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ビジネスマンの通勤リュックを考える件

ビジネスマンと書くと聡明で洗練されたイメージがありますが、要するにサラリーマン、俗にいうリーマンのお話し。もう少し限定的に言えば、電車等を使って毎日決まった時間に職場に行き来するオジサン達を想起しています。
もちろん、筆者自身を含んでの考察です。
彼らは今や『ネクタイ族』ではないし、夏になれば『ドブネズミ族』でもない。
これからの蒸し暑い季節、『ワイシャツ+スラックス族』というのが多数派になりそうです。

そんな彼らの『通勤カバン』は、『ブリーフケース』から  TUMI等の『3WAYバッグ』に、そして『トートバッグ』へと変遷してきましたが、今や『リュックサック』型のものが完全に市民権を得るようになってきました。
ただし『リュックサック』型といっても、『ビジネスリュック(背負いタイプのビジネスバッグ)』型から『アウトドア用のデイパック』型、或いは『遠足用のリュックサック・ナップサック』型まで、バラエティに富んだタイプが百花繚乱いています。

筆者愛用の COACHと AOYAMAのトートバッグ

なにも今さら電車通勤のオジサン達に対して『ネクタイしましょうよ』とか『上着は着ましょうね』等と野暮なことは申しませんが、せめてビジネスシーンに相応しいリュックサックを知っていただきたく、ちょっと書かせていただきます。

まず、あり得ないほど哀しいタイプが、『ナップサック』ですね。

この手のをスーツに背負ってきた先輩…
GREGORYは一流ブランドですが、その先輩のはノーブランドでした…

フタやファスナーの類はなく、巾着状の袋を紐で縛って開閉する形状。
その紐が、肩掛けを兼ねています。
縫製は単純で芯材もないので形状が定まらず、書類等のビジネスグッズを入れることもままならない。基本的には『体操服等の着替え入れ』ですね。
さすがにここでは説明の必要もないと思われるでしょうが、実際、私の名古屋勤務時代の60代の先輩がこれを背負って通勤していましたので、敢えて紹介しておきます。

次に挙げるのがいわゆる『リュックサック』

革ならいいってもんじゃない。この手のをスーツに背負える先輩って…

どうしても小学校の遠足の時に弁当とオヤツと雨合羽を入れて背負った、カラフルなアレを思い起こしてしまいます…
これも、上記の先輩の事例です。
ナップサックがあまりに使いにくかったのか、『最近、リュックが流行っていると聞いたので、コレ買ってみた』と言って背負ってきたのがこんな感じでした…
いろいろ残念な先輩でしたが、逆にコレを何処で見つけてきたのだろう?と感心したことを覚えています。

ただ最近のお洒落な広く登山リュックを含めれば、一度は目にしたことのある有名ブランドがたくさんありますね。

次が『デイパック』
1980年前後に一時期、大流行しました。
デイバッグ(day-bag)でもデイバック(day-back)でもなく、デイパック(day-pack)です。
日帰りのハイキング等で重宝される、1日分の荷物が入る背負いカバンです。

この写真の品に関して言えば、レザー素材でシンプルな黒無地、好感が持てますね!

これも、最近ではなかなか見ないなと思ってたら、Fjallravenフェールラーベンのカンケンとかいろいろなブランドのものが流行っているようです。
インバウンド前、コロナ禍前の欧米系の観光客で、いわゆる『バックパッカー』と呼ばれる旅行者がよく背負っていたイメージがあります。
上の『ナップサック』や『リュックサック』に較べれば幾分形状がしっかりしていますので、書類は無理そうでも、いろいろなものを整理して入れられそうではあります。

最近、中高生の御用達として定番化したのが『ヒューズボックス』と言われるタイプ。
電車通学する中高生がこぞって背負っている姿を見たこともあると思います。

中高生のド定番!
出張時には右下のカモ柄を借りていきました。

そもそも『ヒューズボックス』とは、クルマの中で様々な電源が集約された箱。或いはヒューズの交換作業効率化の為に、様々な抵抗値のヒューズを収納してある箱のことを指し、転じて電気工事技師が様々なパーツや工具を詰め込んで現場に向かう為の直方体の背負いバッグが『ヒューズボックス』と呼ばれるようになったようです(諸説あり)。
いわゆる『置き勉』(教科書を学校に置きっぱなしにする事)が禁止された上に副教材やタブレット等の持ち物が増えて、中高生の通学カバンは矢鱈と重くなっています。

そこで大量の教科書や情報機器を格納し、かつ両肩への負担を軽減して背負いやすいものはないかというニーズにハマったのが、このヒューズボックスです。

通学用に定着してから数年を経て、カラーリングも派手なものからシックなものまでバリエーションが増えて、これを通勤用に背負う若いビジネスマンも増えてきました。しかしながら、やはり『通学用』のイメージがあまりに強い為に、大人の通勤用としての使用には個人的には幼さを禁じ得ません…
(かく言う私も、2泊程度の出張時には大学院生の息子の The North Faceのカモ柄ヒューズボックスを借用しております…)

さてここまでは、大人の通勤カバンとしてはさすがに控えておきましょうね、というものを列挙しましたが、ここからは一応『ビジネスリュック』というタイプを挙げていきます。

まずは、20年ほど前に TUMIブランドで一世を風靡した『3way ビジネスバッグ』が、現在のビジネスリュックのハシリかもしれません。

大流行した TUMI!
ちゃんと読めますか?

