見出し画像

【みみ #35】支援のバトンをつなぎ聴覚障害学生にエールを


⭐ ファン登録のお願い ⭐

 Inclusive Hubの取り組みにご共感いただけましたら、ぜひファン登録をいただけますと幸いです。

 このような障害のある方やご家族、その課題解決に既に取り組んでいる研究開発者にインタビューし記事を配信する「メディア」から始まり、実際に当事者やご家族とその課題解決に取り組む研究開発者が知り合う「👀ミートアップ👀」の実施や、継続して共に考える「🤝コミュニティ🤝」の内容報告などの情報提供をさせていただきます。

🔽 ファン登録はこちら 🔽



白澤 麻弓さん(後編)


前編から続く)


 2004年10月に、白澤さんの念願の、聴覚障害学生の学びを支援する高等教育機関同士がつながる『日本聴覚障害学生高等教育支援ネットワーク(PEPNet-Japan)』が、筑波技術大学から立ち上がった。



 しかし、それが他の高等教育機関にスムーズに広がったわけではない。米国の『障害のあるアメリカ人法』のような法的基盤があるわけではない日本では聴覚障害学生を支援する義務もなく、支援ノウハウの蓄積もない中では「想いのある大学・先生・職員が取り組んでいる状況」だった。
 裏を返せば、「何と言われようとうちは対応しない」はもちろん、「日本で最後の大学になってもやらない」と言う大学さえいるような状況でもあった。


 そんな状況が、2016年4月に「一夜にして変わった」。『障害者差別解消法』が施行され、国立大学は障害学生への合理的配慮が法的義務となったのだ(2024年には、私立大学も同様になった)。これは「ものすごい追い風になった」。


 これを機に、聴覚障害学生が授業を受ける際に、聴者の学生が先生が話している内容などをパソコンで記述してリアルタイムに伝える形で支援する『パソコンノートテイク』などの合理的配慮が広がっていった。

 しかし、これだけで授業でのディスカッションなどに主体的に参加することは難しい。「話し言葉である手話の支援は大きく、大学側がその通訳をつけようという認識にまでは至っていない」と話す白澤さんには、現在の状況は「情報保障の質」の面で不十分に映る。


 ただ、そこにたどり着くにも課題がある。まず、大学の授業を手話通訳できる人材は限られ、「大学が付けたいと思ったときに付けられる状況にない」。自治体から派遣してもらおうとしても、大学の授業のように毎週おとずれる機会に定期的に手話通訳を派遣する制度をもつ自治体は極めて限られている。

 実は、前述の『パソコンノートテイク』さえも安泰ではない。その支援をする聴者の学生もいつかは卒業してしまうし、何より大規模な大学でもなければ毎年聴覚障害学生が在籍しているとも限らない。そうしたミスマッチもある中で各大学が体制を維持し続けることは容易ではない。


 こうした各大学間で聴覚障害学生が置かれる環境にどうしても差が生まれてしまう中で、PEPNet-Japanの発足当時から毎年秋に開催されているのが『日本聴覚障害学生高等教育支援シンポジウム』であり、発足5年目から始まったのが『実践事例コンテスト』だ。

 聴覚障害学生を支援する教職員のみならず、聴覚障害のある学生当事者や支援者も集まるシンポジウムにおいて、「自分たちの大学ではこんな工夫をして聴覚障害学生の学習環境を整えている」と発表し合うもので、これを通じて大学同士が取り組みを学び合うことができ、何より「会場が熱く、活気に溢れている」



 一方で、国は現在、国立大学法人運営費交付金を毎年度1%ずつ削減する方針を取っており、その余波は当然、このシンポジウムにも及ぶ。
 そうした中でも、どうしてもこのシンポジウムを続けていくために、そして今年はPEPNet-Japan20周年の節目として、初めてクラウドファンディングに踏み切った。



 白澤さんが事務局長を務めるPEPNet-Japan事務局には、全国の聴覚障害学生や支援する教職員などから数多くの相談が寄せられる。例えば、聴覚障害学生が教員免許を取るための教育実習先として母校のろう学校を希望したら、「前例がない」の一言で断れられたようなケースもあった。それだけで、教員への道が閉ざされてしまう。
 「差別であることに気付かないままに、差別的対応がなされている」状況がある中で、「聴覚障害学生が直面する環境や配慮の本質を伝え続けることがPEPNet-Japanの役割」と白澤さんは話す。


 そのためにも、前述のシンポジウムのような機会がいかに重要かは言うまでもない。聴覚障害学生が直面する課題の解決に挑戦する人材が少しでも出てきてほしいし、シンポジウムの開催を支援するだけでも多くの人のお力を借りたい。

 聴覚障害学生にとって平等な学習環境への支援を是非よろしくお願いいたします。






ここまで読んでくださった皆さまに‥


⭐ ファン登録のお願い ⭐

 Inclusive Hubの取り組みにご共感いただけましたら、ぜひファン登録をいただけますと幸いです。

 このような障害のある方やご家族、その課題解決に既に取り組んでいる研究開発者にインタビューし記事を配信する「メディア」から始まり、実際に当事者やご家族とその課題解決に取り組む研究開発者が知り合う「👀ミートアップ👀」の実施や、継続して共に考える「🤝コミュニティ🤝」の内容報告などの情報提供をさせていただきます。

🔽 ファン登録はこちら 🔽


「👀ミートアップ👀」の様子はこんな感じ

「🤝コミュニティ🤝」の様子はこんな感じ



⭐ Inclusive Hub とは ⭐



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?