学んでいくしかない」
 だからこそ、まず就活を進め就職後も支援者が伴走してしっかりサポートする『IPS(個別就労支援プログラム)』の意義が生きてくるのだろう。



大島みどり プロフィール
 社会福祉士、精神保健福祉士、公認心理士
 NPO法人NECST事業統括理事
 NECSTは地域活動支援センターForUs、就労移行支援・定着支援を行うビルドとビルド神保町、発達障害の方を対象とする就労移行支援・生活訓練・定着支援事業のユースキャリアセンターフラッグと4つの事業所を運営している。いずれも当事者のリカバリーを大切にしている。





ここまで読んでくださった皆さまに‥


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