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【日本経済新聞要約・考察】第2回 物価上昇鈍化、FRB利上げ観測

※本要約・考察は2020年1月16日の日経新聞の記事をもとに書いております。

〈要約〉

15日のニューヨーク債券市場で長期債相場は続伸し、表面利率1.750%の10年物国債の利回りは前日比0.03%低い(価格は高い)1.78%で取引を終えた。
その要因としては、同日に発表された2019年12月の卸売物価指数は前月比0.1%上昇したが、市場予想(0.2%程度)を下回ったことから、物価上昇が鈍いことが確認され、買いが優勢となった。前日(14日)に発表された消費者物価指数(CPI)に続き、米物価上昇の鈍さが意識される中、低インフレで米連坊準備理事会(FRB)の利上げ実施時期が遠のく見方が強まったことから、金利は上がりにくい考えが広まった。
一方で、同日の米中は貿易交渉の「第一段階」の合意に署名したことから、摩擦の緩和を通して世界経済の追い風になるとの見方から、安全資産とされる債券の売りが出たため、上値を抑えた。
米経済が失速していることを示す指標が2日連続で発表される中で、FRBのベージュブック(地区連銀報告)では米経済は19年の年末にかけて「緩やかに拡大している」と見方が示されたものの、新味に乏しいとして相場への影響は限られた。

〈考察〉

今回のNY債券の続伸を三つの観点から自分なりの考察を行うとすると、「米中貿易摩擦」「経済指標の有用性」「トランプと利下げ」だ。

1. 「米中貿易摩擦」

今回の貿易競技の第一段階の合意文書に署名をしたことを受け、米株式市場は前日比$90.55(0.3%)高の$29,030.22で終えた。2018年2月7日に米国が実施したソーラーパネルや洗濯機の関税を増税したことから始まった米中貿易摩擦は今年で2周年となる中で、ようやく貿易摩擦による米景気の不透明感が後退した。しかし、第2段階以降の協議がすぐ始まるが、年内でのさらなる合意は難しいだろう。米国での大統領選挙が今年行われる中で、トランプ政権としても再選に向けて結果を残したい意識から、第2段階の合意を急ぐ可能性があるが、中国としてはトランプ大統領に期待を寄せ、次期大統領との交渉の方が有利になると考えていることから長引くだろう。
加え、2019年の中国の対米輸出は前年比13%減、輸入も同21%減り、貿易摩擦が両国に与えている影響は浮き彫りになってきている。そのため、今年は追加関税が行われることはないだろうと考えている。https://r.nikkei.com/article/DGKKZO54375110U0A110C2MM8000?type=my#IAAUAgAAMA
同時に、両国はASEANや隣国からの輸出入を増やしていることから、隣国経済の発展が生じることが考えられる。

2. 「経済指標の有用性」

先週の日経新聞要約において、地政学に集中したあまり、経済指標に注目することを忘れていた。15日のニューヨーク債券市場の判断材料となっていたのが同日発表の卸売物価指数そして前日の消費者物価指数(CPI)があった。年始から発表が続いた、米国のISM製造業景況指数が市場予想を1.8point下回ったものの、その他のサービス部門購買担当者景気指数(PMI)やISM非製造業景況指数(総合)が業界予想を上回っていた。そんな中、卸売物価指数とCPIが予想を下回っていることから、本日発表の小売売上高[前月比]が予想を上回るかが明日の大きな判断材料になると考えられるものの、下回る可能性が高いことから、明日の債券市場も続伸(買いが優勢)になると考えられる。
先月の卸売物価指数も小売売上高も予想を下回っており同じような動きが観測されると考える。

3. 「トランプと利下げ」

トランプは就任以降、FRBに利下げを行うよう積極的に公言してきた。大統領には直接的な権限はないものの、FRBには政治的な圧力もかかる中、経済指標もインフレ率の鈍化を示しているため、2年で4回目の利下げも現実味が増している。
上半期に行われるとした場合、10月30日2019年の.25pointの利下げで、10月31日の米国10年債券利回りの変動で観測された1.786%(10/31 AM9:00)から1.691%(11/1 AM 0:00)への利回りの下落(価格は高い)は再度起こりうるため、米国債は6ヶ月のスパンを見据えて「買い」なのではないかと考える。

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