ピンチをアドリブで乗り越える技 25/100(みなぎる静止)
自問自答を繰り返しながら、
アドリブと演技の関係を
追求していってみようと思い立ちました。
100回(?!)連載にて、お送りします。
今に足をつけ立っているために
この『ピンチをアドリブで乗り越える技』も、今日で25回目を迎えます。
それを記念して、見出し画像を追加しました。
(運営さんが勧めてくるので…)
『Fawlty Towers』というイギリスのコメディーからの1シーンで、『モンティー・パイソン』のジョン・クリース主演の古典です。
彼が演じる田舎のホテルオーナーのバジルが、死力を尽くしても、物事うまくいかないというコメディー。
この写真は、車がエンストしたというピンチ禍に、枯木を拾ってきて、折檻を加える直前の瞬間です。
100本連載を目指しているので、これで4分の1を終えたことになりますね。基礎的なところはほぼほぼカバー出来てきたような実感があります。
これまで私の、時に支離滅裂な、説明不足の文章にお付き合い下さっている読者の方々、またSNSなどで拡散して頂いている皆様に、心から感謝申し上げます。
週6日、欠かさずに書き続けるというのは結構忍耐のいることで、小学校の算数ドリルや漢字ドリルを毎日出来た試しのない私としては、25回続いているのは驚きです。
確実に、皆様の励ましとサポートあっての賜物です!
そうそう、このドリル系をちゃんと毎日コツコツできた人か否かは、大人になってからも引きずる、結構核心をついた目安だと思っています。
演劇学校時代、ひとつの役を演じるにあたって、ある役者は、膨大な量のリサーチとノートを積み重ね、台本にも所狭しと書き込みをして、付箋まで貼るようなタイプでした。
もう一人は、毎晩寮のバーで呑んだくれていて、台本はほぼ白紙。
結論から言うと、どちらも素晴らしい演技をする役者でした。
仮に、その呑んだくれの役者が、ノートを書き、台本に付箋を貼っても、おそらく更に良い演技を出来るようになる、ということはなかったでしょう。
もしかしたら、悪くなっていた可能性すらあるように思います。
人には、それぞれ自分に合った手法があり、ただアプローチが異なっているだけで、目指している高みは同じです。比べるものではないのです。
私がどちらのパターンだったかというと、まぁお分かりですよね。(笑)
また、話がそれてしまいました。
前回は、何かミスを犯してしまった時、その過去にとらわれていると、雪だるま式に次のミスを誘発してしまうという話をしました。
過去を振り返って、そこから学びを得ることは非常に重要だとは思いますが、それは、その場を切り抜けてから行えば良いことであって、ピンチを脱したばかりの状態にある今は、
それよりもやらなくてはいけないことが沢山あります。
それこそ、100項目弱?!
そのうちの一つとして、今日は静止について考えたいと思います。
皆さん能についてどんなイメージをお持ちでしょうか?
展開が遅いですよね?
「どうしても眠くなってしまい、うとうととして、ふと、目覚めたら、舞台上の様子が全く変わっていなかった」
というのは半分嘘のようで、あながち間違ってもいないと思います。実際、そういう時もあります!
演者がずっと静止していて、全然動いてないんです。これを、専門用語で居語りといいます。
でも、実はこの演者、めちゃくちゃ動いてるんです!
いや、とんちではなくて、実際に筋肉が躍動しています。
身体の前へかかるエネルギーと、後ろへかかるエネルギー、上へ引っ張られるエネルギーと、大地へ沈んでゆくエネルギー、
その他360度ありとあらゆる方向へ、同量のエネルギーがかかっている時、演者はそこにすっくと静止しているように見える。
というのが、能の静止している状態です。
ピンチに陥っている時、無力感に襲われることもあると思います。でも、そんな時こそ全身に力をみなぎらせることも可能です。それが内に秘めたエネルギーとなり、存在感を生みます。
逆に、存在感を消したい時も、この手法を使うことが出来ます!
ちなみに、昨日『カメラを止めるな!』の上田監督とTikTok Japanの企画に触発されて、「バズるショートフィルムの演じ方」について、システマチックに考えてみました。
よろしければ、こちらも併せて読んでみてくださいませ!
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