バリスティックナイロン製のブリーフバッグで、『手持ち』にも『両肩背負い』にも『片肩掛け・斜め掛け』にもできるアイデア商品。その分、デザインはややゴテゴテとしがちで、『手持ちハンドル(縦持ちと横持ちの双方に対応)』の他に『格納式の背負い部』と『取外し式のショルダーストラップ』等が装備されています。
ナイロン生地と聞けばカジュアルな印象がありますが、黒無地の色合いやスクエアな形状からビジネスユースに重宝されるようになりました。特に出張族の間では、よく考えられた内部の仕切り(コンパートメント)や収納量も相俟って大人気です。

3WAYの裏側はこんな感じですね。素材は違いますが…

因みに TUMIの読み方は、公式なルビは『トゥミ』とされていますが、『テュミ』とか『トュミ』と読む方も多いようです。今さら居ないと思いますが、けっして『ツミ』とか『チュミ』ではないので念の為。

そして、その 3wayビジネスバッグの次にいよいよ登場するのが、昨今、百花繚乱のビジネスリュック。
素材は先ほどのバリスティックナイロンから本革・合成皮革、キャンバス地まで様々なものが登場。
形状としてはスクエア(長方形)がベースとなりますが、ほぼ直方体のものから上部だけラウンドしたものまでいろいろ。このラウンド加減、アールと呼びますがそのアールが大きい=丸いものほどカジュアル感が強まり、スクエア=角ばったものほどカッチリ感・ビジネス感が強まります。

あと、厚みですね。
先述のヒューズボックスだと、いわゆる『UBER EATS』(ほぼ立方体)の半分くらいの厚みがありますが、ビジネスリュックの場合は薄ければ薄いほどビジネス感が高まります。厚み20cm以上もある厚いものは野暮ですので、大人ならできれば7~15cm程度のスッキリ薄いものを選びたいところ。

言わずと知れたウーバーイーツ。もう少し厚みのある箱もよく見ます。
50代後半の同輩男性がママチャリで疾走しているのを見ると、胸が痛くなります…

因みに、ビジネス用の伝統的な手提げバッグを『ブリーフケース』と呼びますが、ブリーフは『薄い』という意味。

筆者愛用のCOACH ブリーフケース
ブリーフはパンツに非ず…

上級の管理職=Executiveエグゼクティブほどふだん持ち歩く書類が少ないことから、薄手のバッグが出世の証とされてきました。尤も、ペーパレスで情報端末さえ持っていれば仕事が捗る現代に於いてはバッグが薄いほどエライ!という判断はあり得ませんが、ノートPC 1台背負っておればなんとかなる!という意味では、やはりビジネスリュックも薄いほどスマートと言っても良いかもしれません。

筆者愛用の COACH GRAHAM。モデルが背負っているモスグリーンを使っています。

最後に…
私個人の考えとして、ビジネスリュックがアリかナシかですが…。

自身も毎日の電車通勤で COACH のリュックを愛用しており、自動改札口とか雨の日とか、或いは駅でスマホを操作したり本を読んだり飲料を飲んだりする時にも、両手が自由に使えるというのはこの上なく便利ですので、賛成派ではあります。

敢えて欠点を言うならば…
上等なスーツやジャケットを着用している紳士方gentlemenにお伝えしておきますと、日常的にリュックを背負うことはジャケットを痛める要因となります。
スーツやジャケットのショルダー部には、肩パッドとまでは言わずとも化繊の芯地が入っていて、その美しいショルダーラインを保持しています。日常的に肩紐が押さわることで、その芯がダメージを受けシルエットが崩れるリスクがあります。
加えて、肩の前(脇の胸側)や背中に常にリュックの生地が当たって摩擦することになりますので、その接触部の生地が毛羽だったり摩耗したりしてきます。従って、リュックを背負って歩く時間をできるだけ短くする配慮が必要です。
尤も、先日のブログに挙げました『アンコン』(un-construction=芯地がない)のセットアップジャケットだったり昨今流行りのウォッシャブルスーツだったりと、そもそもシルエットに拘っていないジャケットを着用されている場合には、そこまで神経質になるほどの課題でもありませんね。

HIDEO WAKAMATSUブランドの広告から借用

お薦めは、
①上質な本革製で、
②シックな色合いの、
③できるだけ丸みの少ないスクエアな、
④厚みの薄いもの
かつ
⑤ゴテゴテといろいろ付いていなくてシンプルなデザインのものが、ビジネスシーンに相応しいと思います。

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